※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

国の重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝に県内から「首里の織物」の祝嶺恭子さんと「琉球古典音楽」の大湾清之さんの2人が新たに認定されました。

祝嶺恭子さんは「もうこれは天職じゃないかと。私に与えられた仕事だろうと、そう自覚して始めたのがこの仕事ですね」と述べました。

県の指定無形文化財「本場首里の織物」保持者の祝嶺恭子さんは、那覇市出身の86歳。東京の女子美術大学で染織家の柳悦孝さんらに学び作品制作に取り組む一方、大学卒業後は、県立芸術大学などで後進の指導にも力を入れ、基礎の大切さを説いてきました。

また、ドイツのベルリン国立民族学博物館に所蔵されている沖縄の伝統的な染織品の調査にも尽力し、高度で精緻な伝統技法を再現し生み出される作品も高く評価されています。

人間国宝・祝嶺恭子さんは「先輩から受け継いだこと、それから先人が築いてきたものを少なからず私はいろいろ調査をして、身につけた分はつなげていく使命があるんじゃないかなって自分で自覚しました。若い人たちはもっと伝統的なものを学んで、それを基礎とした上に時代にあったものを作っていってほしいなと思います」と述べました。

首里の織物と琉球古典音楽から人間国宝 2人認定

一方、琉球古典音楽、歌三線で人間国宝に認定された琉球古典音楽安冨祖流師範の大湾清之さんは、読谷村出身の76歳。1966年、琉球古典音楽安冨祖流の宮里春行さんのもとで研さんを積み、1995年には、県の指定無形文化財「沖縄伝統音楽安冨祖流」保持者に認定。現在は、歌三線、笛の奏者として実演と後進の育成にも尽力しています。

さらに、戦前に残された文献や音源資料をもとに演奏の形式や技法の研究に取り組み、伝承が途絶えた曲を復元する試みを行うなど琉球古典音楽の継承・発展に務めてきたことが高く評価されました。

大湾清之さんは「地味な活動をしているものに調査の目を向けていただいたということが私自身にとっては、驚きでもあるんだけれども、うれしかったですね。古典音楽と言っても、それぞれの個性を発揮できる、自分なりの音楽を身につけることができるので、ぜひ、型をより多くの人が理解できるような活動をつなげていきたいと思います」と述べました。

祝嶺さん、大湾さん2人の認定により、県内の人間国宝は17人となります。