今を生きる私たちが、これからの50年100年先の沖縄の未来を見ていくシリーズ「IMAGINE・おきなわ」です。
第3回のきょうは「ロボットアイデア甲子園・沖縄県予選全国大会出場をかけたアイデアバトル」です。
去年11月に開催された、ロボットアイデア甲子園・沖縄県予選の2次選考。高校生が、人を支える新たな産業用ロボットを考え、提案しました。
動くスライドを駆使した発表に、専門家からの質問にも堂々と答える高校生たち。彼らはロボットアイデア甲子園、沖縄県予選の参加者です。
ロボットアイデア甲子園は、産業用ロボットを使用した現場を見学して知識を深めるとともに、実際のビジネスの現場で生かせる新たな産業用ロボットを提案する大会です。
沖縄では初開催となった予選は去年10月から始まっていて、産業用ロボットに関する座学を受けたあと、実際に導入されている工場の見学に行きました。
それらの知識を元に新たな産業用ロボットのアイデアをレポートで提出しています。
工場見学から、およそ1カ月半。今回はその時に提出したレポートを元に、より具体的な提案を盛り込んで5分間のプレゼンに挑みます。
沖縄工業高等専門学校1年 國吉真奈さん「はんだ付けを経験した際に、大量生産に向いていないとも感じました。今開発されているロボットを活かして大量生産できる方法はないかなと考えたのがきっかけです」
沖縄工業高等専門学校1年 大森香花さん「AIカメラロボットは画像認識に優れたAIでデブリ(宇宙ゴミ)のを検知し、次に出てくるANTSというアリ型のロボットにデータを送り、修理をしてもらいます、このANTSはアリ型のロボットで、集団となって傷を修理します」
審査員は産業用ロボットの現場を知る、開発に携わる企業の人や研究者たち。鋭い質問や意見も投げかけられます。
審査員「300万円くらいで本当に実現できるかどうか、細かく調べました?」
沖縄工業高等専門学校1年 中村恵さん「ガストにある食事を運ぶネコみたいなロボットがあるんですけど、それを見て、運ぶという点と、ものや人を避けるという点が似てるなと思いまして、そこからこの金額をつけました」
審査員「多分これコロナ対策というのが最近問題になって、この(機械の)中に入れてる間になんかできるんじゃないかな、と思うんですね」
沖縄工業高等専門学校1年 中村恵さん「そうですね、ありがとうございます」
審査員沖縄工業高等専門学校姉﨑隆名誉教授「3Dプリンターって実は動作遅いんですよね。数十分から1時間ぐらいかかるんですよね。それにアームつけるのはどういうメリットかな、というのはちょっと、分かりにくいなと思ったんですけど・・・」
沖縄工業高等専門学校3年 比嘉凛さん「3Dプリンターのフィラメント(材料)の部分が固まっていく、造形するのが遅いというデメリットがあるので、そこに上手く3Dプリンターに合わせたような樹脂の開発とかもやっていきたいなという考えです」
この日、プレゼンをしたのは4人。この中で、沖縄県代表の栄光に輝くのは?
「沖縄工業高等専門学校・中村恵さんです、おめでとうございます!」
中村さんは、お父さんが図書館で働いていて、図書館が抱えている「人手不足」の課題から着想を得た、「ユーバーリッター」というロボットを提案しました。本の貸出、返却、さらに一番人手不足を圧迫している配架の作業を担うロボットだというのです。
沖縄工業高等専門学校1年 中村恵さん「次に本を配架する仕組みについてです。ユーバーリッターの上側が開き、このようにして本を挟みます。そして本を持ち上げます。そして回転し、本を棚に戻すという仕組みになっています」
さらに、ユーバーリッターの側面には広告が出せるスペースを設けていて、初期投資した費用を少しずつプラスに転化させる、財政面まで考えられています。ユーバーリッターの導入により、作業を自動化することで、図書館司書や職員は利用者からの問い合わせや、レファレンスサービスなど「人ならではの仕事」に専念しやすくなります。
審査委員長の沖縄工業高等専門学校・姉崎隆名誉教授は中村さんのアイデアについて、自分の身の回りで起きている問題から上手く「技術課題」を抜き出せていて、課題に対して現在の技術トレンドに則したデザイン(設計)ができている、と講評しました。
沖縄工業高等専門学校1年 國吉真奈さん「いろいろロボットを調べてみてやっぱり、まだ自動化が全然進んでないなと感じたので、自分も将来就職するときとかに、そういう経験をいかしていけたらなと思いました」
沖縄工業高等専門学校1年 大森香花さん「プレゼンテーションの発表は学校でもやったことあるんですけど、大会でやるっていうのは初めてで、すごい緊張しました」
沖縄工業高等専門学校3年 比嘉凛さん「(今回は)アイデアの足りなさがあったので、どうやってアイデアを発想していくのか、そういうことも今度はちゃんと勉強して、やっていきたいなと思います」
沖縄工業高等専門学校1年 中村恵さん「今回は4人だけということで、自分以外は3つのアイデアしか見れなかったと思うんですけど、(全国大会は)21人くらいの人たちが集まって、その人たちの発表を聞けるので、もっと自分にはなかったような考えとか、新たに発見できると思うので、そこを楽しみにしています」
今回初めて開催された「ロボットアイデア甲子園」の沖縄県予選で提案された、生徒たちの様々なアイデア。今後、実用化されて、私たちの生活を支えてくれる日が来るかもしれません。
今回、最優秀賞に輝いた中村さんですが、今月28日から大阪で開催されます「ロボットアイデア甲子園」の全国大会に沖縄県代表として出場します。中村さん、頑張ってください!