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きょうで宜野湾市の普天間第二小学校にアメリカ軍ヘリの窓が落下した事故から5年が経ちました。

このほど、アメリカの情報公開制度で軍内部の事故報告書が明らかとなりました。ブラックボックスの中だった事故当日の状況が徐々に浮かび上がってきています。

今回明らかになった事故報告書は、在沖アメリカ軍部内で発生直後に作成されたものです。34枚からなり、ヘリに乗っていたアメリカ兵や整備を担当した兵士らの証言、機体や落下した窓の写真などが記録されています。

ジャーナリストのジョン・ミッチェルさんがアメリカ側の情報公開制度を使って入手しました。

多くのアメリカ軍の内部資料を見てきたミッチェルさんは、報告書について「アメリカ軍はなかなかこういった報告書は出さない」と解説します。

ジョン・ミッチェルさん「(開示された)アメリカ軍の報告書のコメントは黒塗りが多いが、今回のものは(黒塗りが少なくて)驚くほど読むことができる」

米軍報告書が判明/普天間第二小窓落下

隊員らの聞き取りを記した報告書で、事故当日のアメリカ軍部内の動きが克明にわかってきました。

事故を起こしたヘリコプターには軍の高官や著名な訪問者など、およそ10人が乗っていたことがわかりました。軍の高官はヘリから窓が落下した際「窓を修理する」として、直ちに着陸するようパイロットに指示していたのです。

ジョン・ミッチェルさん「驚いたのは、将軍は窓の修理については言及したのに、けが人の確認について発言がなかったことだ」

そして、今回の報告書で注目すべき部分は窓が落下した現場を「空き地」「サッカー場」などと表現され、小学校であったことを示す記述がなかったことです。

事故当日、メディアでは窓が落下した場所が小学校だったことはすでに報道され、明確な事実だったにもかかわらず、その中で軍の報告書に「学校」との記載がなかったことに、ミッチェルさんは疑問を投げかけます。

米軍報告書が判明/普天間第二小窓落下

ジョン・ミッチェルさん「(報告書で使われた言葉は)誰も使っていないという印象を与える」「普天間の海兵隊員は基地が街の中にあって病院や学校が近くにあると理解しているのかと疑問も生じる」

事故から5年たった現在も、普天間第二小学校周辺をアメリカ軍機が飛び交う状況は変わっていません。

学校の保護者などで作るグループ「#コドソラ」は防衛省などに、学校上空をアメリカ軍機が飛ばないように要請してきました。また、今回の報告書では部品の摩耗や、飛行前の確認を副操縦士一人で行ったことなど、事故原因につながりかねない事実も明らかになっています。

メンバーの一人、与那城千恵美(よなしろ・ちえみ)さんは、事故現場が学校だったと明確に書かれていない報告書に対して怒りを露わにしました。

与那城千恵美さん「(現場が)学校っていうことをどこにも書かれていない。『サッカー場』とか『子どもたちが遊んでいた』とか『空き地だった』とか。どう見ても学校だと思うんですよ。上から見て。空き地ではなく、建物があるし。学校があるっていうことをまず認識していないのもありえない」

米軍報告書が判明/普天間第二小窓落下

「#コドソラ」のメンバーは今後も国に訴えるとしています。

与那城千恵美さん「子どもたちは日々成長してますし、学校で毎日生活を送っているんですよ。子どもたちの危険は毎日毎日で、なのでいますぐできるところから、まず学校の飛行禁止を強く県も市も一緒になって国に求めてほしいなと思います」

アメリカ軍の報告書の報道を受け玉城知事は、

知事「非常に衝撃的な事故であったわけですし、その管理徹底が不十分だったことも事実が新たになっています。ですから、こういうようなことが起こらないように常に徹底した機体の整備や管理を行って頂くということをまた重ねて申し上げたいと思います。」

米軍報告書が判明/普天間第二小窓落下

QABでは、ミッチェルさんが入手した報告書を元に、軍高官が乗っていた理由などについて在沖アメリカ軍に対して問い合わせましたが、これまでに回答はありませんでした。

事故から5年たってようやく事故の詳細が分かってきたなかで、ミッチェルさんは軍による情報公開の重要性を訴えます。

ジョン・ミッチェルさん「普天間第二小学校の先生や保護者も、陸や空で何が起こったかはっきり知る権利がある」「米軍も自発的に情報を出していく必要がある」

米軍報告書が判明/普天間第二小窓落下

今回開示された34枚の報告書からは、アメリカ軍が子どもたちを危険にさらした事実への危機感の薄さも垣間見えました。再発防止策も不明確な中で、アメリカ軍機が学校などの上空を飛ぶ現状を、日常化してはならないのではないでしょうか。

今回、アメリカ軍の事故報告書を入手したジョン・ミッチェルさんは基地周辺のPFAS汚染の問題も情報公開を駆使して、明かにしてきました。基地周辺住民の安全にかかわる問題については、県や日本政府もきちんと情報を確認し、アメリカ軍に再発防止や対策を強く求めていく必要もあると思います。