辺野古新基地建設をめぐり埋め立て予定区域に生息するサンゴの移植について、国は29日、県に対して移植を許可するよう是正指示を出したことが分かりました。
辺野古新基地建設をめぐって埋め立て予定区域に生息するサンゴを移植するため沖縄防衛局が2022年7月に申請した特別採捕許可について野村哲郎農林水産大臣は29日県に、移植を許可するよう「是正指示」を出したことが分かりました。
県は3月17日に野村農水大臣からサンゴの移植を許可するよう「勧告」を受けていましたが、許可申請の内容に必要性が認められないとして従わないという内容の回答しており国が法的拘束力の伴うより強い「是正指示」を出した形です。
防衛局が、移植を申請したのは埋め立て予定区域に生息する小型サンゴ類およそ8万4千群体とショウガサンゴ8群体、大型サンゴ類21群体です。
玉城知事「変更承認申請が不承認となっている部分のサンゴの採捕ですから、不承認は不承認ですのでサンゴの採取をする必要はないと考えている」
是正指示に、玉城知事は「県としてどのような対応をすべきか検討していく」とコメントしています。
記者解説 サンゴ移植1回目の振り返り
辺野古の新基地建設を巡るサンゴの移植について国が県に出した是正指示はこれが初めてではありません。これまでの動きを振り返ります。
大浦湾側の埋め立て予定海域で見つかったサンゴを移植するため沖縄防衛局が県に特別採捕許可を申請したのは2019年のことです。しかし、その翌年(2020年)にマヨネーズ状とも呼ばれる軟弱地盤が見つかり、地盤を固める工事を行うため防衛局が県に設計変更を申請しています。
玉城知事はこの点を踏まえて「従来の工事では工事全体の完成が不可能なため申請を許可しなかった」と主張しています。
これに対して国(農林水産大臣)は2020年2月、県に許可するよう1度目の是正指示を出しました。一方、県はこれが「国の違法な関与」だと指示取り消しを求め、国を相手に提訴しましたが、2021年7月に最高裁で訴えが退けられ県の敗訴が確定しています。
県は今回も「国地方係争処理委員会」に審査を申し出る見通しで再び同じような手続きを経て最終的には法廷闘争にもつれ込むことが予想されます。