今年も球児たちの熱い夏がやってきます。「めざせ甲子園!」です。沖縄大会は来月18日に開幕、およそ1カ月に渡って熱戦が続きます。
本土復帰50年の今年、学校紹介のスタートを飾るのは64年前に県勢として初めて甲子園に出場した首里高校です。2年前から続くコロナ禍で最も練習できない日々を過ごした3年生たち。それでも逆境にめげず、絆を深めています。
1958年の夏、県勢として初めて甲子園の土を踏んだ首里高校野球部。沖縄がアメリカの統治下にあった当時、植物検疫法で持ち帰ることが許されなかった甲子園の土は海に捨てられ、後に客室乗務員が学校に小石を送ったエピソードは今も語り継がれています。
特別な歴史を持つチームにとっても本土復帰50年の今年は大きな節目です。
首里 木村匠翔(たくと)選手「首里高は沖縄の高校野球にとってちょっと特別な存在なのかなと感じていて自分たちもその伝統を背負っているので自分たちがやらないといけないなという部分はあります」
しかし、今年の3年生は2年前から続くコロナ禍で入学さえ2カ月遅れ、緊急事態宣言や休校などの影響で部活の中止や制限を余儀なくされ継続した練習ができずにいた代です。
主将としてチームをまとめてきた松田桂哉は首里高野球部だった兄と同じように入部しましたが、思い描いていた高校野球とは全く違う2年間を歩まざるを得ませんでした。
首里 松田桂哉主将「兄から聞いていたように練習の後に残ってみんなで練習したりそういうのもきついかもしれないですけど楽しい思い出だったと思うのでコロナ禍でそもそも残って練習とかの前に練習すらできなくて」
もどかしさや葛藤を感じながら。それでもやってくる高校最後の夏に向けて選手たちは前を向いています。限られた練習の中でもコミュニケーションを深めるため練習メニューごとに全員が集合、交代で課題や目標を発表し、それをチームで共有。
こまめにミーティングを行うことでいつも同じ意識を持ってトレーニングに励んできました。
首里 松田桂哉主将「その日によって同じメニューでも違うことを意識することによって練習がなあなあになるんじゃなくて意味がある練習ができるようになった」
さらに!
首里島俊介選手「自分たちの代でコロナで応援とか途切れてしまったんですけど。自分たちが下の代に首里高サンバとか応援を継承できるように工夫しました」
勝利を目指すチームにとって欠かせないのが”首里高サンバ”
スタンドから多くの選手たちを支えてきた学校伝統の応援ですがコロナ禍で披露する場がなくなり、今ではその存在を知らない下級生も。
伝統を受け継ぐため、1日でも長い夏を過ごすために3年生が中心になって春から応援練習も始めています。
部員が集まることさえできなかった状況にもめげず、”コロナに負けない絆作り”で逆境を乗り越えてきました。
そしてチームにはその象徴ともいえる存在が。西表島出身の大城空也(たかや)君です。離島から本島に進学してきた生徒らが生活する那覇市東町の群星寮から首里高校へ通っている空也君。およそ5キロの道のりを急な坂道にも負けず、自転車で通ってきました。
首里 大城空也選手「雨が降っていない時は(自転車)今は慣れました。一番は交通代がかかってしまうので親への負担を減らしつつ自分のトレーニングにもなるので一石二鳥みたいな」
決して楽ではありませんが、それでも懸命にペダルを漕いで練習に参加してきた空也君。そこにはたとえ想像していた高校野球生活とは違っても変わらない思いがありました。
首里 大城空也選手「野球がずっと好きで中学校は人数が少なくて思いっきりできないというか。首里にきてみんなで楽しく思いっきり甲子園に向けて取り組めてめちゃ楽しいです。野球がずっと好きなので好きな野球を思いっきりやりたいという気持ちでずっとやっていました」
溢れる野球への思い。コロナ禍だからと言って決して悲観的にならずひたむきに高校野球に打ち込む姿はチームの刺激になってきました。
首里松田桂哉主将「1人でも絶対やろうという気持ちがある人が出てきたらチームも雰囲気が変わると思うのでもっと空也みたいな存在が出てきてほしいなと思っています」
コロナ禍に翻ろうされたからこそ感じた’絆を深めることの大切さ”と”高校野球への思い”
県勢として歴史を刻んだ大きな伝統とともに首里高ナインが自分たちらしく新たな夏の一歩を踏み出す!
首里大濵遥喜選手「最初はコロナでバラバラのスタートという形だったけどみんなで練習していく中でどの高校よりも一番良いチームになったと思います。まずは初戦を突破して最後は優勝という形で締めたいです」
首里島俊介選手「この夏は一戦必勝でしっかり上まで上がっていけるように頑張ります」
首里大城空也選手「僕の中で高校野球は憧れでもあったので西表島にいた時からあと1カ月しかないんですけど3年生みんなでまとまってしっかり1試合1試合に取り組んでいきたいなと思っています」
「絶対勝つぞ」