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コロナ禍になってから3回目の夏休みに、過去に類を見ない感染状況の悪化とともに医療現場のひっ迫もでています。こうしたなか、子どもはかかっても「軽症」だから大丈夫とも一概に言い切れなくなっています。小児の感染症に詳しい医師に話を聞きました。

県立南部医療センター・子ども医療センター小児感染症内科 張 慶哲 医師「子どもが軽症だと、リスクが低いというような考え方はちょっと言い切れないと私は思っています」

子どもの感染症に詳しい県立南部医療センター・子ども医療センター小児感染症内科 張 慶哲(ちょう・よしあき)医師は、新型コロナの「軽症」というイメージに保護者と医療現場で乖離があると警鐘を鳴らします。

県立南部医療センター・子ども医療センター小児感染症内科 張 慶哲 医師「軽症というと微熱で元気にしているというイメージがあるんですけど、僕らの方で入院している人が6人ほどいるんですけど、そのうちのおおい理由のベスト3にあるのは熱性けいれんです」

「熱性けいれん」とは、感染症で熱が出た際に全身が痙攣する病気で特に0歳から3歳の子どもたちに多く見られるものです。医療現場では、熱性けいれんが出ても分類的には「軽症」とされています。感染者が増えるにつれて全国的に多く報告されるようになり、入院が必要なほど危険な状況になる例も珍しくなくなってきたと言います。

県立南部医療センター・子ども医療センター小児感染症内科 張 慶哲 医師「脳炎のうしょうといって、神経学的に後遺症を残したり、場合によっては命の危険が出るようなそういう症例が全国ではコロナで報告されている」

感染爆発の夏休み 子どもたちとコロナの現状

さらに医療従事者の間でも感染が広がっているため、もしもの場面に対応できない「医療崩壊」が目前にあると現状を語りました。

県立南部医療センター・子ども医療センター小児感染症内科 張 慶哲 医師「救急陽性から病院に到着するまでの時間というのも県内でも長くなっているというデータも出ています。こどもで、けいれんして当然救急車を要請していいと思いますけど、救急車を要請しても小児科の先生になかなかつながらないということが起きかねない、実際に起きはじめていることかなと思っている」

小さな命を守るためにも張医師は、県民に協力してほしいことを2つ呼びかけています。

ひとつは医療現場のひっ迫を防ぐために、平時から解熱剤や検査キットなどを常備しておくことと、子どもが感染した際に救急の診療が必要かどうかを把握しておくことです。水分がしっかりとれていたり、解熱剤で元気が出るようであれば救急ではなく通常の診療時間にかかりつけ医に相談してほしいとしています。

一方で、けいれんがあったり、呼吸がいつもより早かったり、大きかったりして苦しそうな場合は迷わずに救急に来てほしいということです。そして、もうひとつは子どものワクチン接種です。

県立南部医療センター・子ども医療センター小児感染症内科 張 慶哲 医師「今からでも子どものワクチン接種は全然遅くないですので、子どものワクチンは大分安全性も効果もわかってきて、入院の要望の効果がかなりあります、6わりから7割の入院予防効果がありますので、今言ったようなねつせいけいれんですとか、そういうところに関して僕らは怖いなと思っていますので、ぜひまたこの変検討していただくのがいかなと思っています」

きょうから旧盆、親戚周りやイベントなどで人流が多くなります。県民ひとりひとりがこれ以上感染を広げないよう意識することが、医療の現場や自分の周りの命を守ることにつながります。

県立南部医療センター・子ども医療センター小児感染症内科 張 慶哲 医師「みえないところで一番弱い立場の人が苦しい思いをしているということを頭の片隅にでもいいので知っていただいて、自分の行動がゆくゆくはそこまでつながってしまっているという医療の状況なんですね、入院したくてもできない、例えば病気がないお子さんでもけがとか事故とかでも、これ以上コロナが増えると南部医療センター子どもの入院とれないという状況になりかねませんので、瀬戸際のぎりぎりの状況かなと思っています」

感染爆発の夏休み 子どもたちとコロナの現状

「張医師の努める南部医療センター・こども医療センターでは、現場が非常にひっ迫した状況で、救急医療を守るため災害時事業継続計画が発動され、入院の必要のない軽症患者の受け入れの一部を制限せざるを得ない状況になっています」

「自分や身近な人がもしもの時に適切な治療を受けられるよう、改めて私たちは初心に立ち返って、感染しないような行動を心がける必要があるのではないでしょうか」