船越記者「この数字、沖縄の平均寿命の全国順位の推移となんです。かつては男女ともに全国1位で「長寿県・沖縄」という印象を与えていたんですが1990年に男性が順位を下げたのを境に、どんどん落としていき去年の年末に公表された2020年時点の数字では男性が43位、女性が16位となっていて男性に至ってはワースト5になっています」
沖縄は長寿県のイメージがあったので、驚きました。
船越記者「この平均寿命なんですが、なんとなく高齢者がどれだけ長生きできるのかというもののように感じるんですが、実は高齢者だけに関係するものではないんです。平均寿命と同じような統計で「平均余命」というものがあります。これはある一定の年齢の人が残り何年生きられるかというのを示すものなんですが高齢者のうち75歳を見てみると、沖縄は男性が2位、女性は1位となっていて高齢者の平均余命は長いということがわかっています」
ではなぜ、平均寿命のランキングが下がっている?
船越記者「高齢者が上位にランクインしている平均余命は統計が出されている20歳と40歳で男性は43位となっていて高齢者と若い世代で差が生じています。かつては長寿県として誇っていた沖縄がなぜここまで順位を落としてしまったのか。原因を探ると沖縄が抱える大きな課題が見えてきました」
先月開かれた県の健康長寿おきなわ復活推進本部会議。
玉城知事「昨年末には平均寿命の全国順位が公表され、男性が36位から43位、女性が7位から16位へ男女とも順位を下げ、健康長寿沖縄の復活は危機的な状況にあると言わざるを得ない」
玉城知事も強い危機感を示した沖縄の平均寿命の順位の転落。その背景には何があるのでしょうか。県保健医療部の糸数公部長は次のように指摘しています。
県保健医療部・糸数公部長「20代から60代までの死亡率が高くなってしまうと寿命が伸びにくくなってしまうので、他の都道府県に比べるといわゆる働き盛り世代の死亡率が比較的高い、これが寿命が伸びていかない一番の要因だと思っている」
原因として挙げられたのは20歳から64歳の「働き盛り世代」の死亡率の高さ。特に生活習慣病やその合併症による死亡率の高さが顕著だといいます。
またメタボリックシンドローム該当者の割合は全国ワースト。肥満者の割合も高く、30代から50代の男性は2人に1人が肥満だとされています。
さらに健康診断でなんらかの異常が見受けられた人の割合も70.4%で11年連続で全国ワーストとなっています。
現代の沖縄には様々な健康課題が横たわっていたのです。
県保健医療部・糸数公部長「(Q沖縄は今長寿県と言えるのか?)沖縄は今、長寿の世代と短命の若い世代がひとつの島の中に共存している状況だと思います。ただ状況はかなり崖っぷちというか短命県に近づいていると思いますのでここでもう一回頑張らないといけない時期だと思う」
船越記者「県では働き盛り世代の生活習慣病が多い要因として食生活や運動不足、アルコール摂取量の多さなどを挙げていて取材をしていて僕自身も思い当たる節や耳の痛い話もありました。では、平均寿命が長い県と比較してみたいと思います。今回、平均寿命が男性が1位、女性が2位と好成績となった県があるんですが、どこだと思いますか?正解はこちら、滋賀県なんです。その滋賀県民はこのような生活習慣の特徴があるそうです」
船越記者「こちらは一例なんですが、たばこを吸う人が少ない、お酒を飲む日に2合以上の量を飲む多量飲酒が少ないスポーツをする人が多いというのが特徴にあるようです。では沖縄はどうなのかというと、例えばお酒ですが生活習慣病のリスクを高める飲酒者、一例でいうと男性であれば毎日500ミリリットルのビールを2杯以上飲むなどの割合が多い、またアルコール性肝疾患による死亡率が男女とも全国の2倍」
船越記者「また運動という部分でいうと車社会というのも影響して働き盛り世代の1日あたりの歩数は男性は6640歩、女性は6366歩で全国平均を下回っているうえに年々減少傾向にあるそうなんです。
船越記者「県では、2040年までに平均寿命を男女とも1位に返り咲くことを目標に様々な取り組みを行っているんですが、県保健医療部の糸数部長は、健康に対する考えや取り組みを自分のこととして捉えてほしいと話しています」
県保健医療部・糸数公部長「働き盛りで途中で体調を崩してしまって、仕事もできなくなって家族を残して早く亡くなるという形が他の県より多いですので、これはご本人にとってそうだし家族にとってもそうだし、会社にとっても地域にとっても、こういう(働き盛り世代の)方々が亡くなっていく、高齢者と子どもだけが残るというのは非常に深刻に考えないといけないと思う。他人事の話ではなくて、県が困るということでもなくて、個人とか家族とか地域もこのままだと困るということだと思う」
たしかに健康長寿を復活させるためとか、県のためにというよりはあくまで自分のため、そして家族のために自分自身の健康に意識を向けてその結果、長寿県沖縄が復活するのが理想的ですよね。
船越記者「運動不足であったり、飲酒量の多さなどを要因として上げましたが車社会という沖縄の特性があったり、ここ3年のコロナ禍でこれまで我慢していた飲み会などが少しずつできるようになって楽しみにしている方もいると思います。その中でも例えば近くに行く時は歩いてみる、休肝日を作る、もう1杯という気持ちを抑えるそういった自分のできる範囲で少しでも健康を意識することの積み重ねが大事だと思います」
船越記者は早速どんなところから生活を見直していきましょうか?
船越記者「そうですね、私もきょうから、仕事帰りに最寄りのバス停の1つか2つ手前のバス停で降りて歩く、というのを実践してみようと思います」
皆さんもぜひ、ご自身の健康に少しでも意識を向けてみてください。