陸上自衛隊のヘリコプターが沖縄県の宮古島周辺で消息を絶った事故は4月11日で6日目になります。地元の漁業関係者が捜索に協力するなど手を尽くしていますが搭乗していた10人につながる情報は乏しく安否がわからない状況が続いています。
4月6日に宮古島周辺で消息を絶った陸自のヘリについてこれまでの捜索で燃料タンクの一部とみられるものや隊員のヘルメットなどが周辺海域で見つかっています。ただ、乗っていた師団長を含めた10人の行方はいまだわかっていません。
消息を絶つ事故の発生から6日目となる4月11日も自衛隊では、航空機6機、海底を探索する掃海艇など船3隻を出したほか、陸に290人を配置するなど海上保安庁と連携してヘリの行方がわからなくなった海域の周辺で24時間態勢の捜索が続けられています。さらに、4月10日からは地元の漁協関係者も漁船を出して協力しています。
濱元晋一郎記者・船上リポ「ヘリがレーダーから消えた場所周辺に来ています。水深は95メートルほど、あたりを見回すと、とても広く、捜索が難しいことがわかります」
搭乗していた10人の安否につながる有力な手がかりは4月11日も見つかりませんでした。地元の漁業関係者によりますとヘリの機影がレーダーから消えた地点の海は潮の流れが速いことから捜索活動が難航している可能性があると話します。
捜索に加わっている漁師・伊計長照さん「普段は(波は)穏やか。その穏やかな日でも干潮・満潮の時間帯には潮(の流れ)が速い。(捜索の難航には)潮の流れが影響しているはず。(探したいのは)みんな変わらないはずよ、気持ちは。一日でも早く家族のもとへ帰してあげたい」
陸自のヘリが消息を絶ってから4月12日で1週間になろうとしています。一刻も早い10人の発見が待たれます。
浜田防衛大臣「今も行方不明の隊員10名を見つけ出すには至っておらず、引き続き、捜索に全力を尽くしてまいります」
国会で開かれた外交防衛委員会では飛行データなどを記録するフライトレコーダーの捜索状況に話が及びました。防衛省は海上から目視で捜索するほか陸上の漂着物を確認したり水中に入って捜索したりしていると述べるにとどまりました。
一方、インターネット上では今回のヘリ事故をめぐって中国軍による撃墜や爆破といった憶測が多く投稿されています。政府は外国軍の関与を否定しました。
政府の役人「私ども警戒監視をずっとしているところであります。ただその中でですね、外国の軍隊の動きの中で、今回の事故・事案に関係するような動きというのは確認されていないということであります」
沖縄国際大学の前泊博盛教授は日中戦争やベトナム戦争で偽の情報や事件が飛び交ったことが戦争の開戦や拡大に影響したことをふまえ、真偽を見極める必要があると指摘します。
沖縄国際大学・前泊博盛教授「戦時体制が作られる時は多くはデマだ。(今回の事故も)仕掛けようによってはですね日本側が事故を起こしておきながら、(事故が)攻撃によるものだといって誰もが信じてそれに対する報復するという形で開戦ということだって起こり得るような状況であるわけですね。そういった誤報やフェイクに踊らされないことが大事だ」
前泊教授は機体の事故歴などを調査するほか事故に関する情報の公開を進めるべきだと自衛隊の対応に注文をつけています。
沖縄国際大学・前泊博盛教授「事故だとするならば救助のために必要な情報をどんどん出さなきゃいけないんですよね。事故原因が十分に解明されないまま、また同じような機材が飛行することになれば、周辺住民は基地を抱えている住民・県民サイドからすればあってはならない対応だ」