2008年に起きたアメリカ兵によるタクシー強盗事件の補償をめぐって国を相手取った裁判で訴えを却下された一審判決を不服として被害者遺族が、7月22日に控訴しました。
2008年にアメリカ兵2人に襲われたタクシー運転手の遺族は2018年の裁判で確定した遅延金を含むおよそ2500万円の損害賠償の支払いを国に求めています。
アメリカが提示した見舞金と裁判で確定した補償額との差額を国が肩代わりするという日米地位協定に基づく制度を使って被害者遺族が請求したものでアメリカ側が146万円を支払うと意思を示したのは事件から10年ほど過ぎていたにもかかわらず法律で認められた遅延金の支払いを国は拒否しています。
7月14日の判決で那覇地方裁判所は、制度の根拠となっている「閣議決定」に法的な根拠はないため「裁判の対象にはならない」として、被害者遺族の訴えを退け遺族側が判断を求めていた遅延金の問題には踏み込みませんでした。
日高洋一郎弁護士「(判決で補償金の支払いは)国が一方的にすることではなくて国と国民の契約ですよという話ですから、いってしまえば国の側が「あなたとは契約します、あなたとは契約しません」こういうやり方ができるようになるんですね」
今回の判決について日高洋一郎弁護士は被害者を救済するはずの制度が国の都合を優先して被害者の声を無視していると指摘します。
日高洋一郎弁護士「国の側が責任をもってやる行政処分ではないとか、契約が成立していないとか、そういう形式的なところで切るのではなく、被害者の救済とはかくあるべきというところを裁判所としては提示してほしいと思ってます」
被害者遺族・宇良宗之さん「(自分以外にも)未来に何か事件事故が発生した場合の補償、そこをスムーズに手続きができるような意味合いでしっかりした補償、これを明確にしたいと思っています」
遺族側は福岡高等裁判所那覇支部に控訴しました。