爆発的な感染の拡大に伴い、自宅で療養を余儀なくされる人も急増しています。「自宅療養」は原則、症状が軽い人とされていますが今の感染状況が長引けば中等症でも入院できなくなるなど不測の事態について考えておくべきかもしれません。
「もし、自宅療養者になった時、症状の悪化に気づくべきポイントは何なのか」医師がそばにいない「自宅療養」だからこそ「危険なサイン」を知っておくことが大切です。
県立中部病院 感染症内科・椎木創一医師「コロナそのものがかなり軽症で済むパターンが増えてきた。病院とかクリニック含めて、受診できる医療資源を超える大きな感染の波が来ている。そういったことで、自宅でみんな過ごしていただいて、良くなるのを待つという対応が必然的に必要になってしまっている」
県内では先月中旬から爆発的に感染者が増加しています。感染の急拡大で医療のひっ迫は深刻さを増していて、救急の受け入れや一般外来の診療を制限したり、民間のクリニックが日曜日や祝日に発熱外来を請け負ったり医療崩壊を招かないための苦肉の策が続いています。
7月を迎えた当初、1万人だった自宅療養者は日に日に増えていき、先週から3万人を超える事態に陥っています。わずか1か月で3倍です。濃厚接触者のことも考えれば、家の中で身動きを取れない人がさらに多いことは容易に想像がつきます。
県立中部病院 感染症内科・椎木創一医師「コロナが風邪のように扱えるようになるためには自宅での療養をいかにして皆さんにある程度、上手くやっていただけるようになっていくか。少し慣れていただく。こういったこともどうしても必要な要素になってきますね」
医師が近くにいないという不安がつきまとう自宅療養には我慢せず病院に駆け込むべき「危険なサイン」があります。最も気を付けないといけないのが「肺炎」です。新型コロナによる発熱は一般的に4日から5日間とされています。それでも収まらずにせきなどの症状も続くときには受診すべきだといいます。
県立中部病院 感染症内科・椎木創一医師「肺炎を起こした場合は4,5日経っても高熱、8度9度が続いていたり、咳がどんどん悪くなっていくんです」
呼吸や意識の状態にもポイントがあります。上手く呼吸ができず、息苦しさを感じたり、高熱が落ち着いても意識がもうろうとする時も医師に診てもらう必要があります。
県立中部病院 感染症内科・椎木創一医師「喉が詰まるような感じであるとかですね。そういった場合は今のコロナだと喉の奥が本当に細くなってしまっている場合というのがあります。それは非常に危険な状態になります」「酸素の機械、数字が非常に低い。91%とか90%とかそれ以上上がってこない場合とか。チアノーゼと言いますけど酸素が十分に吸えない場合、顔色が非常に青くなったり真っ青になったりしますね。そういった場合はもう救急車を呼んでいただく方がいい場合ですね」
過去最大の流行の波に見舞われている今、誰もが感染リスクを負っているといっても過言ではありません。「自分もかかるかもしれない」という心構えで慌てず対処できるように事前に準備しておくことも大切です。
県立中部病院 感染症内科・椎木創一医師「日ごろから常備薬としての風邪薬、4,5日分の熱さましとかそういったものを備えておくということが必要です。ご家族様が何名かおられる場合にはそれに合わせた例えば小さなお子さん用のものとかですね。そういったことをいくつか備える必要があります」
「体調が悪くても口にできるようなゼリーだったり、ジュース類だったりとかそういったものの備えをある程度の日数、おかゆとかそういったものを作りやすくしておくとか、そういったことはされておいてもいいかと思います。」
危険なサインを知っておくことで、自宅療養の心細さを減らすことができます。必要な人が必要な医療を受けられる態勢を維持していくためにも多くの人の協力が欠かせません。
県立中部病院 感染症内科・椎木創一医師「ご自宅で療養している人たちっていうのはどうしても寂しくなったりとか、気分がふさぎ込んでしまったり、それこそ誰か気にかけない時に具合が悪くなって倒れてしまったりしてないか。ご家族や地域の人がそういう方を気にかけて、皆さんで支え合える。そういう言ったことがとても一番重要な、地域で人々を守っていただくために必要なことだろうと思いますね」