県内のコンビニエンスストアで、先週からある国の家庭料理が販売されています。お弁当に込めた思いを取材しました。弁当に惣菜、スイーツ…毎週のように新商品が登場するコンビニ業界。先週、新しいフェアに目を奪われる人々に出会いました。
リタさん「これはどこです?」店員「これはあっち」リタさん「これ、おいしそう、これ食べたい」彼女のふるさと、ネパールの「チョウメン」です。
Qよく食べていたんですか?ネパール出身リタさん「はい。いつも休みの時はこれいつも食べます」店舗に配送する商品を仕分ける物流センターでも。
ネパール出身マンズさん「これチョウメンです。ネパールのチョウメンです」「これ、きょうからですか?すぐ買って食べます」母国の味を詰め込んだコンビニ弁当が、今、沖縄で働くネパールの人たちの心を掴んでいます。
沖縄ファミリーマート商品部の稲福直哉さん。「私の中では、上間天ぷらをコンビニで展開したのが、一番のヒット商品になっています」
老舗の天ぷらをコンビニで買えるようにしたり、本土復帰50年を記念した「懐かしフード」を特集するなど、地元に根差した個性豊かな企画を連発するヒットメーカーです。
今回、ネパールとベトナムの定番料理を紹介するフェアを手がけました。6品のうち5品に、好き嫌いが分かれるパクチーを使い、風味も日本人向けではなく、あえて現地の味を優先しています。その背景には、コンビニ業界の担い手の変化がありました。
沖縄ファミリーマート商品部 稲福直哉さん「沖縄ファミリーマートを支えている方たちって、沖縄県出身の方だけではなくて外国人の方たちもかなり多くて」「彼らの母国のおいしい料理とか、そういったものを我々で展開して、彼らに食べてもらいたいし、逆に沖縄の人たちにこれを食べることによって、興味を抱いてもらうというか」
沖縄ファミリーマートには、関連会社も含めて、およそ660人の外国人スタッフが在籍しています。このうち店舗は、ネパール人を中心に400人。製造工場と物流倉庫で、ベトナムからの技能実習生など260人が働いています。
ネパール出身バハドゥルさん「なかなかネパールでは仕事見つかるのが難しいので、日本で知識を学んで、沖縄に就職したいと思いましたので」「結婚して、奥さんを呼んでいますので」「永住ビザをとってこちらの会社で働きたいですね」
夢を抱いて沖縄に渡ってきた若者たちに、感謝と応援の気持ちを伝えたい…そんな願いが、今回のフェアに込められているのです。
発売4日前、商品の最終確認に同行しました。チェックを担当するネパール出身のカンチャンさんは、製造を請け負う食品会社の社員です。稲福さんの依頼を受けて、ネパール料理のレシピを提供しました。
ネパール出身カンチャンさん「おいしい」「最初は(スパイス感が)無かったけど、今は大丈夫です。このくらいのスパイスが近いです」
ネパールの商品は3品。スパイスやパクチー、具材にこだわり、試作を重ねてきました。カレーには、24種類のハーブとスパイスを使用。ピリッとする辛さが、食欲をそそります。–
ネパール出身カンチャンさん「クミンとか、あとパクチーもどのくらい入れるのかとか、家族にとってもちょっと違いがありますので、それ、今出したレシピは、自分で、自分の家で、お母さんから、おばさんたちから学んだものです」
カレーで再現した実家の味。カンチャンさんは、コロナの影響で帰国のタイミングを逃し、家族と5年も会えていません。
ネパール出身カンチャンさん「そんなに長く続くとは思わなかった。どんどんひどくなってきたときは、本当に家族に会えるかなっていうくらい、さびしかった。」海外に来てから、自分の国の(料理を)こうやりますと言ったら、うれしいです。とても感謝の気持ちです。うれしいです」
フェアのもうひとつの主役、ベトナム料理は、食品工場で働く技能実習生たちの意見が盛り込まれています。沖縄5年目のニウンさんは、フェアのポスターにも出演しました。
ベトナム出身ニゥンさん「うん。おいしいです。おいしいです」
ベトナム出身ランさん「たまには自分でも、同じベトナムの料理、日本人に作ってあげたけど、いっぱいは作れないですから、ひとりかふたりしか食べれなかった。でも今回はファミリーマートで売っているから、みんなでぜひ、食べてみてくださいね」
フェア初日。レシピを提供したカンチャンさんが店舗の様子を見にきました。
ネパール出身 カンチャンさん「ネパールの子たちだけじゃなくて、沖縄出身の方たちも、味とか合うかどうか、それも考えたらドキドキです。うれしい気持ちもあります」「みんなに買って食べてくださいと言いたいです」
お弁当コーナーで、定番商品と肩を並べて陳列されるネパールやベトナムの家庭料理。スパイスの効いた本格的なおいしさの向こうには、沖縄のコンビニ業界を支える人々の夢に向かって進む姿や、母国を思う気持ちがありました。