プロ野球の千葉ロッテマリーンズなどで活躍し、惜しまれながらも昨シーズンで現役を引退した石垣島出身の大嶺祐太投手。島を沸かせ、感動や勇気を与えてくれた大嶺投手の最後の花道を飾ろうと年末に故郷・石垣島で引退記念試合が行われました。2022年の年の瀬、石垣市営球場。この日、開催されたのは「島のヒーロー」のための特別な試合でした。
場内アナウンス「八重山商工高校野球部OB ピッチャー大嶺」
2006年、県内の離島で初となる春夏連続で甲子園出場を果たした八重山商工。そのチームの中心でエースとしてマウンドに立っていたのが大嶺祐太。当時の八重山商工は、島で少年野球から一緒に歩んできた監督と選手らが中心となっていたチームで、小さい頃からの夢を叶えていった石垣島の球児たちの活躍は、島はもちろん日本の高校野球界を沸かせました。
その後もフィーバーは留まることはなく、大嶺は高校生ドラフト１位でプロ野球・千葉ロッテマリーンズへ。新入団会見では熱烈な歓迎を受けます。さらに、今も続くロッテの石垣島での春季キャンプは大嶺の入団がきっかけとなって実現したものでした。
プロ野球では、相次ぐけがにも苦しみながら129試合に登板。ロッテで15年、中日で１年プレーし去年、16年間の現役生活に幕を閉じました。
島の期待を一身に背負い戦い続けた大嶺投手への感謝が込められた故郷・石垣島での引退試合。球場には所せましと協賛ののぼりがはためき、さらに試合前に開かれた野球教室では多くの子どもたちが大嶺投手のもとへと集まり、島のヒーローの存在の大きさがうかがい知れます。
西表島から参加「とても楽しみにしていました。かっこよかったですし身長高いなと思いました」
大嶺投手の出身チーム 八島マリンズの選手「とても楽しくて時間があっという間な感じがしました大嶺祐太選手みたいな活躍できる選手になりたいです」
迎えた引退試合。八重山商工OBのベンチにはこの試合のために集まった甲子園出場時のメンバーと監督の姿。
伊志嶺吉盛監督円陣「とにかく全力で絶対負けるなよ！いけ！」
さらに対戦相手は当時ライバルとしてしのぎを削ってきた浦添商業OBを中心としたメンバー。大嶺投手のために石垣島に駆け付けました。そのプレーボール前、マウンドに立つ大嶺投手に対し打席に立ったのは、今も現役を続けている金城長靖選手。
大嶺投手と同じく、快進撃を見せた八重山商工で投打にわたって活躍しチームの顔にもなってきた選手です。お互い長い付き合いですが、真剣勝負はこれが初めてでした。
金城長靖選手「対戦してみて身長も大きいなって、距離も近く感じて（だから）プロで長くできて、すごいなと改めて感じましたね」
大嶺祐太投手「打たれる抑える関係なく、一緒に対戦できたことが、なかなか対戦する機会がなかったので良かったです」
一方の試合は高校時代には夏の沖縄大会準決勝で1-０で八重山商工に敗れた浦商OBが、リベンジとばかりにヒットを重ねます。やや打たれ込まれた大嶺投手でしたが、これまでの野球人生を思い出しながら、一球一球投げ込んでいました。
大嶺祐太投手（少年野球後）「自分が野球をした時一番どれが楽しかったかと言われると、このメンバーでやっていた時が一番楽しかったので最後このメンバーでまた野球ができるのはすごいありがたいことで、自分もこの年代に生まれてこなかったら甲子園に行くこともできなかったと思いますし、このメンバーがいたから自分も頑張れたので」
試合は大嶺投手がバットでも見せ、八重山商工OBが逆転。かつてのライバルたちが野球を楽しむ姿、そして島のヒーローの最後の雄姿に集まった人たちからは温かい眼差しが送られていました。
伊志嶺吉盛監督「大嶺祐太という野球選手は野球人生はこれで終わったかもしれないけど、今までお世話になった人たちへの恩返しをこれからいくらでもできるからと思いますね」
大嶺祐太選手（試合後）「今（現役を）終えてみたら色々な人に応援してもらったなと感じます（今後は）どんな形になるかははっきりとは決まっていませんが、必ず沖縄の野球に恩返しができるようにしたいと思います」
16年間の現役生活を、最後は故郷で締めくくった島のヒーロー。第2の人生にも全力投球です。