2021年度、QABでは渡嘉敷島留学「わらびや」の生活を1年間に亘って取材、放送しました。
その後3人の留学生が2年目、3年目の島生活を送り、受験を経てこの春、それぞれの進路に向けて旅立ちました。
島の「十五の春」。涙と笑顔が溢れた卒業を取材しました。
ずらり並んだみんなの顔。明日は、島の卒業式。
3月、慶良間諸島・渡嘉敷島。島で唯一の小中学校。みんなが食べているのは最後の給食です。お昼休み。一生懸命書いているのは、二十歳になる時みんなで掘り起こすタイムカプセルに入れる手紙でした。
渡嘉敷小中学校・大城正篤校長「とても素直で元気で優しい子たちです。これもみんな地域の方々に支えられているから、子ども達もそういった気持ちが持ててるのかなと思います。島の子たちは十五の旅立ちはつきものです。旅立っても、絶対に島のこと忘れずに、もしチャンスがあればまた島に戻ってきて、そこでまた活躍できるといいなと思っています」
県内外から島で生活する子ども達を受け入れている「島留学わらびや」。「わらびや」には現在5人の子ども達が暮らしていて、そのうち3人が受験生でした。留学生達は全員、県外の高校への進学が決まりました。「十五の春」です。
池辺大智くん「去年より島の人たちと遊ぶことが多くなって、島の人たちとヤギのエサ取ったり、ニワトリのエサ取ったりして楽しく過ごす1年でした。淋しい部分はあるし、次の新しい道へ旅立つ楽しみでもある」
栗田そらさん「夏休みまでは最後の島生活を堪能して、勉強と、でも島でも遊びたかったので島生活と両立することをがんばりました。(高校では)部活とかを本格的にがんばりたいなと思ってて、いろんな新しい仲間と出会って新しい世界を見つけたいなと思っています」
藤原嶺人くん「3年目だからだいぶ島に慣れてきて、渡嘉敷の人といろんな事ができた。(高校は)自然環境課行って沖縄とは違う自然について学ぶのかなと思ってる」
入港してくる船に乗っていたのは、1年前に島留学を終えて地元に戻った子ども達です。みんなより1年早く地元に戻った2人は。
酒井しいさん「去年わらびやでお菓子づくりとかそういうのが好きだなって気づけたので、高校は調理師免許が取れる学校に」
バレラシッド愛凛七さん「バンドを始めて音楽やってます。音楽どんどんやっていきたくて」
わらびや次女・坂田ほのかさん「去年はけっこうケンカもあったけど今年はあまりケンカがなくて。(Q.みんな島をでるけど淋しいですか?)はい」
わらびや・坂田竜二さん「合格するしないっていうよりは、自分の力をなるべく叩きつけるみたいな、そういうなかで子どもが成長したっていうのがひとつと、みんなの絆が深くなった感じががします」
わらびや・坂田明子さん「普段のわらびやの忙しい農業・海・集団生活、忙しい中で勉強もしたので、子ども達も本当に精いっぱいがんばったと思います。そういう姿を応援できて本当に良かったなと思います」
地域の人たちが祝賀会を開いてくれました。コロナ禍で多くの行事ができなかった3年間。それでも子ども達は島の子として地域のなかで大切に育てられて来たことがわかる、そんな心づくしのひと時でした。
わらびや・坂田明子さん「1年間お疲れ様でした。今年もすごい楽しかったです」
晩ご飯は「わらびや」の女将で子ども達の母親役、坂田明子さん。手づくりのごちそうをみんなで囲み、卒業祝い。
池辺大智くん「昔は竜二さんに怒られてばっかりだったけど、今は先に周りを見て、動けるようになったからそこがすごく成長したなと思ってます」
栗田そらさん「遊びだけじゃなくて田植えだったり農作業だったり、自転車も自分で直せるようになったし」
藤原嶺人くん「とても忙しい3年間でした。何でもない日常が楽しかったです」
嶺人くんの母・真実さん「嶺人が成長したこと何かなって思ったら、『ありがとう』って事と笑顔が増えたかなって思っています。親子で共育ちができたかなと思います」
栗田そらさんの母・めぐみさん「素晴らしい方々に支えられた2年間でした・・・(泣)・・・ヤバイヤバイ(笑)」
池辺大智くんの母・美幸さん「(泣)・・・ここに来なかったら大智はどうなっていたか(笑)」
わらびや・坂田竜二さん「多くの人たちは見えるものばかりを大事にするけどそうじゃない、自然のなかに入って見えないものいっぱいもらって来ました。大智にしろそらにしろ、皆も言ってたけど『命の大切さ』を。希望に満ちて。素晴らしい道が待っていると思いますので」
わらびや・坂田明子さん「中3生はね、中学卒業して高校に旅立っていくけども、またぜひね、遊びに来てください。私たちいつでも待ってますので第2の故郷として」
いよいよ卒業式。この日、小学生8人、中学生13人が卒業します。校長先生が1人ひとり、全員に卒業証書を渡します。
卒業生保護者代表のあいさつは、中1から3年間「わらびや」で過ごした藤原嶺人くんの母親、真実さん。涙をこらえきれない真実さん。ハートフルな一場面もありました。
式は滞りなく終了しました。しかし、ここまでは「1部」。島の卒業式の醍醐味はここからです。
藤原嶺人くん「お父さんお母さんへ。15歳まで健康に育ててくれてありがとう」
卒業生から保護者へ手紙を読みあげ、色紙を贈ります。
栗田そらさん「渡嘉敷に来てからは長休みの時にしか会えないのが淋しいけど、たくさんの貴重な経験ができて留学に行かせてもらったことに感謝しかありません。これからもずっとそらのこと応援してね」
池辺大智くん「時々けんかをするときもあったけど、お父さんと一緒に暮らした時間は一生の宝物です。おかげで自分の将来に夢を見つけることができました。本当にありがとう」
藤原嶺人くん「地域の人とかに助けてもらって」
池辺大智くん「島の人たちとかいろいろ関わり合って仲良くしてもらって」
栗田そらさん「皆と最後の最高の思い出を作ることができてとても良かったです」
栗田そらさんの母・めぐみさん「成長の2年間を感じます。いい時間を有難うございました」
池辺大智くんの母・美幸さん「島の人々のあたたかさを本当に感じた式でした」
嶺人くんの母・真実さん「渡嘉敷島もわらびやも最高です!」
わらびや・坂田明子さん「子ども達がまぶし過ぎます(笑)」
栗田そらさん「いつでも帰って来たい」
藤原嶺人くん「夏休みとかまたこっち戻ってくるんで」
わらびや次女・坂田ほのかさん「みんな一緒に暮らしてるから、家族みたいな感じ」
「また帰って来る」その思いを抱いて、島を旅立つ子ども達。未来への希望を胸に。