今を生きる私たちが、沖縄の未来を見ていくシリーズ「IMAGINEおきなわ」です。先週に続いて波照間島の特集です。前回、波照間の旧盆のようすをお伝えしました。今回は旧盆中日(ナカビ)に島をあげて行われる、波照間最大のお祭り「ムシャーマ」に密着しました。
波照間には、三柱(みはしら)のミルクがいらっしゃいます。そして、各集落のみんなは、自分のところのミルクさんが一番!チュラカーギーだと思っている、そうです(笑)
旧盆中日の波照間島で、島をあげてのお祭りがいよいよ始まります。まず司(ツカサ)代理のパナヌファ(神の子)と呼ばれる女性と公民館の役員による「始まりの儀式」が行われます。
続いて、ドラの音を合図に… 「ミチサネー」と呼ばれる仮装行列!島の人総出で様々なものに扮し、公民館目指して練り歩きます。
行列の先頭は「ブーバタ(大旗)」、続いて「実り」をあらわす「ナーリ」、そして…ミルクです。ミルクは波照間島では「結婚した女性」とイメージされています。
ムシャーマではこの仮装行列をはじめとした一連の出しものが「東(ひがし)」「西(にし)」「前(まえ)」の3つの組に分かれて行われます。
今年は東、前、西の順番でミチサネーが行われました。
ですから、各々の組ごとにミルクがいらっしゃって、みんなちょっとずつ、お顔も装いも違うんです。
ミルクの後には「スクテン」役の男の子が椅子を持ち、ミルクが休憩するときに備えます。そして、稲などの五穀(の籾や種)を入れたカゴを持つ「カンゴンタマー」(これは二人の女の子です)、手に日の丸をもった子どもたちが続きます。この子ども達は「ミルクの子ども」とされ「ミルクンタマ」と呼ばれます。
ママと赤ちゃん「初めてでーす、がんばりまーす!」
そして、民謡を歌い踊る出しものが続きます。かりゆし節も見られますね!ヒーヤサッサ、チーチ!掛け声とともに元気よく飛び跳ねるのは「マミドーマ(豆どうま節)」です。鎌や鍬などを持って稲の収穫を表現しています。
続く「稲摺節(いにしりぶし)」は女性たちが布を持ち、刈り取った稲籾からお米にする一連の所作で、喜びに満ち溢れています。それにしても、みんな楽しそう。
あっ!前日、島への思いを語ってくれた後冨底さんも地方(じかた)で参加しています!うれしそうですねー後冨底さんの歌で踊っているのは「馬ブシャー」です。馬になりきって飛び跳ねていますね!
そのあとには手に長い棒を持った青年たちの行列「ボー(棒)」と太鼓が続き、勇壮な演舞も披露されます。行列の後ろの方で何やら怪しい動きをしているのは、道化役でミルクの夫といわれる「ブーブザー」です。彼にはミルクを捨てて家を飛び出したという説があり、ミルクに近づいてはいけないとされています。
「魚釣り」もいます!かつて島で盛んだったカツオ漁を表現していて、見物人に魚を釣らせたりして盛り上げます。
男性「3年間のあいだコロナだったから延期延期で、できなくなって今回はやるってことになったから(楽しんでますか)うんうん、楽しんでます」
一番うしろは二体の「シーシー(獅子)」と鬼の面を被った「囃子(はやし)」です。
ミチサネーには島の生まれたばかりの赤ちゃんから、老いも若きもみんなに何かしらの「役割」があり、これが3つの組で行われるんですから島民全員参加になるのも当然です!!
チビっ子たち「楽しかった」(みんな何やった?)「カゴモチ」
オジー「まあまあですね」オバー「久しぶりにやったから楽しい。やっぱりね、島の人はこれが一番」
オバー「若いときはもう行列も出て踊りも出て一生懸命やっていて年とってから見るだけ、本当に楽しかった、4年ぶりのムシャーマは。良かったです。」オバ「とってもうれしかったです、子どもの頃からもうずっと。」
続いて公民館の中庭でボー(棒)とテーク(太鼓)が演じられます。これも、3つの各組で持つものや踊りが少しずつ違うんです。ここまでが、いわゆる「豊年祈願」の演目になります。
念仏踊りの「ニンブチャー」は祖先供養の演目。輪の中心には供物と酒が供えられ、家庭で祀られない無縁仏を慰霊する儀礼とされています。このニンブチャーが波照間島の「ソーリン(盆行事)」の中心の行事とされています。
仲底 善章(なかそこ・よしあき)さん「これが波照間のムシャーマの特性。基本的には豊年祭、もともとあったものが今の旧盆のなかに持ってきた。逆にみなさん集まってくれるので、先祖供養しながら来るので多分いいかなと。」
竹富町長・前泊正人氏「こういった伝統芸能の継承もコロナのなかで3年あまりできなかった、本当にいまやっと開催できるところまでなった。これは口述伝承も含めてギリギリのタイミングだったなと」
棒も踊りも独特なものがあって、4年ぶりの開催で心に来るものがありました。
午後からは、この日のために特別に設置された舞台で芸能が行われました。「コンギー」と言われる狂言や島の代表的な舞踊の「波照間節」などが披露されました。
舞台の締めくくりはコームッサーです。そして…中庭で演じられる「シーシン棒」に、まるで呼ばれるように3組2頭ずつ、全6頭のシーシー(獅子)が登場しての獅子舞です!
ご夫婦 妻「たのしいさね、2・3年してないからたのしいですよ」夫「初参加なんですけど、盛り上がってて。(練習大変だったのでは)練習で体痛くなっちゃって(笑)」妻「私は地元なので、やってるんですけど。練習も思い出すのに時間かかるとか、準備も、あれだったどれだったかなっていうのもいろいろあったらしくて」
島の中学生「楽しかったし舞台とか、前やったときは小学生だったんですけど、その時と見方が変わった(将来は)棒やりたいです!」「僕も棒やりたいです・ボラ(法螺貝?)やりたいです」「ミクルさまっすねー(あと50年くらいやらないと)まぁ高校生デビューでもしよっかなーって」
仲底 善章(なかそこ・よしあき)さん「祭というのは自分の楽しみでもあるし、次のエネルギーに絶対なる、疲れるかもしれないけど日本の祭りってみんなそうじゃないかな、やって、楽しんで、よし次また頑張ろう来年まで長生きして一緒やろうなと、やっぱりそれが祭かなと」
波照間の人々の魂に刻み込まれた「ムシャーマ」。新型コロナを乗り越え、4年ぶりに、みんな笑顔でこの一日を心から楽しんでいました。
島民全員参加なので当然のように島中のお店も閉まります。前日の波照間島は「シーン」という音が聞こえそうなほど人がいなかったが、ムシャーマ当日は何処からこんなに!?というくらい、人がいっぱいした島でした。
観光客でも毎年のように来る人がいて、当日でも参加可能な演目もあるので、是非見に来るだけよりも来たら参加して体験して欲しいとのこと、これでも人数は減っていて、昔は行列の先からしんがりまでものすごい長さだった、でも演目は減らしたくない!だから人数や年齢や性別など、以前は割と決まっていた(この役割は若い女性がやるとか)けど最近はゆるめに設定してます。