SDGsプロジェクト。ニコッと笑える未来へ。今回は、食べ物を短時間で凍らせて保存する急速冷凍機にスポットを当てました。
この機械を使って品質の確保と食品のロスを減らせるのではと、試行錯誤する県内の事業者を取材しています。
ことし4月、恩納村である実証実験が行われました。銀色の箱の中から出てきたのは、キンキンに冷凍された食材!それは、沖縄ではまだ導入されていない小型の急速冷凍機でした。
実際に店頭で販売している海ブドウやマンゴーなどを使用し、どの程度おいしさが保たれるのか実験しました。
この急速冷凍機を開発した、宮山勝彦さん。機械には絶対の自信を持っています。
宮山さん「このマイナス1℃からマイナス5℃の間をいかに早く通過させるかということによって、食材の中に含まれる水分が大きくならないうちに凍っていく」
マイナス1℃からマイナス5℃の間の温度帯を「凍結の魔の温度帯」と呼ばれていて、この温度帯にいる時間が長いほど食材の細胞の外側の水分から氷になり、それが大きくなって細胞を破壊することでうま味を損なうとされています。
しかし、この機械だと「魔の温度帯」を短時間で突破できると宮山さんは話します。
宮山さん「我々の液体冷結機はこの間を2分で通過していく」
魚介類や果物などを県外に販売することも多い沖縄では、急速冷凍が普及するのではないかと期待を寄せています。ただ、不安もありました。
実証実験を前に機械の調整を行った際、うまく稼働せず中が冷えない不具合が発生していました。原因を探ったものの 結局この日は解決できませんでした。
その後に機械の中の温度が高くなってしまっていたことが原因とわかりました。側面に外気を入れる場所を増やして再挑戦した結果。
濱元記者リポ「中にいれて30分ほどたったマンゴー、カチカチに凍っています」
そして、いよいよ試食会のとき。特に注目されたのは、冷凍するとはじけるような独特の食感が無くなってしまうのではと心配されていた海ぶどうです。
おんなの駅・宇良武さん「まず粒がつぶれていないことにびっくりしましたし、解凍した後もドリップもなくてですね、口に運んだ時にすごくプチプチ感を感じられて、すごい可能性を感じましたね」
アルバネクス株式会社・宮山勝彦会長「傷みやすいものも冷凍しておけば1年くらいはちゃんと味を整えて保管できるのも大きなメリットですよね。盛んに食材の廃棄(が問題と)言われているSDGsともいわれてるんで、それに貢献できるかなと思っている」
上々の反応得た急速冷凍機、実は得意分野はフルーツや生ものだけでなく、加工食品です。器にもられたごはんや野菜、シューマイは、一見普通のお弁当に見えます。介護現場などに弁当を届ける業者がつくったもので、2週間前に急速冷凍機で凍らせて保存したものを解凍しました。
この店では団体からの注文を多く請け負い、弁当の配食を行っています。1回に大人数の予約を請け負うこともあるため、イベントの中止や台風などでキャンセルが出た場合は、多い時には200食ほどの廃棄が出てしまうといいます。どうにか捨てずに再利用できないかと急速冷凍機を試してみることにしました。
野菜類などはもちろん、これまでなかなか冷凍がうまくいかなかったごはんも、風味と食感がしっかり残っていました。
ヘルシーフーズ・福田玲奈さん「かなり素早い冷凍に加えて、アチビーだったり米飯あったり、今まで私たちの技術ではできなかった食材を冷凍できそうな感じがしたので、さらなるフードロスの削減と、今世の中のはやりであるSDGsにさらに取り組んでいけそうな感じがしますね」
急速冷凍機の小さなボディには、食品冷凍の新たな可能性やフードロスの削減など、大きな期待がつまっています。