パワーリフティングの全国大会が31年ぶりに、県内で開催されました。地元沖縄から参加した選手の中で、特別な思いを持つある男性を取材しました。
きのう沖縄市体育館で行われた、パワーリフティングの全日本選手権。沖縄で開催されるのは、1992年以来31年ぶりです。
パワーリフティングは、ベンチプレス・スクワット・デッドリフトの3つの競技であげた重量の合計で争われます。
男子マスターズ3(60~69歳の部)男子93kg級で出場したのは、64歳の盛龍也さん。競技歴30年以上で過去13回の全日本優勝経験を誇り、40代の時には最大で3競技合計670kgを上げた記録も持っています。
ただ、おととし2月、難病である胸椎黄色靭帯骨化症の診断を受けます。治療のため、競技を離れざるを得ませんでした。
盛龍也さん「人生は一度しかないから、負けてたまるか。その一言です」
強い思いで、練習を再開した盛さんでしたが、今度は腰を痛めてしまい、歩くことさえ困難な状態に。それでも大好きなパワーリフティングへの思いが途絶えることはありませんでした。
盛龍也さん「やめたらいいのではないかと言われることもあるが、登山家が山を登るようにそこに山があるから、自分はそこにバーベルがあるから」
絶対にパワーリフティングを続けたいという思いで治療やトレーニングに励み、大会に出場できるまでになった盛さん。
最初の競技、スクワットは、1回目。これを成功させ、110kgの記録を作ります。2種目目はベンチプレス。2回目に60kgを成功させ、3回目に62.5kgに挑みますが、上げることができません。
ここまで合計170kg。競技復帰後の記録、285kgの更新を目指し、最後のデッドリフトで120kgに挑戦しました。
しかし連続で失敗し、あとがなくなった3回目。成功はならず、今大会は競技記録を残すことはできませんでしたが、病気やけがを不屈の精神で乗り越え全国大会に出場した記録は、盛さんの競技人生にしっかりと刻まれていました。
盛龍也さん「続けることが自分の身になる。人生は一度しかないのでやりたいことをやる。負けてたまるかの一言です。いつ歩けなくなるか分からないしまだ歩けるなら(競技を)続けていきたい」