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県からPCR検査などを請け負っている「県環境科学センター」で元役員の男性が16年にわたって5000万円を超える使途不明金を出していた問題についてお伝えします。センターの”幹部”という立場を悪用して、領収証を偽造して不正な請求をするなど私腹を肥やしていた実態が明らかになりました。

県環境科学センター 風岡雅輝専務理事「さかのぼると使途不明金、全部ひっくるめと5000万円ぐらい、昔から積み上げるとそれくらい」

濱元記者「県環境科学センターでは、積りに積もった使途不明金が5000万円以上にのぼっていました。元専務理事の男性が不正を働いていました」

この男性は、29年前に県環境科学センターで「非常勤職員」として勤めるようになりました。2005年に「業務部長」になると、翌年には「事務局長」に昇進しました。そして、2015年に「専務理事」という肩書きを得て、センターの実質的なトップになりました。去年5月に行われた内部調査で不正が発覚し、「解雇」されました。

県環境科学センターによりますとわかっているだけでも、事務局長になった2006年ごろから解雇される去年5月まで、およそ16年と男性が不正な会計処理を続けていた期間は勤めていた期間の半分以上にものぼっています。その驚くべき手口とは…。

県環境科学センターで使途不明金 16年で5000万円以上あきれた手口

県環境科学センター 風岡雅輝専務理事「内訳を見ると、普通の居酒屋なんですけど、全部4万円代がずらっと並んでる。明らかに下に何か別の文字がかいてあるような領収書ばかりが構成されているのに気づきました。弊社ではない別会社の領収書を入手して、宛名を弊社名に書き換えたり、空の領収証であったり、そういったものを用いて、不正に請求していました。」

飲食代や菓子折代の領収証を書き換えていたというのです。QABが独占入手した「不正請求に使われた伝票」では、1万円に満たない値段の数字を無理やり消したあと、金額を1桁増やして「4万7500円」にしていました。

さらに、「1」万円代の飲食代を「4」万円に見せかけて、水増ししていただけでなく、別の会社の領収証を手に入れて、「宛名」を書き換えることまでやっていました。領収証を偽装するための道具が机から見つかったといいます。

県環境科学センター 風岡雅輝専務理事「(領収証をだした店は)その人も来てないですし、コロナ禍でもあったので、その期間にも領収書は切っていないですというお話もありました、来ていないということです。(Q.本当にもう本当に何もないゼロのところから、新しく(領収証を)作っていたその可能性もあると?)(そう)考えています。」

他にも、宛名や金額、但し書きに日付けまで、まったく何も書かれていない、いわゆる”空の領収証”を複数持っていたことも判明しました。

県環境科学センターでは、営業職の職員が飲食代で領収証を切ることが年に数回しかしないのに対して、男性は毎月10件前後も請求していて、多い時には、ひと月で60万円にも達したこともあったというのです。

使途不明金は2006年から2014年までの9年間で1470万円程度だったのに対して、2015年ごろから2021年までの7年間で3500万円と、男性が専務理事になってから、露骨に請求する金額と頻度が増えていったといいます。

県環境科学センターで使途不明金 16年で5000万円以上あきれた手口

県環境科学センター 風岡雅輝専務理事「彼が会社の中の役職、上の方の役職を全部兼務していたんです。要は全員部下で誰も何も文句を言えないところで、彼が好きなようにお金にしても、人事にしても、給料にしてもできるような立ち位置になっていました。意見をすると、実際に人事的なもので、報復といいますか、そういうのを受けているメンバーが、社員が多数おりますので、なかなか言い出せないということになっていました」

領収証の書き換えという稚拙な手口がまかり通っていた背景には、職員の給与だけでなく人事などを思いのままにできるという絶対的な権力をセンター内で持っていたため、不正に気づいても、ほとんどの職員が口をつぐむことしかできなかったといいます。なんとか正常化させようと、証拠をかき集めて追及したところ、男性は領収証の偽装を認めたということです。

県環境科学センター 風岡雅輝専務理事「悪いことをしていたので、明るみに出て白黒はっきりつけて責任を取ってもらって、罪を償っていただければと思います」

センターは5000万円の使途不明金のうち、”偽装が明白だった800万円分”について警察に刑事告訴しています。