夏に向かうナインを支え、時にはその行動力でチームを引っ張るのは「最もグラウンドにいる時間が長い」と自他ともに認める3年生女子マネージャー。チーム思いのマネージャーと選手が一丸となって甲子園をめざしています。
強い雨が打ち付ける中、白球を追いかける宜野座ナイン。大会まで残り1カ月を切り、練習にも熱が入ります。
去年の秋季大会・今年の春季大会ともに1回戦負けと悔しい思いをしてきただけに、夏の勝利にかける思いは一際強いものがあります。
大城一叶選手「(大会は)1回戦負けしてしまったけど、たくさん走りこんだり投げ込みして、どんどん仕上げってきたと思っている」
比嘉太陽主将「これからあと1カ月、上げていくように頑張っている」
そんな宜野座野球部にはチームを支える心強い存在が。それが2人の3年生マネージャー!
1人目は男子マネージャー・古謝瑛大くん。もともとは練習をサポートするマネージャー業務が中心でしたが、宮城監督から「ノックを打ってみないか」と提案を受けたことがきっかけで、今では外野のノッカーとしてもチームに貢献しています。ただ、最初はなかなかうまくいかなかったようで…
古謝瑛大くん「先生についてもらって一からついてもらって、最初は外野に飛ばすことができなかったけど、それがどんどん飛ぶようになって、良くなっていった」
練習の合間にノックの練習やトレーニングをしてきたという古謝君。その腕前は今は仲間からも太鼓判です。
比嘉太陽主将「きわどいところに打つのが上手くなっていて。球際に強くなる、粘らせるノックを打っていて、すごいなと思う」
古謝瑛大くん「選手と近くで練習を一緒にして、上手くなってきていると感じる部分があるので、勝利に向けて頑張ってほしい」
そしてもう一人が…。授業が終わり、急いでグラウンドにやってきたのは3年生女子マネージャー・前田星空さん。作業着に着替え、右へ、左へ。とにかく息を着く間もなく練習前の準備を行います。
中学までソフトボールをしていた前田さん。高校では迷わず野球部のマネージャーになりました。
前田星空さん「自分がプレーするのもいいけど、表に出るより裏で頑張ってみたいなという気持ちが大きくて、それでマネージャーしたいなと思った。ただ負けず嫌いなところがあるから、人並みが嫌い、だから一人でもやらないと気が済まない。やるからには甲子園行きたいな」
部員の中で最もグラウンドにいる時間が長いと胸を張る前田さん。この1年間、練習で使うグラウンドをきれいにすることに取り組んできました
グラウンド内の草は取り除かれ、建物にはペンキが塗られ、極めつきは内野の土!より球場に近い黒土に監督や他のマネージャーと協力して5カ月かけて入れ替えました。
前田さんたちによって改良された土のグラウンドで、選手たちも手ごたえを感じています。
大城一叶選手「黒土だったら球場と一緒なので、試合を同じ感覚で投げられるのでありがたい」
比嘉太陽主将「いつも頑張っていて、こっちが心配になるくらいやっていて。本当に自分たちも頑張らないといけないという気持ちになる」
今まで10年以上の指導歴を持つ宮城監督も、星空さんの行動力に舌を巻きます。
宮城岳幸監督「この子はチームに勝ってほしい。少しでも長く高校野球を続けたい。そういう思いが強い子ですから。集中力がすごい。何考えているかわからない、僕が練習のこと考えている時にパット見たらもう無心でやっている」
監督からもらったピンクの作業着に付いた様々な色のペンキは、前田さんがこれまで苦労してグラウンドの練習環境を整えてきた勲章です。
前田星空さん「あと実際になってみて、裏で支えてみて、自分にしか見られないみんなの良い顔が見られて、ほかのマネージャーとは違う形かもしれないけど、やってよかったなと思うことがたくさんあるから、今が最高。多分人生で一番最高。負けないです。甲子園に行きたいという気持ちも多分誰にも負けてない、チームの中でも」
夏を前にバットを振り続ける宜野座の選手たちとそれを全面的にバックアップし、実力を引き出すマネージャー陣。甲子園への思いがこもったこのグラウンドから勢いよく、夏の舞台へ飛び出す!
大城一叶選手「夏は全試合投げぬく気持ちで、一戦一戦勝ち抜いて優勝目指して頑張ります」
比嘉太陽主将「最後の夏なので、このチームで甲子園に出場したいです」
前田星空さん「あと一カ月、わくわくするし、さみしいし、変な気持ちだけど、やるからにはやっぱり勝ち進んでいきたい、みんなで。集大成でもあるから、今までよりもさらに自分を追いこんで、部員を巻き込めるような存在、勝てる源になりたい。やる気は一番あるので」