来月17日に開幕する沖縄大会の出場校・話題校を紹介する「めざせ甲子園」2校目は具志川商業です。初めての夏の甲子園を目指すチームにムード―メーカーの「ゲンキ」が帰ってきました!
おととし春のセンバツに出場した具志川商業。甲子園で活躍する姿に憧れて入部した50人以上の部員が、まだ見ぬ夏のてっぺんを目指しています。
その夏、誰がレギュラーの座をつかむのか。1年通して激しいレギュラー争いを繰り広げながらチームは力をつけてきました。その具志川商業の戦力分析はこちら。喜舎場監督は打撃力は5、守備力は4と野手陣の安定感に自信を持っています。
一方、課題に上げているのは投手陣の奮起。秋の背番号1は山城琉一輝、春の大会では屋宜壱盛と変わっていて、この夏、誰がチームのエースナンバーを背負うのか、争いは熾烈となっています
具志川商業 屋宜壱盛選手「投手というのはチームとして大きな存在になると思うので、そういう部分でチームを引っ張っていかないといけないので自覚と覚悟を持って取り組んでいる」
夏に向けて熱気を帯びている具志川商業ですがそんなチームがさらに元気になる出来事が4月にありました。
具志川商業 新垣元基選手「こんにちは!元気ないなあ!こんにちは!!きょうは紅白戦ということで夏の1回戦だと思ってやろう相手つぶしに行く覚悟でやろう。気合入れていくぞ!」
毎日練習の始めに大きな声を出すのが、新垣元基くん。持ち味の声でチームに勢いをもたらす、ムードメーカー的存在です。
具志川商業 新垣元基選手「自分はチームを鼓舞して盛り上げるのが得意なので積極的に練習から自分から発信していきたい」
しかし、そんな元気印が長い期間グラウンドに来られなかったのです。新垣くんは、2年生になったばかりの去年4月、新型コロナに感染しました。一度は、回復したかに思われましたがその後も倦怠感がなかなか収まりません。いわゆる「後遺症」により、約1年間グラウンドに立つことができなかったのです。
具志川商業 新垣元基選手「自分はやりたくてもできてなくて遅れていると感じて、早く野球をやりたいけどできない状態が続いて、もやもやした感情がずっとあった」
大好きな野球ができず、さらに学校にも行けない時期もありました。それでも大会前、部員全員で気合を入れるため髪を切る慣例がありますが、新垣くんはグラウンドにいけない中でも、他の部員たちと一緒に髪を切り、仲間を元気づけました。
具志川商業 新垣元基選手「みんなが「きょうあした」で髪を切るというLINEが回ってきて、それで自分も同じタイミングで野球部の一員として髪を切っていた」
具志川商業 當銘樹主将「髪切ると言ったときに、あらげんも切ってくれて、それを報告したりとか、夏の試合前にも「応援しているから」とメッセージをLINEでもらったりして、その時はうれしくて頑張ろうという気持ちがわいた」
先が見えない中でもチームへ思いは絶やさない新垣くん。仲間たちの言葉が力になっていました。
具志川商業 新垣元基選手「休んでいる中、仲間から「早く野球来いよ」とか「いつでも待っているから」という言葉をもらって、それが私がもう一回頑張ろうという気持ちになれる心の支えになって復帰することができたと思っている」
励ましの言葉をもらいながら克服に励み回復傾向が見られた先月、最後の夏はみんなと過ごしたいとグラウンドに戻ってきました。
具志川商業 新垣元基選手「ずっと野球がやりたくてもできなかった中で改めて野球ができる楽しさや喜びを味わいながら野球をしている」
具志川商業 饒平名奏智選手「いなかった時は何か物足りないという感じで野球をしていて、それが4月に体調がよくなって戻ってきて、そこで安心というかかけていた自分の心が埋まったような感じがあった」
復帰後は張り切りすぎたあまり肉離れを起こしたこともありましたが、現在は回復しこの日の紅白戦では本職のピッチャーとして復帰後初めてマウンドに上がりました。
具志川商業 新垣元基選手「1年ぶりのマウンドだったので緊張感とわくわく感があった」
連打を許し、まだまだ満足の行く内容にはならなかったようですが、それでもチームのムードメーカーの復活は夏に向け既に大きな戦力になっています。
具志川商業 喜舎場正太監督「彼はコロナになる前から名前の通り元気印で、新たに元基が元気に戻ってきてチームが右肩上がりになってきているのは見ていて思う」
グラウンドに「ゲンキ」が戻ってきた具志川商業!団結力を強め、最後の夏へ、ラストスパートをかけます。
具志川商業 新垣元基選手「ここまで復帰できたのは身の回りの方や監督、コーチ・家族のサポートがあってだと思うので、自分がプレーすることによってプレーで恩返ししたいし、同じ悩みを持った人たちを勇気づける選手になりたい」
具志川商業 當銘樹主将「この大会で3年生の最後になるので、それに向けて気持ちは全員が、3年生だけじゃなくてその気持ちを共有してチーム全体で一丸となろうとやってきているので、この夏の大会では3年生がチームを引っ張る気持ちを前面に出して夏のてっぺん目指して頑張っていきたい」
「てっぺん取るぞ!」