今年最初の放送となります。琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊和雄さんです。今年もよろしくお願いします。
湊和雄さん「よろしくお願いします。」
今回のテーマはこちら「冬に咲く花と昆虫」です。
湊和雄さん「一年で最も寒い季節を迎えていますね。それでも亜熱帯では、さまざまな花が開花しています。そして、そこに訪れる昆虫もいます。」
どんな花々と昆虫なのでしょうか?さっそくVTRをご覧ください!
湊和雄さん「やんばるの森で、冬によく目にするのがエゴノキの花。11?3月までと長い期間、花を楽しむことができます。」
はい、見たことあります。
湊和雄さん「エゴノキの花にやって来たのは、オキナワヒゲナガハナバチ。和名のとおり触角が長いのが特徴です。」
本当に長いですね!!
湊和雄さん「これはフカノキの花。色彩は地味ですが、たくさん咲いていると、華やかな印象も受けます。」
確かに花は地味ですが、この飛び出た部分は何ですか?
湊和雄さん「おしべですね。」「この花に盛んにやって来るのは、アシジロヒラフシアリ。」
たくさんいますね。
湊和雄さん「そうですね。続いて、色彩に乏しい冬の森で、目を楽しませてくれるのはルリミノキの仲間。何種類もありますが、これはマルバルリミノキのようです。」
実もつけているのに花も咲かせるんですね。
湊和雄さん「冬に咲く花としてこのコーナーでも何度か紹介したヘツカリンドウ。今年も12月から開花しています。花の模様や色の変異が激しいのが、最大の特徴です。」
花の色や模様が変わるんですか!不思議な花です。
湊和雄さん「もうひとつの特徴は、花弁に蜜腺があり、そこに昆虫がやって来ること。常連はアリの仲間です。」
花びらから出てくる蜜を吸っているんですね!アップで見ると蜜が付いているのが分かりますね。
湊和雄さん「そしてこれも冬に開花する花として、何度か紹介したビロードボタンヅル。花弁が全開にならず控えめに開くため、下から覗いてみると、こんなおしべの束が見えます。」
びっしり見えます。
湊和雄さん「残念ながら、花に直接昆虫がやって来るシーンは観られませんでした。しかし、花の近くで小さなクモが網を張っていました。」
昆虫を狙っているんですね。
湊和雄さん「クモは生まれたての1〜2mmの状態で、種名は判りませんでした。」「これは冬らしい彩の花、サツマイナモリ。ちょっと下向きに、控えめな開き具合ですね。正面から見ると、白い花弁の奥に濃い紫色の蕊(ズイ)が見えます。」
こちらもかわいらしい花ですね。
湊和雄さん「背後から水の音が聞こえていますが、サツマイナモリは渓流環境で見られる植物なのです。」
アメンボですね。
湊和雄さん「渓流環境では、冬でも昆虫が活動しています。これは、アマミアメンボ。なんと真冬でも繁殖行動が見られます。」
アマミアメンボにとって寒さは関係ないんですね。
湊和雄さん「さらに、夜になるとこんな昆虫も見られます。雄の触角が特徴的なケブカコフキコガネ。不思議なことに、成虫が現れるのは2年に一度の真冬と限られています。」
貴重ですね。水に落ちてしまっています!!
湊和雄さん「はい、渓流環境では、このようなハプニングも起きてしまいます。最後に、美しい紫色の蕾の登場。開花すると、このような花になるセイタカスズムシソウです。」
白色の葉脈が目立ってとても特徴的ですね。
湊和雄さん「この花にも、アリが頻繁にやってきましたが、薄暗い森の中だったので、種名は分かりませんでした。」
セイタカスズムシソウは以前に紹介した、コノハチョウの食草でもあるんですよね?
湊和雄さん「真冬でも見かけることがありますが、今年の冬はまだみていません。」
湊さん、今回も貴重な映像ありがとうございました。以上、リュウキュウの自然でした。