日差しの強い日が続いています。きょうは、熱中症対策で活躍しそうなアイデア商品の話題です。
日除けが付いたこちらのベンチ!実は1年前に始まっていた商品なんです。コンパクトに収納できるだけでなく、軽くて持ち運びできるという機能性を備えていて、今、全国でじわじわ注目を集めているそうです。
暑さを防ぐを実現したありそうでなかった商品には、モノづくりへの思いが詰まっていました。
カーブした屋根で日差しをさえぎりながらも世の中の脚光を浴びる日除け付きベンチ「シェードチェア」!!豊見城市の鉄工所が開発しました。重さ7.7キロで持ち運びができ、ひとりでも5分ほどで組み立てることが可能です。
1台で大人2人140キロまで座れます。「日陰の必要な場面で手軽に使える」をコンセプトに、組み合わせは自由自在!横につなげたり、向かい合わせにしたり、用途に応じてアレンジできるのも特徴です。
1年前に迎えた記念すべき初出荷の日、京都から500台の大口注文が入りました。
立神鐵工所・上江洲正直社長「日本国内もそうですけど、ブラジルやアメリカ、特にアメリカ本土の方に、特にこのタイプのベンチはないんで、普及したらいいのかなと思っています」
世界展開を見据えて開発されたベンチ。宣伝は、自社のSNSで告知する程度でしたが、去年は、夏から秋にかけてのレジャーシーズン3カ月間で、およそ2000台が売れました。発売当初から愛用しているという那覇市のフットサル場では。
利用者「本当にスタジアムにあるような感じで、自分たちがプロサッカー選手みたいな」
クーガフットボールパーク・沖縄當間正一代表「バージョンがいろんな形が作れるので、なんでこういったものが今までなかったのかなっていうところが正直な印象でした。見た目がすごいパンチがあるので、ここで売っているんですかという問い合わせがめちゃくちゃ多かったです」
開発者の上江洲正直さんは、子どものサッカーを応援しているときに、このアイデアを思いついたそうです。
立神鐵工所・上江洲正直社長「子どもがサッカーをしている時に、暑い炎天下の中で長イスい座って試合をしているのを見て、日陰を作ってあげられないものかなと思って開発しましたね」
上江洲さんは、高校卒業後、18歳で県内の町工場に就職。29歳で独立し、豊見城市に立神鐵工所を構えました。使い込まれてボロボロになった建設用資材のハンドブックは、独立した時から使っているものです。
立神鐵工所・上江洲正直社長「見積りするときに使うんですけどね。今コンピューターでやりますけども、うちのスタッフコンピューターでやっていますけども、僕は原始人なんで、これでやっています」
2001年の創業以来、建物の鉄骨などを専門としています。上江洲さんのもとには、特殊なオーダーが寄せられることも多く、今手掛けているのは、牛小屋。建物の構造本体と、牛の巨体に負けない頑丈な柵を担当しています。急斜面に、県内最大級の太陽光パネルを設置したこともあります。
立神鐵工所・上江洲正直社長「もちろん重機も入っていかないんで、かなり厳しい作業だったんですけど、ロープぶらさがりながらやりましたけどね、どっちかというと、困難な仕事の方が大好きなんで、誰もやらないというとことに、スイッチ入ってしまうんですよね」
本業での実績も堅調な中、あえて、今回の商品開発に挑戦した理由とは?
立神鐵工所・上江洲正直社長「沖縄というのは建築業に付随してる製造業がほとんどなんですから、自社製品を持っていつか世界中に、知恵をひとつで、おもしろい商品を売れないかなって思っていましたんで」
県内の鉄鋼業などの製造業は、「下請け」が中心です。上江洲さんは、受け身の姿勢ではなく、自社製品で世界に挑みたいと考えていました。
6年前には、自社ブランド「RYUPARA(リューパラ)」を立ち上げ、その第1弾として強風でも飛ばされないパラソルを開発!太陽光パネルの支柱用に考案した強力な杭の技術を使い、台風並みの風速20メートルの強風にも負けません。
コロナ前までは、オーストラリアやハワイに輸出し、ハワイだけでも、およそ300本が売れました。そこで、第2弾として、日除け付きベンチを投入し、国内での販路開拓に乗り出しました。
立神鐵工所・上江洲正直社長「海外を売って歩くと、やっぱり製品一つでは厳しいんですよ。大谷翔平さんみたいに二刀流ですか、AがダメならB、BがダメならCまで、買ってもらうような二刀流、三刀流ぐらいないと厳しいんで、第2弾ということで、シェードチェアを開発したんです」
「沖縄の鉄工所から世界へ」という強い思いが、ありそうでなかった製品を形にし、その行動力が世界への扉を開こうとしています。
立神鐵工所・上江洲正直社長「実は考えている人はいっぱいいるんですよ。ですけど、形にしたり、行動したりしないわけですね。我々の方は、思いついたいいアイデアを実際に作ってみて、形にして売ろうということで。小さな沖縄から生まれたリュウパラというメーカーを、世界中にヒット商品を出せるメーカーを目指してやっていけたらいいなと思っています」