去年、QABでは児童相談所が里親委託を解除した夫婦のもとから子どもを連れ戻す様子をお伝えしたところ大きな反響をいただきました。この出来事をきっかけに、今回、里親家庭や児童養護施設で育った人たちや、社会的擁護下の子どもの気持ちを聞く活動を続ける人たちを取材しました。
里親 小橋川久美子さん「2回挨拶して、パンパンってお祈りしてください。2回よ」子ども「うん」
1年前、この家族には、もうひとり、幼い子がいた。お姉ちゃんとお揃いの服を着て、はしゃいでいた「あの子」。
この初詣からわずか3日後、「あの子」は家族から引き離された。「あの子」は里子。実の親が引き取りたいと児童相談所に連絡。職員が里親の元へ迎えに来た。
里親女性と子どもの泣き声。
琉球朝日放送 中村守 アナウンサー「様々な事情で、実の親の元で暮らせなくなった子どもを」幼い子どもを、複数の大人が引き離すように見えるやり方に議論が噴出。県が第三者委員会を立ち上げ、児童相談所の対応を検証する騒ぎとなった。
この出来事を知って「あの子」の取材を始めた私は、奇妙なことに気づきました。誰もが同じことを口にするのです。
沖縄県議会 比嘉京子議員「本当に子どものために、もっと言えることはあったし、やれることはあったけれども」
コザ児童相談所 大城順次所長「子どものことの最善の、その利益というか、子どもの安定を図るというような観点で支援をしている」
玉城デニー知事「やはり何があっても、この子のことが第一だというのは、おふたりのお気持ちにある通りですし」
それぞれの立場で、それぞれの思いから「子どものため」を口にする大人。
里親 小橋川久美子さん「子どものためにもならないと思います。子どものことを考えて作った里親制度だと思うんですが、何ひとつ子どものためになってない」
「子どものため」とはどういうことなのでしょうか。そこをきちんと考えないと、「あの子」の出来事も理解できない。そう感じた時から私たちの取材はスタートしました。
里親家庭や児童養護施設で育った人たちは? 里親家庭で育ったゆうかさん(仮名)「子どものためって言っても、この子どもの思ってることだったりとかを実際聞けてないんじゃないかなって思うことがけっこうあったりもして」
記者「大人に自分の気持ち、本当に思ってることって、言えましたか?」マサキ「言えんよね」リエ「言えない」マサキ「絶対言えない」
子どものきもちを汲み取ろうと、活動を続ける人たちにも出会いました。
子どもアドボカシーセンター福岡理事 岡田健一さん「一番大事なのはですね、やっぱり子どもが何を伝えたいのか、どう思ってるのか、私たちがちゃんとね気づける。」
こども家庭庁が2023年4月に発足、子どもの利益を守るための動きが本格化します。
「子どものため」とは、どういうことなのか、番組では考えます。
今回、お伝えした内容をテレビ朝日系列24社が共同で制作するドキュメンタリー番組「テレメンタリー」で放送いたします。
「子どものきもち~里親委託・おいてけぼりの心~」はあさって19日(日)深夜2時から放送です。(※20日(月)午前2時)