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医療の道を進みはじめた若手医師の診断する力や治療を施す技術を高めようという研修会が沖縄で開催されました。同じ世界で働くベテランたちから直接、指導を受けられるとあって これまで抱えていた悩みなどの解決につながる、実りの多い研修となったようです。

又吉医師「大丈夫ですか?・・・発語よし」

医師の仕事は患者の命を預かる大変なものです。いつなんどきでも病気や外傷に対応できなくてはなりません。しかし医師になりたての「研修医」は日々の診断や治療に頭を悩ませています。そんな若手を対象にした「強化合宿」が行われました。その名も「ERアップデート(in 沖縄)」です。

林 寛之医師「たくさんの苦難を乗り越えて参加いただいて有難うございます」

セミナーを主催する福井大学医学部附属病院の林 寛之(はやし・ひろゆき)医師は長年、救急医療に携わる中でたくさんの研修医を育ててきました。モットーは「笑いが絶えない救急総合診療」そして患者の気持ちを大切にする共感力の高い医師を目指すこと。2005年から沖縄でこの「ERアップデート」を執り行ってきました。

導け若手医師の技術向上「ERアップデート」

林 寛之医師「海外のセミナーとかはリゾート地でやってたりして勉強もしながら楽しめるっていうのが多いのに日本ってそういうのがない全国の研修医が心折れずにがんばれるような機会を提供できたらと思って始めたんですね」

その言葉のとおり年2回、毎年夏は沖縄、冬は東京ディズニーリゾートで研修を行って来ましたが、新型コロナの影響で中止となりました。今年4年ぶりの開催です。

全国の第一線で活躍しているベテラン医師たち総勢8人を講師に迎えて、朝から晩まで実に濃い内容です。受講する若手医師も全国から集まります。今年は142人が参加しました。

林 寛之医師「本当に人が集まるのか不安だったんですけどふたを開けたらいっぱい来たのでニーズはあるんだろうなと思いましたね」

研修を初めて受ける沖縄の医師がいました。

又吉 貴也(またよし・たかや)さんです。医師になって3年目西原町のハートライフ病院の内科で勤務しています。

又吉医師「重症の患者さんとか時間が許さないような患者さんへの対応とか、そういうところがずっと頭に残る感じなので。しっかり体験して自分ひとりで勉強するのでは得られないような機会をしっかり吸収して持って帰って自分の病院にも還元していけたらなと思ってます」

導け若手医師の技術向上「ERアップデート」

医師ははじめ「初期研修医」として2年間、様々なことを学びます。そして3年目以降は新たな研修医たちに教える立場になるのです。学会やセミナーなどを通じ医師同士の「横の繋がり」も大切になってきます。

又吉医師「県外のおなじ年代の方がどのように学習してるかとか、そういったところは僕としてはかなり気になるので今日みたいな一堂に会する機会、特にwebじゃなくてしっかり対面で会うというのは本当にいい刺激になるなと思ってます」

林 寛之医師「腹痛で診断がつかない場合、最も多いのは心窩部痛ですめちゃめちゃ冷や汗かいてたら絶対心電図とって下さい」

ワークショップは座学のほかに、医師同士が組んで初期救命救急を行う手技、診る機会が多く、診断に迷う「下痢」についてクイズ形式で知識を深めるなど多岐にわたりました。呼吸器の診察方法をしっかり学ぶもの。それは沖縄の暑くて長い陽が落ちる時間まで続いたのです。

又吉医師「(Q.きょう一日どうでしたか?)すごかったです1個1個もすごい濃くて楽しかったのと、あとは割と体動かすものだったりとかペアでやったりとかして、僕沖縄から一人の参加なので、お互いに交流の機会も持てたりしてすごい良かったです」

又吉さんとバディを組んだのは長崎から来た1年目研修医でした。

長崎みなとメディカルセンター 榎本 裕研修医「まだ医学の知識足りてない状況での参加だったので、とても新鮮な知識も得ることができました。(Q.又吉医師とパートナー組んでいたが3年目の医師と比べて)もう雲泥の差ですね。僕なんかと比べるのはもう恐れ多いくらいです。(Q.3年後にこうなっていたい?)まだ右も左もわからない状態なので、なってるのかなって不安と、こういう積み重ねでいずれは頑張ればなれるのかなっていう期待と両方あります」

最終日。数々のプログラムをこなし、一皮むけた医師たちには「修了証」が渡されました。

導け若手医師の技術向上「ERアップデート」

林 寛之医師「我々講師の姿勢であったり勉強の仕方を学びに来てほしいなっていうのが一点、もうひとつは全国の仲間と共有しあって、どういう病院でもいい研修を受けられる、でも自分に足りないところ次どうしたらいいのかっていう風なことを考える機会になってくれたらいいなと思いますね」

又吉医師「3日間あっという間に終わったなっていうのと、今になってどっと疲労感みたいなのが押し寄せては来ているんですけど結構実りがすごくて皆で楽しめるところも体験出来て楽しかったなという一言に尽きますね。やっぱり対面だといろいろ違うなと今回感じましたね」

林 寛之医師「皆の記憶や印象に残って、尚且つ元気をもらって患者さんに還元できる、そういうのってなかなかないので若い人たちの顔が元気になるのを見るのがすごくうれしくて、それで続けてこられたっていうのが正直なところ」

又吉医師「もちろん自分の学びも物凄くあったんですけど林医師の楽しませる姿勢だったり教え方、教育をどうしていくかっていう面もすごく参考になった部分大きいかなと」

林 寛之医師「セミナーや学会そういうのも皆が来たいって思うところで開催するっていうのが人間的なんじゃないかなって僕は思いますけどね。いい場所で、いいものを提供して優秀な医者になって帰ってくれれば多くの人に還元できると思います」

若手医師が研鑽を積み、目指す医療の道しるべとなる偉大な先輩医師たちから受け取るものの多い研修となったようです。