楽園の海 案内は水中カメラマンの長田勇さんです今回のテーマは「石垣島・サンゴ白化現象~その後の様子~です。
長田勇さん「今年の夏、大規模でサンゴが白化してしまった石垣島へ行って来ました」
とても気になっていたんです。ではVTRご覧いただきましょう!
長田勇さん「まずは底地(すくじ)ビーチ沖のポイントへ。ガイドは、SEA-TRIPの清山太造(きよやまたいぞう)さん。撮影したのは11月12日。水深5mのサンゴ礁を、たいぞ?さんと一緒に進んでいきます」
サンゴがたくさん見えていますね。
長田勇さん「一見、白化もしてない普通のサンゴ礁に見えますがサンゴの色は焦げたような黒っぽくなったサンゴばかりが目立っていました実はこれ、死んだ状態なんです」
そうなんですね。
長田勇さん「アップでみると、やはり生きているサンゴには見えないですよね」
確かに私が知っているサンゴの色ではないです。
長田勇さん「こちらは、8月に同じポイントを撮影した映像です」
色彩は圧倒的に豊かなんですが残念ながら色が薄いですね。
長田勇さん「これが水温上昇による白化現象なんです」
真っ白です。
長田勇さん「水温30℃以上の日が続くと、共生している植物性プランクトンの褐虫藻が抜け出してしまいます。実はサンゴには色はなく骨格は白。サンゴの色は褐虫藻の色です」
だから褐虫藻が居なくなると、白くなってしまう、ということですか?
長田勇さん「そうなんです。先端部分に藻が生えているという事は、この部分はもう死んでしまった事を意味しています。
長田勇さん「それから3ヶ月経った同じポイントの映像がこちら。白化して死んでしまった後に藻が生えて、このような焦げ茶色に見えるんです。死んだサンゴが、白い状態で残っているのは1ヶ月ほど。3ヶ月も経つと、藻の量も増えこのような色に変化します」
驚きの想いでいっぱいです。
長田勇さん「環境省の調査では、「水深2mから7mまでの31地点での調査の結果、92.8%のサンゴが白化した」との事でした。9月初めに訪れた台風の影響で水温は下がったものの、時すでに遅し、、、大半のサンゴが死滅したと思われます」
死んだサンゴに乗っている魚は、何を思うのでしょうか。。
長田勇さん「でも、こちらを見て下さい。同じポイントの水深6mにあるサンゴは死んでいるのに、水深8mのサンゴは8割が生きていました。さらに10mまで降りてみると、9割以上のサンゴが生きています。テーブルサンゴの白い部分をアップで見てみると」
あ!色がうっすらと見えますよ!
長田勇さん「そう、逃げ出した褐虫藻が戻ってきているんです。このままいけば、しっかりと色もついていって確実に生き返ります!」
うれしい。
長田勇さん「そこにナンヨウマンタの登場です。サンゴと共に、石垣島にはなくてはならない存在の生き物です。横幅は3m以上」
信じられないダイナミックさです!
長田勇さん「4匹のコバンザメを従えつつ、撮影している私を気にする事もなく、スレスレで真上を泳いでいきました」
すごい!!!!!
長田勇さん「そして2016年にサンゴが死滅してしまった場所、大崎センターリーフというポイントへ。水深3m」
もとはサンゴだったんですね。
長田勇さん「死んでから6年も経過すると、アップで見ても痛々しいですね。
先程の映像と比べると寂しい気持ちになります。
長田勇さん「と、そこでガイドのたいぞうさんが何か見つけました。その指の先には」
なんでしょう?
長田勇さん「1cmほどの赤ちゃんサンゴ。夏場の30℃以上の水温にも耐えて、生き残ってました」
うれしい!
長田勇さん「先端が青色に染まった綺麗な赤ちゃんサンゴの姿もありました。(1.5cm)ポリプから触手も出ていて、元気いっぱいです」
生命の息吹を感じます。
長田勇さん「両方とも、産まれて1年から2年のサンゴだと思われます。そして、今回ぜひお見せしたかった場所がこちら。竹富島沖およそ5kmにある浅瀬のサンゴ礁。見て下さい!」
すごい!!
長田勇さん「水深2mから8mの浅瀬なんですが、ほぼ全てのサンゴが元気な状態です。かなり密度も高いです。たいぞうさんが、生きたサンゴを探しまくって見つけてくれた、絶景ポイント。この個体はポリプから沢山の触手を出して、プランクトンを捕まえようと頑張ってます」
生命ってすごいですね。
長田勇さん「ここが調査ポイントに選ばれていたら、発表された白化の割合の数字も変わっていたと思います。浅瀬の限られた場所だけを見れば、9割死滅した状態かもしれませんが、生き残ったサンゴも沢山ありました」
そのサンゴたちが新たな供給源となって、来年たくさん産卵して欲しいです。生命のゆりかごであるサンゴ礁が、またいつの日か形成されることを祈りたいと思います。
長田勇さん「私も今後のサンゴ復活を、しっかりと見守っていきたいと思います」
ありがとうございました、以上楽園の海でした。