在沖米海兵隊を改編/離島での作戦に対応
日米両政府は、沖縄に駐留するアメリカ海兵隊を、2025年までに、離島での作戦に対応する海兵沿岸連隊に改編する方針を決定しました。
この方針は、日本時間の1月12日、アメリカ・ワシントンで開かれた日本とアメリカの外務・防衛閣僚による安全保障協議・2プラス2で確認されました。
防衛省・外務省の発表資料によりますと、海兵沿岸連隊は、有事発生前に部隊を分散して展開する「機動展開前進基地作戦」を行う部隊になるということです。
沖縄に創設する海兵沿岸連隊は現在、キャンプ・ハンセンなどに駐留する部隊を改編して設置する予定です。
日米両政府は、沖縄の海兵隊の一部を2024年にグアムに移転し、およそ1万人とする計画は「変更はない」としています。
浜田防衛大臣は2プラス2終了後の会見で、沖縄への海兵沿岸連隊の設置などについて、意義を強調しました。
浜田防衛大臣は「この取り組みは、日米同盟の抑止力・対処力を大きく向上させるものであると同時に、我が国の防衛に対する米国の確固たるコミットメントを示すものであります」と述べました。
また両政府は、辺野古新基地建設の継続についても改めて確認しました。
南西諸島で軍事力強化を確認/日米2+2/県内から「軍縮」求める声も
今回、沖縄に設置が決まった海兵沿岸連隊は、離島での作戦を想定した部隊になっています。
日本政府は、県内の自衛隊を増強する方針で、県内の研究者が台湾周辺での軍備縮小を各国に求める提言文が発表されるなど、反発も強まっています。
日本政府の説明資料によると、海兵沿岸連隊が実施する「機動展開前進基地作戦」=EABOは、有事が発生する前にミサイル部隊を分散展開させることなどを想定しています。
台湾有事が発生した際、日米が南西諸島の各離島に部隊を送り込み、EABOを展開する計画についても明らかになっています。今回の海兵沿岸連隊の沖縄での創設についても台湾有事への対応が念頭にあるとみられます。
国は先月、安全保障関連3文書を閣議決定し、沖縄周辺で自衛隊の強化を打ち出しました。計画では那覇駐屯地を拠点にする陸上自衛隊第15旅団を増強して師団とするほか、沖縄市の陸自沖縄訓練場に、火薬庫を含む補給拠点を新設する方針です。
林外務大臣は「まず南西諸島ですが、我が国の安全保障環境が格段と厳しさを増す中で、日米同盟の抑止力・対処力の強化が急務。例えば南西諸島を含む地域において、日米の施設の共同使用を拡大して演習・訓練を増加させることも取り組みに含まれる」と述べました。
台湾情勢と関連して軍事力強化が続く姿勢に、県内からは反発の声があがっています。県内の研究者やジャーナリストでつくる沖縄対外問題研究会は各国に台湾周辺の軍事力削減や、自衛隊の先島配備中止などを求める提言文を発表しました。
研究会は、月刊誌「世界」に掲載した提言の中で沖縄をアジア太平洋の国々を結びつける「津梁の島」とすることや、日本、アメリカ、中国が協力し、台湾危機を回避することなどを求めています。
研究会の琉球大学の星野英一名誉教授は「抑止力で相手を脅すのではなく、信頼醸成を軸にした協調的な安全保障に進みたい」と強調します。
星野英一名誉教授は「緊張を高めない、こちらも緊張を高めるつもりがないんだという意思を相手側に伝える。安全保障の確保の仕方が協調的安全保障ですけれども。それはまさにそれを実現するために津梁の島っていうのは非常に重要」と述べました。
星野名誉教授は、提言文を「政府に向けたもの」とする一方、別のねらいも説明します。星野英一名誉教授は「自衛隊を強化することで、あるいは日米の抑止力をもっともっと強化してもらいたいと、いうふうに思ってる人がいたとしたら、その人たちにもメッセージとして、こういう見方もできるんじゃないのっていうのは発信したい」と述べました。