辺野古新基地の設計変更をめぐり、国土交通大臣が県に対し不承認を取り消し、20日までに承認するよう勧告したことについて、県は判断を見送る回答を国に通知しました。
辺野古新基地建設をめぐって県は2021年11月、沖縄防衛局が申請した軟弱地盤の改良工事を盛り込んだ設計変更を調査不足などの理由から不承認としました。
沖縄防衛局は対抗措置として12月、国土交通大臣に県の不承認処分を取り消すよう求める審査請求を申し立て、4月8日、国交大臣が不承認を取り消し、20日までに設計変更を承認するよう県に勧告していました。
これを受け県は不承認を取り消した裁決を精査する必要があるとして20日、判断を見送る回答を国に通知しました。
また、玉城知事は岸田総理大臣に対し2019年に行われた辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票の民意を受け止め、工事を中止し、県との対話を行うよう求める文書を送りました。
設計変更をめぐるこれまでの経緯を改めて振り返りたいと思います。
今から2年前、防衛局が県に軟弱地盤の改良工事を盛り込んだ設計変更を申請しました。ところが、新型コロナの感染拡大の影響などもあり承認・不承認の判断を行う標準処理期間を大きく超えました。
およそ一年半後、県は重要な地点の調査がされていないことなどを理由に不承認とする判断を下しました。しかし、防衛局はすぐさま対抗措置として国交省に不服を申し立て、不承認の取消を求めました。
そして、2週間前、国交省は県の不承認を取り消す裁決を行いさらに設計変更を承認するよう県に勧告しました。承認勧告の期限を迎えたきのう、県は不承認を取り消した裁決の内容を精査する必要があるとして判断を見送ることを国に通知しました。
設計変更を巡っては、国民の救済を目的とした「行政不服審査制度」を国の機関である防衛局が用いて、同じく国の機関である国交省に助けを求めたことに対して玉城知事はこれまでに「選手と審判が一緒のようなもの。公平・公正な判断は不可能だ」と国を厳しく批判してきました。
想定される今後の流れとして、国交省が県に対して法的拘束力のなかった「勧告」よりも強い措置として設計変更を承認するよう「是正指示」に踏み切ることが予想されますが、一方、県はその是正指示を不服として国と地方自治体の争いを処理する総務省の第三者機関である、国地方係争処理委員会へ申し立てを行うことが考えられます。
この委員会で仮に、県の主張が認められない場合には新たな裁判へと発展する可能性が考えられ、不承認を巡る判断は司法の場へと委ねられることになります。また、県の主張が認められた場合には、国は設計変更に準じた工事を行うことは出来なくなるということになります。
国交省の担当者は、県からの通知を受け設計変更について、「沖縄県において適切に判断していただきたい」としており、県の判断を今一度、待つ方針です。