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指先で物をつまむような動きをしたり、コップを持ち上げて移動させるアーム型のロボットや、腕が2本ある人型に近いロボットなど。オートメーション化された現場で活躍する機械が並んだ展示室には、最新の技術を興味深げに見ている高校生たちがいます。

高校生と楠田さんの会話「これボタンですか?」「ボタン」「押したらなんかなりますか?」「爆発する(笑)」「え~!?」「冗談だよ(笑)」

彼らは、これから始まる「ロボットアイデア甲子園」沖縄県予選の参加者です。

沖縄工業高等専門学校1年 國吉真奈さん「ロボットに興味があったので参加しようと思いました」

沖縄工業高等専門学校3年 比嘉凛さん「実際にどんなふうに産業用ロボットが使われ、利用されたりしているのかを実際に見てみたかったからです」

沖縄工業高等専門学校1年 中村恵さん「でっかいロボットを見たり、その仕組みとか知れたらいいなって思ってます」

ロボットアイデア甲子園(主催・日本ロボット工業会、FA・ロボットシステムインテグレータ協会)は、産業用ロボットを使用した現場を見学して知識を深めるとともに、実際のビジネスの現場で生かせる新たな産業用ロボットを提案する大会です。機械をつくる技術ではなく、活躍させる場を想像するアイデアを競います。全国20カ所以上の会場で予選が実施されていて、今年初めて沖縄でも開催されることになりました。

ロボットに詳しくなくても、大丈夫!実は、今回参加した高校生5人のうち、機械について学んでいたのは2人だけでした。さらにその2人も、初めて産業用のロボットをじっくり見たといいます。

シナジーシステム株式会社 楠田將貴さん「我々の生活の中で産業用ロボットって表には出ないんですけれども、非常に広い分野でいろんなところで関係しているので、そういったところを知ってもらうというのも含めて今回の大会を開催させていただいてます」

座学をした後は、実際にロボットを導入した地元の企業の工場で見学です。論より証拠!産業用ロボットが使われている現場を目で見て学びます。高校生たちは、食用油や塗料の容器として使われる18リットル缶の製造工場にやってきました。

株式会社 那覇王冠 井上勝規さん「材料取って一番右に置いて削る。で、削り終わったものを次の工程に。穴開けたものを一旦カメラで検査して、あそこに立ち上がりを作る。もう一度カメラ検査して、できあがり」

数日前に導入したロボット(現在は試運転中)が、「天板」という缶の蓋になる部分を造っています。これまで50年以上使い続けてきたプレス機に新たな技術が加わったことで、導入する費用を抑えながら作業の効率化を実現しました。

18リットル缶の天板は、1:溶接のときに必要な溝をつける2:注ぎ口の穴をあける3:形を整える4:注ぎ口に部品を取り付ける5:最後に持ち手を取り付けるという5つの工程を経て作られます。

ロボットアイデア甲子園 沖縄県予選

手動のプレス機しかなかった時は、5つの工程にスタッフが3人必要でした。現在は、導入した2台のロボットアームだけで、1から3の工程を担っているので、スタッフを2人減らして「ロボットの管理役」の1人だけで済むようになったということです。アームの隣にあるカメラが、規定通りの場所に加工がなされているかチェックしていて、品質を均一に保てるようになっています。

高専で機械を専攻している國吉さん。溶接の実習の経験から、ロボットを導入するメリットを肌で感じているそうです。

沖縄工業高等専門学校1年 國吉真奈さん「溶接とかもしていて、人がやると危ないなという場面とかは見てきているので、自動化のロボットを使うことが、少子化とかもなってきているから、もう本当にこういうロボットを作っていかないと、日本はもう全然発達してかないなっていうのはものすごく感じます」

ロボットアイデア甲子園 沖縄県予選

企業秘密がたくさん詰まっている工場をなぜ公開しようと思ったのか…?そこには、モノづくりに携わる人材が増えてほしいという思いが込められていました。

株式会社 那覇王冠 玉城幹雄 社長「我々の製造業も人材がなかなかね集まらないんですよ。募集しても」「きつい・汚い・危険、この辺を少しでも解消して、将来に向けて「沖縄の企業はもう立派な工場で製造してるよ」っていうのを今後見せていきたいなと思ってます」「沖縄を担うような技術者として育って、沖縄の産業にロボット化を進めていただきたいなという一心で今回お呼びしました」

このあとは、いよいよ今日の目玉企画!ロボットを使ったアイデアの提案作成です。時間は1時間、限られた時間でロボットの機能や使い方を文字だけでなく、イラストまで描かなければなりません。さらに、ビジネスとして成立するように、実現可能性や、販売価格も考えます。

開邦高校1年 金城航兵さん「ボールを磨いてくれるロボット。部活でボール磨かないといけないときにあったら楽だなって思う」

沖縄工業高等専門学校1年 大森香花さん「(将来)スペースデブリを除去したいって夢がありまして。ISSに直接ぶつかるデブリをアームの付いたロボットが傷を感知して、あわよくば修理までできたらなっていうのを書きました」

ロボットアイデア甲子園 沖縄県予選

沖縄工業高等専門学校1年 國吉真奈さん「マイコンといって小さいものを作るときに一番大変なのが、配線とかはんだ付けが大変なので、それを自動でできるロボットを考えました」

今回の提案は、1カ月半後(11月23日)に、専門家の前で5分間のプレゼンをすることになっています。それまでにアイデアをブラッシュアップしていきます。

基礎知識を学んで、現場を見て、アイデア提案までした、充実の4時間でした。

沖縄工業高等専門学校1年 大森香花さん「システム全て新しいものにするんじゃなくて、古いものも残して同時並行で使うというのが、一番すごいなと思いました」

シナジーシステム株式会社 楠田將貴さん「物作りに関する食いつき様といいますか、多分この子たちはまだ環境がまだ追いついてないというか整ってないだけで、興味や関心というのは非常にある」「いろんな考えがあっていいと思いますので、いろんな方にチャレンジしてもらいたいな。自分の考えを外に出す練習をしてもらいたいなと思います」

ロボットアイデア甲子園 沖縄県予選

少子高齢化の一途をたどる日本は今、どの業界も人材不足という課題を抱えています。だからこそ「人の助けになるロボットを生み出す」という世界には、いろんな形の答えと無限の可能性を追求する楽しさが広がっています。