今を生きる私たちが、沖縄の未来を見ていくシリーズ「IMAGINE・おきなわ」です。沼尻さん、こちらモニターをご覧下さい。
沼尻アナウンサー「かわいい、元気な子どもたちですね。でも小さい子がくぎを打ったりしてケガしないかな大丈夫かな、とも思ってしまいます。」
玉城アナウンサー「同じ心配をされた方もいらっしゃるかと思います。もちろん近くで大人たちは見守っていますが先回りして「あぶない」ですとか注意はしないんです。どのような意図があるのか那覇市の公民館の取り組みを取材しました。」
製作ノンデライコ 映画「ゆめパのじかん」予告編
およそ1万平方メートルある「川崎市子ども夢パーク」2000年に制定された川崎市子どもの権利に関する条例をもとに作られました。今年でオープンから20年です。公設民営という運営モデルも全国から注目を集め去年完成したこの映画は各地の映画館や公民館などで上映されています。
西野さん「ここで大切にしているのはやってみたいを大切にしているということ、ケガしちゃうかもしれないけどできるだけ大人は手出し口出ししない」
この取り組みは「プレーパーク」と呼ばれています。ブランコやすべり台といった遊具がある公園とは違ってどんな遊びをしたいか考えてやってみることから始まります。もちろん大人の見守りやサポートはありますが火を起こしたり、金づちや釘を使って木工遊びをしたりと子どもたち自身が安全や責任についても考えることを大切にしています。
このプレーパークを4年前から月1回行っているのが那覇市の繁多川公民館です。住宅地の中にあって、スペースやできる遊びにも限りがありますが近くに住む年輩の人たちに昔遊びを教えてもらいながら見守りにも協力してもらったり家族連れに公民館を身近に感じてもらったりと公民館に地域のさまざまな世代の人たちが集える機会づくりに役立てています。
男の子「このロープが楽しい(ロープをとんとん)こうやって横に行ってゴールに行ってまたやるから」
女の子「(シャボン玉が)大きくできるように(腕をゆっくり振る)シャボン玉をつくったり、あと昔の遊びとかもあるから来ている」
この日はムーチーづくり体験も行われました。
繁多川公民館 由利玲子さん「最初に手を先に洗ってそれから好きな葉っぱを1枚取って」
子どもたちに声掛けするのは繁多川公民館のプレーパーク担当 由利玲子(ゆり りょうこ)さん。そしてムーチーづくりが進む中では、繁多川公民館 本多まどかさん ムーチー作りのお母さんたちと「何個ぐらい要るの?できれば100個は作りたい100!? 100個いけるかな? じゃあ作ろうね」
同じく担当の本多まどかさん。プレーパークを繁多川公民館が地域のため果たしたい役割の1つと考えています。
本多まどかさん「やっぱり地域の困りごとを地域の底力というか、皆さんの力でどう乗り越えていくかとか、それを逆に楽しみながらどうやって解決できるかというところ」
由利玲子さん「共働きの家庭が多いしひとり親や保護者の見守りが子どもたちにはかなり行き届かない現状がまずある。これはやっぱり地域で見守っていく場所や仕組みが必要だなということになって」
繁多川公民館では、これまでもご飯を子どもたちと一緒に作り食べることで、家庭環境が厳しい子どもたちの居場所づくりを促進する「いどばたごはん」。そしてコロナ禍では高齢者の孤立を防ぐため屋外で食材の物々交換を行いながら顔の見える関係性をつなげる「シェアマーケット」など地域の人や世代を結ぶ取り組みを数多く行っています。
「プレーパーク」も同様です。ムーチーづくりでは子どもと大人が力を合わせました。
地域の料理名人 大城幸子さん(78)「やっぱり(作り方を)伝承したいという気持ちがある。また(子どもたちが)自分たちもつくってみようかなという気持ちが起こるかなと思っている、だから孫と同じ気持ちで接しているつもり」
親子三代公民館で活動 具志清華さん(16)「日常生活ではできないことをみんなで一緒にやるというのがとても楽しい」
自発的で前向きなひとりひとりの気持ちが繁多川公民館のパワーの源です。
プレーパークの参加者(お父さん)「初めての参加だが子どもたちも楽しそうにしていてムーチーづくりもなかなか(家庭では)できない体験を子どもたちもそうだが大人たちも楽しめるイベントなので来て良かった。」
プレーパークの参加者(トンカチ使う子のお母さん)「(子どもたちが)できなくてもどうしたらできるんだろうと考えることができると思う。なるべく見守っていたいと思いながらもちょっとヒヤヒヤしながら」
本多さん 由利さん2ショット「沖縄でいまプレーパークを継続的にやっているこの場所として繁多川公民館が一つの事例となって継続できるような他の地域にも波及していくいくようなイメージは私たちも持ちつつ、ここでしっかりこう(素地を)創っていくっていうところが今の目標かなというところ
この日のプレーパークには川崎市子ども夢パークの所長西野博之さんが訪れました。川崎市で不登校の子どもたちの居場所づくりに関り始めてから37年。子どもたちに寄り添い根気強く自発的な生きる力づくりをサポートしてきました。
2000年の川崎市子どもの権利条例制定、そして2003年の子ども夢パーク開設などに携わってきた子どもの育ちのスペシャリストです。
西野博之さん「子どもが育っていくのに大切なのは、大人がニコニコ笑いながら遊んでるのを面白がっている、存在そのものを肯定してくれている眼差しだけあれば、子どもはちゃんとそこで欲を持っていろんなことに挑戦できる人になっていく。」「生まれてきてよかった、生きてるって楽しいよという時間を取り戻していくことってすごい大事」
西野博之さん「命どぅ宝のね、たくさんの子どもを育てながら、命真ん中にていう発信をしてきた沖縄の文化を、子どもが宝だよ命は宝だよっていうのをやっぱりもう1回全国にここから発信していきたいなって思う」
西野さんの講演やシンポジウムには行政や教育関係者など80人あまりが駆けつけ、熱心に耳を傾けました。
本多まどかさん「(子どもの育ちに)関わる大人として一緒に楽しみながらその子たちが幸せのプロセスをやっぱり得ていくっていう方がやっぱり私達もそこを目指していかなきゃいけない」
由利玲子さん「子どもたちも悩んでるし、たぶん親も学校の先生もみんな悩んでて、これは何か本当にプレーパークの力でそれが変わっていけるんだったらますます頑張ろうって。」
取材の最後、希望してくれた子どもたちにプレーパークに込められた思いをナレーションしてもらいました。
子どもたち「ここはみんなでつくる自由な遊び場。だれが来てもいい、いつ来てもいい、いつやめても何をしても何を使ってもいい、何もしなくても自由なんだよ。」
子どもたちの幸せを考えて大切にすることが大人の幸せにもなって、地域の幸せにもつながっていくのではないかなと感じました。繁多川公民館ではこのプレーパークを始めさまざまな情報発信を行っています。ぜひホームページもご覧になってみて下さい。