沖縄都市モノレールの「市立病院前駅」と「儀保駅」で駅員がいない時間帯が生じる見通しであることをめぐって障害者を支援する団体が現場を視察してバリアフリー対応への課題を指摘するとともに駅が無人になることへの不安や戸惑いを伝えました。
県視覚障害者福祉協会・知花秀光さん「改札の方から車両までの乗り降り、到着駅でのホームを下りて改札口までの誘導面が一番私たち視覚障害者が必要としている」
県聴覚障害者情報センター・本田一郎施設長「ろう者、聴覚障害者は個別でニーズが違う。文章が苦手な人もいる。手話で話をしたい。駅員さんがモニターに出ても手話ができないどうやってコミュニケーションを取るのか、支援するのか(無人駅に)不便を感じる」
沖縄都市モノレール・安谷屋直樹 営業部副部長兼営業統括課長「事前に連絡していただければ、そこに必ず駅員を配置するということで人によるサービスを継続していくということは考えておりますので」
4月14日に目や耳が不自由な人や車いす利用者の生活を支援する6つの団体が「石嶺駅」に集まり、沖縄都市モノレールの職員とともに改札口の周辺や駅のホームなどバリアフリーの対応状況を確認しました。
新たに2つの駅の間で1人の駅員が定期的に2つの駅をまわって管理する「巡回方式」の導入が検討されていることから障害がある人に不便が生じないか意見を交わすために今回の現場視察が実施されました。
沖縄都市モノレール・安谷屋直樹 営業部副部長兼営業統括課長「今回巡回方式を進めたのは人手不足が慢性化していると、ただソフト面によるサービスの低下はさせたくないということで2駅を1人で回ってすぐ駆け付けられる体制をということで巡回方式を導入したという結果になります」
沖縄都市モノレールが「市立病院前駅」と「儀保駅」で検討を進めている「巡回方式」は1人の駅員が隣り合う2つの駅をまわりながら利用者に対応するというもので基本的にどちらかの駅が「無人」になってしまいます。2時間ごとに駅員が移動することで利用者に対応することになっています。
また、駅に職員がいない場合には券売機や改札口にあるインターホンで隣の駅から呼べるようにしているほか、モニターを使ったリモート対応や「てだこ浦西駅」に事前に連絡すれば駅員を前もって配置するといった対応も可能だといいます。
「巡回方式」は2019年にモノレールが延伸した時に「石嶺駅」と「経塚駅」で導入されています。ただ、駅員が常駐していないことに障害がある人たちから不安や戸惑いの声があがっていました。
県自立生活センター・イルカ・宮城秀明理事「どうやって手を使えない身体障害者が駅員を呼ぶか、ここが重要だけど、呼び出しボタン、インターホンの位置がかなり高い。これだと押せない人が出てきてしまう」
駅の視察では改札口に設置されたインターホンについて左手が不自由な人だと操作しにくいといった現状が浮き彫りになりました。
NPO法人バリアフリーネットワーク・親川修代表「本当はね、右も左も両方ないといけないのよ」
沖縄都市モノレール・安谷屋直樹 営業部副部長兼営業統括課長「そうですね、今これも改良をしていまして、両方に付くように…」
NPO法人バリアフリーネットワーク・親川修代表「右手がまひしている人はこうなる本来であったらここにもないと、だから位置をこっち(手前)にしてあげればいい。奥に置くならば、あくまでも左右両方使えるようにしないと(いけない)」
そのほか、モノレールと駅のホームの隙間をなくして車いすでも介助なしで乗り降りできる「固定式のスロープ」がまだ整っていないという指摘もあがりました。
NPO法人県脊髄損傷者協会・仲根建作理事長「対話が絶対必要なこと対話を踏まえて私たちの声を聞いてより良いモノレールのバリアフリー対策に取り組んでいただけるとありがたいなと」
沖縄都市モノレール・安谷屋直樹 営業部副部長兼営業統括課長「我々の設備であるのにそれが上手く周知できていない部分も見えてきたので周知の仕方をもう一度確認して徹底していくこともあった。これからもみなさまが不安なくご利用できるようにサービスの提供に努めていきたい」
駅の「巡回方式」をめぐっては当初4月1日から始めることを事前協議もなく一方的に沖縄都市モノレールから通告されたとして、障害者を支える団体からは「話し合いの必要性」を訴えていました。
「市立病院前駅」と「儀保駅」に「巡回管理」方式を導入する時期は延期となっていて、沖縄都市モノレールでは今後必要な対応策や具体的な開始時期について協議を重ねていく方針です。