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ノーベル文学賞を受賞した作家で、沖縄戦で日本軍が住民に集団自決を命じたと指摘した「沖縄ノート」の作者でも知られる大江健三郎さんが老衰のため3月3日、亡くなりました。88歳でした。

大江健三郎さんは1935年に愛媛県に生まれ23歳で芥川賞を受賞、その後1994年には日本人で2人目となるノーベル文学賞を受賞するなど日本を代表する作家の1人でした。

大江さんは3月3日未明に老衰のため亡くなったと講談社が発表しました。88歳でした。

1970年に大江さんが発表した「沖縄ノート」で沖縄戦で日本軍の指揮官が住民に集団自決を命じたとされる記述をめぐり、元隊長らが名誉を傷つけられたとして大江さんと出版社に出版差し止めなどを求めた訴訟を起こしていましたが、裁判所は「集団自決に日本軍が深く関わっていることは否定できない」として元隊長らの訴えを退けていました。

判決後の会見で、大江健三郎さんは「沖縄戦で日本人がどのように沖縄の日本人に対して苦痛を与えたかということを我々はずっと記憶し続けていよう。この本のことを覚えていてもらいたい。高校生にも読んでもらいたい」と話していました。

「平和教育を進める会」の事務局長として裁判を支援していた琉球大学の山口剛史教授は、大江さんの訃報を次のように悼みました。

「戦後の歴史認識にかかわって作品もそうだし、論評もそうだし、大事なお仕事をされてきた大先輩だったなと。沖縄にとっては大江岩波訴訟があったように沖縄の人々の声をある意味、ちゃんと拾いながら私たちにとっても沖縄戦の歴史を深めていくという大事な役割を担われた方だったと思っております」と話しました。

大江さんの葬儀は家族葬で既に執り行われ、後日お別れの会が開かれる予定です。