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きょう5月15日で沖縄は本土に復帰してから51年となりました。今も国内のアメリカ軍専用施設の7割が集中し近年は自衛隊の強化も計画されるなど、「基地のない平和の島」は実現されていません。

1952年のサンフランシスコ講和条約締結で沖縄は本土から切り離され、アメリカ統治下に置かれたのち1972年5月15日に本土に復帰しました。その後、約96万人だった人口が146万人に増え社会基盤の整備は進んだものの、所得格差の課題は残されたままです。

一方、今も日本にあるアメリカ軍専用施設の7割が沖縄に置かれ、2023年3月には陸上自衛隊の石垣駐屯地が開設、今後は本島や与那国島に新たなミサイル部隊の配備が計画されています。

沖縄は5月15日翻弄され続けるこれまでの歩みを見つめながら平和な未来の実現を決意する1日となります。



5・15平和行進 参加者の反応は


沖縄の本土復帰から51年「5・15平和行進」

きょう沖縄が本土復帰してから51年です。しかし、今なお残る過重な基地負担やさらには自衛隊の強化が進む沖縄の現状について考えようと「5・15平和行進」がおととい実施されました。

「基地のない沖縄を」と書かれたハチマキを締めた参加者は、沖縄の置かれた現状をどう受け止めたのでしょうか。

全国結団式(5月12日)5・15平和行進実行委員会上里善清共同代表「今、再び沖縄は戦場にされそうな雰囲気になっています。あすの行進を成功させていきたいと」

平和行進が行われる前日、那覇市内では、全国から労働組合や市民団体など68団体の代表者らなどおよそ600人が集まり、全国結団式が開かれました。

去年12月に閣議決定された「安保3文書」、そして、与那国島や宮古島、石垣島と自衛隊配備の強化が進み、さらにミサイルの配備までも打ち出された今、51年前に県民が願った「基地のない平和な沖縄」とは真逆の方向へ舵を切っている政府に対して、改めて沖縄から「平和」への誓いを訴えようと気持ちをひとつにします。

平和行進(5月13日)迎えた平和行進当日。

5・15平和行進実行委員会 長嶺卓弥事務局次長「沖縄の島々を戦場にしないために、米軍基地の撤去、自衛隊ミサイル基地配備、さらに軍拡に反対し、平和な暮らしを求めて共に頑張ろう」参加者「ガンバロー」

沖縄の本土復帰から51年「5・15平和行進」沖縄の本土復帰から51年「5・15平和行進」

46回目を迎えたことしの「5・15平和行進」には沖縄県内外からおよそ2000人近くが参加し、本島中部と南部の2つのコースで実施されました。

「南部戦跡コース」は糸満市役所を出発した後、白梅の塔やひめゆりの塔などをめぐりながら沖縄戦で最後の激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念公園を目指して約11kmキロの道のりを歩きます。

「中部基地コース」は読谷村役場を出発して村内にあるトリイ通信施設や騒音問題やPFAS汚染問題などで揺れる嘉手納基地を横目に見ながら北谷町を目指す約12kmの道のりを行進します。午前9時半、糸満市役所と読谷村役場では、それぞれの行進団が動き始めました。

石垣市からの参加者「(自衛隊の)基地が出来ることで戦争が身近に感じるというか、そういう不安な気持ちがちょっとずつ芽生えてきているので、ひとりでも多くの人が平和について考えるようになれればなと思います」

沖縄の本土復帰から51年「5・15平和行進」

「南部戦跡コース」の参加者はおよそ750人。「ひめゆりの塔」に到着した一行は負傷兵の看護に動員され、多くの犠牲者が出た「ひめゆり学徒」の慰霊碑に手を合わせて平和への思いを新たにしていました。

長野県からの参加者「青春真っ只の若い女性の皆さんが、戦禍に巻き込まれてっていうことを考えると胸が苦しくなります。しっかり刻み込んでこれを長野へ帰って伝えることが、私達の役割だと思っているので、しっかり記憶をして持ち帰りたいと思っています」

一方、「中部基地コース」の参加者は約1000人でフェンスに囲まれた広大な基地を眺めた後に、返還跡地の地域が活性化している街を歩くことで日常生活が基地に脅かされている沖縄の現状を感じていました。

北海道からの参加者「伝えていかないと、きれいな沖縄だけを見て、これからの若い人たちが勘違いするんじゃないのかなという思いでいっぱいです」

沖縄の本土復帰から51年「5・15平和行進」

そして、出発から6時間後の午後3時、南部戦跡コースを練り歩いた行進団が摩文仁に到着しました。実行員会のメンバーで、南部行進団の団長を務めた長嶺卓哉さんは、「歩いて感じたことを各地へ持ち帰ってほしい」と平和行進に込めた思いを語りました。

南部戦跡コース 長嶺卓弥団長「軍隊は住民を守らない、(旧日本軍の)32軍と共に南部へ来て、亡くなった人も多いということで、そういったこともぜひ学習して持ち帰ってほしい」

5・15平和とくらしを守る県民大会(5月14日)NA)そして、3日間のしめくくりとなる県民大会が、きのう、宜野湾市で開かれました。

玉城知事「全国から沖縄に結集していただいた皆様、ハイサイ、ウクタンデイ、ネエミソーランガヤーサイ(こんにちわ、お疲れはございませんか)。沖縄の過重な基地負担の軽減を図るための現実的な目に見える対応を引き続き政府に強く求めていきます」

「平和の種をひとりひとりが持ち帰り、全国に広げてほしい」という呼びかけで締めくくられたことしの平和行進、参加者の心の内には、それぞれの種が芽吹いていました。

沖縄の本土復帰から51年「5・15平和行進」

大阪府からの参加者「やっぱり沖縄の人だけが頑張ることではないので、日本中みんなで力を合わせて、平和にむけて出来たらいいのかなと思います」

山口県からの参加者「きょう歩いていろんな話とか聞いたものを山口に持ち帰って自分たちの団体の取り組みにつなげていければ一番いいなと思っている」