※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

先週、沖縄の現状や課題を訴えるためおよそ3年半ぶりに訪米した玉城知事。3回目の訪米となった今回は以前から訴えている辺野古の問題に加え、PFASや台湾有事など沖縄を取り巻く環境が大きく変化する中玉城知事はアメリカで何を訴え、何を得たのでしょうか。

出発式(6日)玉城知事「安全安心と命を巡る問題は決して日本国内の問題ではないとアメリカは重大な責任を持っている当事者の一方であるという認識をきちんと伝えていきたいと思います」

先週月曜日、訪米を前にこのように語り、沖縄を出発した玉城知事。

およそ3年半ぶり3回目となった今回の訪米の舞台は首都ワシントン。ホワイトハウスや省庁、連邦議会が集まるアメリカの中枢で玉城知事は辺野古やPFAS汚染など沖縄が抱える問題を訴えました。

船越記者「きょうからワシントンでの本格的な日程に入った玉城知事、朝から国務省で、国務省そして国防総省の日本担当者との面談に挑みます」

本格的な訪米活動が始まった現地時間7日。玉城知事が向かったのは、国務省。ここでは国務省と国防総省の日本担当者との面談。

玉城知事はこの中で県民が反対の民意を示していることや軟弱地盤の存在などを理由に辺野古反対の考えを訴えましたが。。。

辺野古・PFASなど沖縄の現状訴え 3年ぶりに知事が訪米 成果は?

玉城知事「(2プラス2の)辺野古が唯一の解決策であるというその方向性について我々も踏襲するという方向性でした。特に新しい何らかのコメントはありませんでした」

アメリカ側から示されたのは、これまで通りの認識。県民が示す辺野古反対の民意を背にした知事の訴えは跳ね返される形となりました。

辺野古の問題とは対照的に関心が高く知事が手ごたえを語ったのはPFASの問題。アメリカでも大きな議論となっているPFAS。連邦議会議員などとの面談の中で「軍事委員会として調査できるか検討したい」などの前向きな考えが示されました。

玉城知事「やはり今タイムリーなのはPFOSの問題と台湾有事に関する問題、この2つについては非常にこのタイミングで訪米したことはタイミングとしてはいい感触を持っていただいたと思う」

訪米活動の最終日には現地メディアなどに向けた会見で沖縄が抱える問題や状況などを語ったほかジョージ・ワシントン大学では外交や安全保障政策を学ぶ学生などに向け講演を行いました。

玉城知事「例えば台湾有事が起こるということになると、そこにアメリカと日本がもし関わるようになり、中国との戦闘状態に巻き込まれたら日本全体がターゲットになることは間違いありません。もちろん沖縄もたくさんの米軍基地を抱えていますからそのターゲットになりうるだろうということは容易に考えられるわけです。容易に考えられるということはそれは避けなければいけないということに考えをつなげていかないといけない」

辺野古・PFASなど沖縄の現状訴え 3年ぶりに知事が訪米 成果は?

アメリカ国内で「中国脅威論」が高まる中台湾有事について強い危機感を示した玉城知事。そのほかアメリカと中国の緊張が高まっていることに触れ、経済相互依存を深める双方の軍事衝突は国益を損なうと指摘し「平和的な外交や対話で緊張緩和に取り組み有事を起こさないよう努力すべき」という考えを述べました。

日本人留学生「アメリカにいるとどうしても沖縄が地政学的な要衝として扱われることが多くて、どうしても沖縄の人々の生活があるということが忘れられがちな部分があると思うんですけど、玉城知事が強調されること、沖縄の生活を守りたいということだったり安全を守りたいということが今回アメリカの学生に伝えられたのは貴重な機会だと思う」

すべての日程を終えた玉城知事。今回の訪米での成果については次のように強調しました。

玉城知事「3年前はやや冷ややかだった感触が、今回は新しいテーマ、PFASにしろ台湾有事にしろ、沖縄側が積極的に働きかけていかなければならないという感触を得たのが今回の訪米だった」「私がアメリカに来て沖縄の現状をしっかり訴えられたのが間違いなく成果につながっていると思う」

船越記者「およそ3年半ぶりとなった玉城知事の訪米活動、辺野古新基地建設の問題に加えPFASや台湾有事をめぐる状況などこれまでになかった問題もある中、玉城知事は沖縄の状況や考え方を直接伝えられたことが成果だと強調しました。一方で具体的な問題解決に向けた道筋をつけることができたかは不透明で今後も問題解決に向け、日米両政府とどのように向き合っていくのか玉城知事の手腕が問われます」

ここからは同行取材をした船越記者に聞きます。今回の訪米を船越さんはどのように見ましたか?

船越記者「今回の訪米では辺野古、PFAS、台湾有事と大きく3点について県の考えや立場などを訴えてきた玉城知事ですが、辺野古の問題については、アメリカ側、特に国務省と国防総省からは「辺野古が唯一」とする2プラス2を踏襲するとの考えが示され、今回の訪米で進展があったとは言えない状況です。船越)一方で、知事が好感触を得ていたのはPFASの問題です。アメリカでは飲み水に含まれるPFASの基準値が日本より厳しい基準値で設定されることがきのう発表されるなどアメリカ国内でも大きな議論が起きている問題だけに関心も高かったようです」

船越記者「過去2回の訪米では辺野古が主な話題となっていた中、今回はアメリカでもタイムリーな話題といえる台湾有事、PFASの問題についても訴え、関心を持ってもらえたという点で今回の訪米はこれまでで一番手ごたえがあったと玉城知事は振りかえっています」

今回訴えた問題の解決に向け、今後玉城知事に求められることはどういったことでしょうか。

船越記者「玉城知事は一番手ごたえがあったと振り返っていますが、今回の訪米で具体的になにかが決まったというわけではなく、実際に沖縄を取り巻く問題の解決には日米両政府の合意が不可欠です。沖縄が抱える問題解決に向け日米両政府などに対し沖縄からどのように働きかけ、どう行動していくのかといった部分が求められると思います」

ここまで船越記者でした。