3月12日に伊江島飛行場で民間で救急ヘリを運用するNPO法人「メッシュサポート」の小型飛行機が墜落した事故を受け、理事長がつらい胸の内を語りました。
メッシュサポート・塚本裕樹理事長は「亡くなられたお二方も、自分の持たれている航空人としての力を役立てればということで志願して参加していただいた方々でしたので、非常に残念な気持ちでいっぱいです」と話し、事故が起きたことへの無念さや貴重な人材を失ったことへのつらさを吐露しました。
3月12日に伊江島飛行場内で民間で救急患者の搬送などを担うNPO法人「メッシュ・サポート」の小型飛行機が訓練中に墜落し、パイロットと監督官の2人が死亡しました。メッシュ・サポートは事故直後から活動を見合わせています。
塚本理事長によりますと今回、事故が起きた機体は法律で定められた検査や部品の交換などを行っていたということで、今後は国の運輸安全委員会などと連携し、事故原因の究明などに協力していくことにしています。
運輸安全委員会・吉田眞治調査官「消火活動された方に当時の状況を伺いたいと思っています。最終的に機体が動かせれば、保存場所に移して、引き続き調査ができるかどうかの調整をしているところです」
2日目は事故調査官と警察が現場に入って、墜落した機体の周辺に散乱した残骸を確認するなどしていました。調査は3月15日まで続く予定です。
墜落事故 これまでの状況と影響
本島北部を中心に鹿児島県の一部離島で救急患者の搬送などの活動を行っているメッシュ・サポートが所有している小型機による事故。事故発生から状況をまとめました。
フェンスの向こうから突然見えた、黒煙と激しい炎。小型機が墜落した直後に撮影された映像です。撮影者が走っている車の中から燃えている様子を取っていると、目の前に壊れたフェンスと燃える草木が現れ、驚いた声をあげました。
花城桜子記者「滑走路先のフェンス際に、大破した小型飛行機が確認できます。機体は黒く焦げていて、骨組みと思しきものしか残っていません」
おととい午後0時45分ごろ、伊江島空港で「メッシュ・サポート」が所有する小型飛行機が空港南側のフェンスに激突し炎上しました。この事故で、飛行機に乗っていたパイロットと監督官の2人が死亡しました。
事故当時、2人は離着陸訓練を行うため午後0時35分ごろに離陸し、1回目の着陸をしようとしたところ事故が起きたということです。
メッシュ・サポートは、本島北部の救急医療の格差を軽減したいと、2008年に故・小濱正博医師が中心となって始めた民間救急ヘリの活動です。しかし、民間による救急ヘリの運用は険しいものがあり、財源不足から何度も運休・再開を余儀なくされました。
2015年、クラウドファンディングで資金を集め、患者搬送用の飛行機を購入し、新たな拠点を伊江島として活動を続けました。そして2020年、国や北部市町村からの補助を受けて、念願の救急ヘリの運用を再開。
メッシュ・サポートよりますと2021年度の実績で、救急ヘリ・飛行機を使用した患者搬送や医師派遣などの活動は320回あまりとなっていて、飛行機による活動は今月7日まで行われていました。
拠点となっていた伊江島。メッシュ・サポートの活動を一丸となって支援していただけに、島民は今回の事故発生に大きなショックを受けています。
伊江島民「船で行くというよりは、すぐ飛んで救急病院へ搬送されるというのは、村民にとって大切な輸送手段と思います。今回の事故は本当に残念でなりません」「うちの父も生前お世話になったんです。救急のときで。だから本当になくてはならない。大変だと思いますけど、一刻も早く再開してほしいと思います」「小さかった頃に、急に夜に喘息の発作が起きて『メッシュで運ばれたことあるよ』と話してくれる子とかもいっぱいいるので、子どもたちもメッシュがあるから島で生活しても大丈夫だというところがあると思うので、頼りになる存在と思っています」
きのう夕方には、国の運輸安全委員会の調査官3人が伊江島に入り、本格的な事故調査を始めます。
国土交通省運輸安全委員会航空事故調査官・吉田眞治調査官「今日は現場の概略の調査を行いました。かなり損傷が激しいということは申し上げることができると思います」
メッシュ・サポートは当面の間、航空機の運航を自粛すると発表しました。
メッシュ・サポート・塚本代表「事故調査の方が入っていますけれども、まずは原因の究明。各医療機関との連携を行ったうえで、この事業を構築してっているところがございますので状況説明と各医療機関さんにお話をして」
事故原因の究明と再発防止が求められるますが、本島北部・離島の医療を担うメッシュ・サポートの運休は大きな影響があります。