金城キャスター「沖縄の食文化のひとつ、豚料理についてです。ゆいレール奥武山公園駅横の山下交差点なんですが、車で走っていると、この看板見たことありませんか
中村キャスター「はいはい、知ってます知ってます。看板も年季が入っていて『豚の丸焼き』気になってました」
金城キャスター「歴史を感じる看板が印象的ですよね。そこには伝統の味を引き継いだ二代目の熱い思いがありました。カメラが潜入です
スタッフ「こんにちは。表の豚の看板が気になったんですが・・・ここは?」
松田さん「ここは看板の絵の通り豚の丸焼き専門店です」
豚の丸焼き専門店、金城畜産。長年、地域から愛されてきた沖縄でも珍しい豚の丸焼き専門店です。
創業者の金城春子さんは元々養豚場を営む畜産農家でした。地域の行事に豚の丸焼きを出せないかと依頼を受けたのがきっかけで、豚の丸焼き専門店を始めたそうです。
50年近く夫婦で守ってきた伝統の味、しかし後継者がいなく、一度は店を閉めることに。
二代目 松田正太さん「50年続くお店だし、すばらしい食べ物、沖縄の県産豚でもあるし、おいしいですし、この文化は残したいという思いが強くなって、僕が引き継いでいいですかと確認して、オッケーもらえたので引き継ぎました」
元々はサラリーマンでこの店の常連客だった松田さん。伝統の味を引き継いで1年。松田さんに密着しました。
夜がまだ明けきらない早朝から仕込みは始まります。
松田さん「160度の熱で9時半ごろまで火を入れます」
先代から引き継いだ大きな特注の釜は40年以上使用していて、まだまだ現役釜の中でゆっくり時間をかけてじっくり焼き上げていきます。
スタッフ「こんがり焼き色で香りがすごくいいですね!」
松田さん「外まで結構匂いがするみたいです」
15キロの豚でおよそ5時間、こちら80キロの豚はなんと13時間!じっくりと時間かけて丸ごと焼くことで骨や皮、脂肪から豚本来の旨味が出てきて皮はパリッと、身はしっとりと焼きあがるそうです。
松田さん「僕たちは特に味付けはしてないです、焼くときに。でも豚本来の旨味が凝縮されて何もつけなくてもおいしいです。ちょっと物足りないときは塩でも十分おいしく食べられます」
20キロの豚の丸焼き1頭の注文が入りました。
松田さん「最近はオープンしたことが広まっていて、注文もそれなりに増えてきている」
この日は宜野座区2班のクシユクイ(腰憩い)が行われていました。クシユクイとは腰をゆっくり休めるという意味で、農作業で働く人々を労う沖縄の旧暦四月に行われる行事です。
今ではすっかり見られなくなりましたが、宜野座区では地域の交流を目的に今でも大事に毎年行われています。ことしは豚の丸焼きでの交流です。
松田さん「50年続いているお店なんで、その文化を絶やさないために僕がやりますと言って二代目をやらせてもらっています」
玉城満さん「農家の腰休めという事で本来はするのですが、だんだんと農家が少なくなって、みんなでもいいよと言って」
幸喜弘和さん「沖縄の歴史だし、地域の伝統はずっと残していってもらいたいと希望します」
松田さんもここ宜野座出身です。小さいころから親しんできた豚の文化だからこそ絶やしたくない、松田さんの原点がここにはあります。
このおいしさをもっと知ってほしくて始めたのが、金曜日、土曜日限定のランチタイム。ランチタイムに合わせて焼き上がった豚は店内のカウンターに運ばれ、目の前で切り分けられます。そして目の前で豚肉をたっぷりと乗せてくれます。
先代から二代目へ引き継がれた豚の丸焼き伝統の味は、沖縄の大切な味として新たな時を歩んでいます。
松田さん「沖縄のソウルフードとして、文化として残していきたいのが一番で、一番大きな目標はなったらいいなと言うのが、クリスマスと言えばアメリカの文化でターキーが現状だけど、沖縄だからこそ豚の丸焼きをクリスマスにというのを作れたらいいなと思います」