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辺野古の新基地建設で地盤の改良工事を巡り、国は19日、玉城知事に対し工事を承認するよう勧告しました。

辺野古の新基地建設では埋め立て予定海域で軟弱地盤が見つかり、国が改良工事を行うための設計変更を申請。これを県は不承認としていました。

国土交通省は2022年、県に承認を求める是正指示を行い、県は是正指示の取り消しを求める訴えを起こしましたが、2023年9月4日の最高裁判決で県の敗訴が確定しています。

これにより、県は国の指示に従って工事を承認する義務を負うことが確定しましたが、国土交通省では、その後も承認していないとして、斎藤国交大臣が19日付けで代執行を念頭に勧告を通知する文書を知事に送ったということです。

承認の期限など詳細について国交省は、県に文書が届くまで明らかにできないとしています。

記者解説

国が辺野古承認を沖縄県に勧告

ここからは塚崎記者です。お伝えしていますように、辺野古新基地建設で軟弱地盤を固める設計変更を巡って、国土交通大臣からきのう、玉城知事に承認するよう求める「勧告」が出されています。この勧告は、どういった意味があるのでしょうか。

塚崎記者「今回出された「勧告」は国が県に代わって設計変更を承認する「代執行」に向けた第1段階ということになります。今回の勧告に、期限内に知事が設計変更を承認しない場合、第2段階として、国交大臣は知事にさらに「指示」を出すことができます。その「指示」にも従わなかった場合、第3段階として国交大臣が高等裁判所に提訴し、裁判所から知事に「命令」を出すことを求めることができます。裁判所が大臣側の訴えを認めて、命令を出してそれに知事が従わなかった場合、初めて知事に代わって国交大臣が設計変更を承認する「代執行」が可能になるということです」

さまざまな段階があるんですね。国がこうした対応をしている際にも、県側は取りうる措置はあるのでしょうか。

塚崎記者「今示した第1段階の「勧告」や第2段階の「指示」は国交大臣が出すものですが、第3段階の「命令」は裁判所の判断を仰ぐこととなります。法律の規定ではこの「命令」の是非を高等裁判所が判断する際に、当事者を呼び出して口頭弁論を行うとしています。この際に、県側は設計変更を不承認にした、正当性を改めて訴える機会を得ることになります」

県が裁判で正当性を主張する機会がまだあるわけですが、これまでも新基地建設を巡る裁判では、県側の主張が通らない状況が続いています。基地建設を止める手段はまだあるのでしょうか。

塚崎記者「確かに国側が代執行に向けて動き始めた現状では、県がとることのできる手段は限られてきています。これまでの設計変更を巡る裁判では、県側の主張が通ることも限定的で、代執行への流れの中にある裁判で県側の主張が認められるかも不透明です。新基地建設反対を訴えてきた玉城県政は追い込まれているようにも見えますが、それはあくまで現行の司法の枠組みの中での話です。きのうの特集でもお伝えしましたが、辺野古新基地建設は軟弱地盤の問題以外も、安全保障、財政、環境、周辺住民の安全性など、様々な問題を抱えています。県や県民が新基地建設の問題点を検証して、国に再検討を求め続けることが必要なことだと思います」

いま、玉城知事はスイスを訪問して国際社会に新基地建設問題を訴えていますが、裁判の枠組み以外でも、さまざまな問題点に目を向けて、明らかにしていくことがいま、求められていると思います。ここまでは塚崎記者でした。