輸入牛の赤身肉を使った沖縄ステーキ。円安やコロナ禍の影響で、牛肉の輸入価格の上昇が続き、県内のステーキ業界も頭を悩ませています。そうした中、新たな戦略で現状打破に挑む老舗ステーキ店を取材しました。
88グループ・金城康樹常務取締役「仙台で牛タンとか、福岡めんたいこ・もつ鍋みたいに、沖縄はステーキだという形のものをより広げていきたいです」
Aサインバーにルーツをもつ老舗ステーキ店・ステーキハウス88。いま、県内外で、積極的な店舗展開をしています。
この日は、糸満市のショッピングモールに「88Jr.」の新店舗をオープンさせました。サラダ、スープ、ライスは、自分でよそうセルフ方式で、中心価格帯は1000円~1500円。県民の日常的な利用を狙います。
この店で、新たに取り入れたシステムがありました。
88グループ・金城康樹常務取締役「レジに人をとられなくて済む。そういった利点で今回、導入しました」
客が自分で料金の精算をするセルフレジです。さらに、注文用のタッチパネルも導入しています。
88グループ・金城康樹常務取締役「セルフレジとタッチパネルがない店舗よりは、人件費は15%ぐらいカットできるんじゃないのかな。肉の価格が15%仕入れ値が上がっても耐えられるだろうという計算をしながら導入しました」
人件費の削減に取り組む背景には、輸入牛の仕入れ価格の高騰があります。88グループでは、2020年頃から仕入れ価格の上昇が続き、その時点から25%~30%ほど価格が上昇していているといいます。
88グループ・金城康樹常務取締役「コロナの影響だとか、オーストラリアの干ばつとか、あとは原油価格の高騰で輸入牛を運ぶ船の燃料も上がっていますので」
仕入れ値が上がる中、品質や価格を変えないために企業努力を続けていました。
88グループ・金城康樹常務取締役「これ以上金額が上がると、たまにしか食べられないものになってしまう。それをなるべく平日でも食べて欲しい。そういった思いでやっています」
北谷と那覇に3店舗を構える、ステーキハウス・キャプテンズイン。1978年創業のこの店は、目の前で調理する鉄板焼きスタイルが特徴です。
修学旅行生や観光客も多く訪れていましたが、新型コロナの影響で、客足は大きく減少。さらに、原料費の高騰も大きな負担となっていました。そうしたなか、新しい業態に挑戦しています。
比嘉記者「キャプテンズグループが新たにオープンさせたのが、こちらの店舗です。いったいどんな戦略でのぞむのでしょうか?」
店内のショーケースにならんでいたのは、焼き上げたコッペパンに具材をはさんだ「ドッグサンド」です。「テイクアウト」で苦境からのまき返しを狙います。
サバの切り身・1枚を丸ごと使った豪快なサンドをはじめ、沖縄そばの焼きそば、県内の人気ソーセージ店とのコラボなど沖縄の特色を生かしたメニューも取り入れています。
見た目もかわいいスイーツ系も充実していて、バリエーションは30種類以上にのぼります。
キャプテンズグループ・高江洲義司常務取締役「どうしてもうちのステーキ店は観光がメインではあって、打撃もうけてですね、その代わりテイクアウトがやっぱり伸びてきているというところもあったんですよ。初めての業態なので、ちょっとドキドキしながら」
ドッグサンド専門店に挑むにあたり、高江洲常務が協力を依頼したのが、ベーカリープロデューサーの岸本拓也氏。インパクトのあるネーミングで、行列の絶えない高級食パン専門店を日本各地にプロデュースしてきた人物です。
ベーカリープロデューサー岸本拓也さん「パンと具材の一体化というものが、ひとつウリとしておりますので、その中でバラエティーに富んだサンドというのを楽しんでいただけるかなと思っております」
キャプテンズグループ・高江洲義司常務取締役「コロナで、周りの雰囲気が明るくない時に、地域をなんとか盛り上げていければいいなと、楽しんでいただける時間や食事を提供するのが我々の使命なんじゃないかな」