琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊和雄さんです。今日は私が務めさせていただきます!
湊和雄さん「よろしくお願いします。」
今回のテーマはこちら「冬に繁殖するカエル」です。カエルと言えば、冬は冬眠するイメージですが?
湊和雄さん「そうですよね。しかし、亜熱帯ではあえて真冬に繁殖する種類がいます。やんばるでは、4種類。そのうち2種類がやんばる固有種です。」
さっそくVTRをご覧ください!
湊和雄さん「これが夜のやんばるの渓流です。真冬の渓流は、静かな印象ですが、実際にはこんな賑やかに鳴き声が聞こえてきます。」
そうですね。鳴き声は鳥ですか?
湊和雄さん「どうでしょうか?甲高く大きな一声だけの鳴き声と、小さく連続して「ピヨピヨ」とヒヨコのような鳴き声の2種類が混ざっていますね。」
はい。
湊和雄さん「まるで人間の悲鳴のような、大きな声の主。オキナワイシカワガエルです。鳴き袋を大きく膨らませて、鳴いていますね。」
はい。模様が独特ですが、遠くから見ると苔と見間違いそうですね。
湊和雄さん「オキナワイシカワガエルは、苔むした環境で生息しているので、なかなか見つけられません。しかも、照明を点けていると鳴きません。」
敏感なカエルですね!!
湊和雄さん「照明を可能な限り暗くして、超高感度で撮影するのです。それでも、なかなか鳴かないので、かなりのハードルの高さです。」
息をひそめての撮影ですね。
湊和雄さん「そうですね。このオスの鳴き声によってメスを水のある穴に誘い込み、その中で産卵を行います。なので、繁殖行動を観察するのが非常に難しいのです。」
湊和雄さん「そして、こちらは先ほどと同じ穴。カエルはいませんでしたが、卵とそれから孵ったオタマジャクシが見えていますね。繁殖に成功したようです。」
小さい!ふ化したばかりですね。
湊和雄さん「そうですね。そして、もうひとつの小さな「ピヨピヨ」の鳴き声の主はこちら。ハナサキガエル。オキナワイシカワガエルに比べ、声だけではなく鳴き袋も小さいですね。」
本当、可愛らしいです。
湊和雄さん「ハナサキガエルは、体色や模様がとてもバラエティに富んでいます。オスのラブソングに誘われてペア成立。」
オスとメスで大きさが だいぶ違いますね。
湊和雄さん「オスよりもメスのほうが大きいですね。そして、ある晩一斉に水中に入ります。毎年決まった、滝つぼや淵など流れの緩やかな場所に、数100匹のカエルが数週間も掛けて集まります。」
ウジャウジャいますね!!白いのは卵ですか?
湊和雄さん「はい、既に産卵された卵塊(らんかい)がたくさん見えています。まるで真珠のような輝きですね。」
まっしろですね。それにしても、カエルの数が多いです!
湊和雄さん「そうですよね。しかし、この光景が見られるのは、一箇所で、ある一晩だけなのです。」
貴重な一晩なんですね。水中の中はどうなっているのでしょうか?
湊和雄さん「では、水中撮影をしてみましょう。やはり、水中にはたくさんのカエルと卵塊(らんかい)が見られます。」
より、はっきり見えてきました。ちょっと、苦手ですが。
湊和雄さん「(ひとこと)カエルの多くはペアになっています。中には1匹のメスに複数のオスがしがみ付いている場合も見られます。そして、ときどき水中でも鳴いているのが聞こえてきます。」
水の中でも鳴くんですね~!それにしても、なぜ寒い真冬に繁殖するのでしょうか?
湊和雄さん「そうですよね。今回、映像では紹介していませんが、ヒメハブやその他のヘビが、カエルを狙ってたくさん活動しています。」「ひとつの説として、渓流の水量が安定しているからだと言われます。夏は日照り続きで干上がったり、台風で増水したりして、せっかく産んだ卵がうまく育たないためだと言われます。」
真冬の産卵はより多くの子孫を残すための知恵なんですね。
湊和雄さん「今回は、久しぶりに産卵シーンを撮影出来て楽しかったです。」
湊さん、今回も貴重な映像ありがとうございました。以上、リュウキュウの自然でした。