玉城アナ:楽園の海、案内は水中ビデオカメラマンの長田勇さんです。宜しくお願いします。
長田さん:沖縄の海には綺麗なサンゴ礁が広がっているんですが・・・実はサンゴには多くの敵が存在するんです。
玉城アナ:詳しく知りたいと思っていました。サンゴの敵、自然界の摂理でもありますが、きょうは長田さんにじっくりと伝えていただきます。さっそくVTRをご覧下さい。
長田さん:今年は8月末までに沖縄地方へ接近する台風がほとんどなかったため、浅瀬では水温30°を超える日が続き、サンゴにもかなりのダメージがありました。
玉城アナ:最初の敵は、水温ですね。
長田さん:恩納村の水中、台風11号が通過した9月中旬の様子です。サンゴの色が元々の色よりかなり薄くなっていました。サンゴの色は共生している褐虫藻という藻の色素なんですが、水温が上がるとサンゴの外に逃げ出してしまい色が薄くなってしまうんです。
玉城アナ:白っぽい気がします。
長田さん:この薄紫色の枝サンゴの本当の色は濃いブルーなんです。
玉城アナ:濃いブルーではなく確かに色が薄いです。
長田さん:この日の水温は29.6度。風のウネリで2度ほど下がりました。そしてこちらは完全に白化してしまったサンゴ。ひょっとしたらもう手遅れかもしれません。
玉城アナ:真っ白になっていますね。
長田さん:サンゴは褐虫藻に光合成を行なってもらって生きているため、水温が30°以上の日が長く続くと、褐虫藻が戻って来ずサンゴも死んでしまいます。八重山地方では、8月初旬に白化しているサンゴが多く見られ、そのまま死んでしまったサンゴが多いようです。沖縄本島のサンゴは、色は抜けてしまったものの、台風で海水温が下がった為、褐虫藻も戻って来てくれそうです。
玉城アナ:少しホッとしました。
長田さん:次は今まであまり見た事のないサンゴの敵です。紫色の海綿がサンゴを覆い尽くしています。
玉城アナ:きれいな色ですが、敵なんですね。
長田さん:この海綿はハナヤサイサンゴなどで見かけたことはありましたが、最近は一般的なミドリイシの仲間、枝状のサンゴを覆い尽くしている姿をよく見かけるようになりました。真っ黒な海綿がサンゴを覆い尽くして死滅させているという報告例もありますので、今後様々な海綿が、サンゴの新たな脅威になる可能性があります。
玉城アナ:心配ですね。
長田さん:そしてここ数年、ダイバーたちが海に潜った際に駆除対象としているシロレイシガイダマシ。大きさ3cmほどの巻貝、ここにいるんです。
玉城アナ:サンゴの色に似ているんですね。
長田さん:この貝の大好物は、枝状のミドリイシサンゴ。一気に食べ尽くす訳ではないんですが、ジワジワとサンゴを減らしていく存在です。ダイバーが定期的に駆除活動を行なっている中、なかなか減らないのが現状です。
玉城アナ:これは・・貝がサンゴを食べているのでしょうか?
長田さん:そうです、食べられた部分は真っ白でこのサンゴはもう死んでしまっている状態です。大量発生しないといいのですが、この先どうなるかは分かりません。
玉城アナ:そして美しいサンゴ礁の中にポツンと白くなっているサンゴがありますこれは、オニヒトデでしょうか?
長田さん:そうです。オニヒトデが日中このように影に隠れて生活している分にそんなに心配ではないのですけれども!
玉城アナ:長田さんから見て今年のオニヒトデの量はどう感じられますか?
長田さん:以前より多くなった気がします。今年に入ってから日中でもサンゴの上に乗っているオニヒトデを見かけるようになりました。活動的なオニヒトデが増えてくると、大量発生の前触れではないのか?と思ってしまいます。
玉城アナ:バランスが肝心なんですね。
長田さん:オニヒトデの数が多くなれば浅瀬のサンゴを食べ尽くしてしまい、生態系を崩す懸念があります。よく見ると、色あいも綺麗でデザインもカッコいい生き物なんですよ。でもサンゴを食べてしまうことによって、悪物扱いされています。現在オニヒトデはダイバーの手で駆除する以外の方法がありません。これ以上増えないで欲しいですね。
玉城アナ:サンゴにはたくさんの敵がいるんですね、きょうは勉強になりました。
長田さん:サンゴは、本当に海にはなくてはならない存在なんで、ぜひ頑張って生き伸びてほしい!と思います。
玉城アナ:ありがとうございました、以上楽園の海でした。