沖縄市で唯一、学校内に単独の調理場を持つ諸見小学校の調理場が今月、閉鎖となりました。実は、玉城さんも諸見小学校の卒業生なんですよね。
玉城アナウンサー「はい、地域でも有名な「自慢の給食」で私もとてもお世話になりました」
そんな“諸見調理場”最後の給食に密着しました。
児童「(Q.給食好き?)給食好き!揚げパンが好き」「揚げパンとカレーが大好き」「(Q.諸見小のカレーおいしいよね)はい」
児童たちが、待ちに待っていた給食の時間!おいしそうに食べる様子を見ていると、つい、笑顔になります。戦後直後に開校した沖縄市立諸見小学校。学校給食で、パンまたはごはんとおかず、そしてミルクの出す「完全給食」を開始するため、学校敷地内に調理場が設置されたのは1967年でした。
それ以来、諸見っ子たちに出来立ての温かい給食を提供することで子どもたちに食の大切さについて学んでもらう。私自身、給食時間が何よりも楽しみでした。
諸見小学校にはランチルームと呼ばれる特別な部屋があり、栄養士から直接食の大切さを学びながら給食を食べることができます。
玉城アナウンサー「全然変わってないです!懐かしいです。あ!ここに座って友達と給食食べてた気がします」
その他にも図書館にある絵本に登場する料理を再現した「絵本献立」など、ユニークな取り組みを重ねてきました。
栄養士 比嘉政成さん「食べてもらわないことには意味がないですので」
栄養士の比嘉政成(ひが・まさなり)さんは、給食についてこどもたちの未来をつくる「教材」の一つだと話します。
栄養士 比嘉政成さん「好きなものだけではなく、時には残るのを覚悟するときもあるんですけれども。大人になってどういった食事、どういったものを選択していけるのかっていうところ(を伝える)。最後まで、おいしく楽しく食べてほしい」
調理員の仲宗根洋(なかそね・ひろし)さんは10年以上、諸見っ子の給食を作り続けてきました。
調理員 仲宗根洋さん「”いつもおじちゃん、おいしい給食ありがとう”という言葉がうれしかった」
今回、調理場が閉鎖される理由は「施設の老朽化」によるものでした。
調理員 仲宗根洋さん「最後の給食ということで、張り切って作っていければなと思っています」
1学期が終わるこの日が、諸見調理場、最後の日です。
「きょうラスト献立になっております。」「安全はあるものではなくつくるもの、気配り思いやりを大切に。きょうも一日頑張りましょう」
きょうのメニューは、みんなのリクエストの中から選ばれた絵本献立の「おばけかつカレー」!
調理員さんの手で1つ1つおばけの形に切り取る細かな作業は単独調理場だからこそ。最後の最後まで、諸見調理場だからできる給食をつくります。
栄養士 比嘉政成さん「ラストの給食の意気込みはどんな感じでしょうか」
調理員 仲宗根洋さん「はい、気合入れておいしく揚げていきたいと思います!」
栄養士 比嘉政成さん「お願いします!!」
完成した給食が配膳室に並べられ、準備は万全!時刻は正午。授業を終えた児童たちが配膳室へやって来ました。
児童「3年2組です。入ってもいいですか」
栄養士 比嘉政成さん「どうぞ」
各教室に運ばれたおいしそうな給食!実はメニューの「かつ」は、コロナの影響でリクエストした献立が食べられなかった児童たちへ調理場から最後のサプライズでした。
「きょうはみなさんのためのサプライズとんかつ、おばけとんかつカレーにしました」
愛情が込められた給食に児童たちの反応は…
男子児童「完食」
女子児童「もっとリクエストとかしたかった」
女子児童「最後の調理場の給食でちょっと寂しい感じがしたけどいつも通りすごくおいしかったです。」
おいしい給食を届けてくれた調理場へ…これまでの感謝の思いを詰め込んだセレモニーが開かれました。時折目を潤ませながらもどこか晴れやかな表情に見えます。
女子児童「毎日あたたかい給食を作ってくれてありがとうございました」
調理員「ありがとうございました」
西銘清正調理長「きょうで諸見調理場は終わってしまうんですけど、皆さんの心の中にいつまでも、いつまでも諸見調理場で食べた給食ずっとずっと一生の宝物にしてください」
栄養士 比嘉政成さん「これ(給食)は単なるお昼ご飯だけではないです。給食も国語や音楽、算数、数学といったみんなのほかの授業と同じでこれも授業の一環です。体を作る授業です。夏休み明けからもしっかり食べていきましょう、約束できますか」
児童たち「はい」
栄養士 比嘉政成さん「はい、ありがとうございます。」
男子児童「毎日学校の給食をアツアツほやほやで、おいしい給食を作っていただけたのはとてもありがたいことです」
女子児童「(調理場が)なくなるのは悲しいから、これからこの味を忘れないようにしていきたいと思います」
女子児童2人「(2人声合わせて)2年間、おいしかったです!」
PTA副会長 工藤新さん「今までおいしい給食を作ってくれて本当にありがとうございます。卒業してから30年以上になりますけど、今でも思い出に残っています」
渡久地裕子校長「仕事に対するその情熱っていうのが、やはり私たちもそうですし、こどもたちにも伝わって本当に大きな教育になったなと思っています。感謝の気持ちがとても育まれたと思います」
栄養士 比嘉政成さん「これからも心の中に諸見調理場が残ってくれればと思います。本当に長い間ありがとうございました」
調理員 瑞慶覧朝弘さん「(異物混入等もなく)無事に安全安心の給食を作れたっていうのが大変喜んでいます」
調理員 仲宗根洋さん「諸見調理場で作ってきた給食をまた今後、センターに行ってもですね変わらぬ思いで給食(つくりを)を頑張って作っていきたいと思います」
形を変えても人の思いは変わらない。「安全でおいしい給食を届けたい、食べてほしい」こどもたちの笑顔を育み、健やかな成長を願う思いはこれからも引き継がれていきます。
「手を合わせてください、おいしい給食ごちそうさまでした。」「ごちそうさまでした。」