旗揚げから30年近く、県内で笑いの場を提供している芸能事務所が今回、コーヒー販売を展開することになりました。異業種への挑戦という背景には、一体何があったのでしょうか?
笑い声がこだまする会場。県内を中心に活動する演芸集団「FEC」の舞台です。
彼らの本業である舞台などの活動の場は、第5波が落ち着き徐々に戻ってきていましたが、オミクロン株が押し寄せたことで、9割近くが中止・延期になったといいます。そんな現状を打開しようと、新たな試みを始めました。
山城智二社長「首里城のショップの方に置かしてもらっているんです」
FECを取りまとめる山城社長が目を付けたのがコーヒーの販売です。去年12月から豆や粉などを県内5カ所で販売しています。
山城智二社長「コロナ禍で、なかなか本業の芸能の仕事がままならない状況になった時に、やっぱりその本業を支える柱の一つをまた別で作らないとならないなと。僕ら芸能で培ってきたノウハウだったりとかアイデア、そういうものを今度はまた違うジャンルでも発揮したいのがあって」
そのアイデアというのが、このコーヒーには盛り込まれています。赤瓦の原料になるクチャをボール状にして、焙煎の時に活用しているのです。
県赤瓦事業業同組合・八幡昇会長「瓦の玉を使ってこういう風な利用の仕方もあるんだなと思って、今さらながら感心しています。
山城智二社長「沖縄を象徴するようなコーヒーを作ろう。沖縄的コーヒー。そのイメージの一つが赤瓦。赤瓦焙煎珈琲。これだってひらめいて」
FECにとって飲食の開発・販売は初めての試みです。沖縄ならではのコーヒーを生み出そうという挑戦に手を差し伸べてくれた人がいました。産地の異なる豆を焙煎し販売を行っているコーヒー専門店、沖縄セラードコーヒーです。
沖縄セラードコーヒー・末吉業充専務取締役「赤瓦でどういう風に焙煎したらいいのかとか。赤瓦を使っての焙煎は初めてのことだったので、試行錯誤しながら焙煎に至っております」
豆の種類から焙煎方法、赤瓦を入れるタイミングまで細かく変えながら、苦みを抑えたまろやかな味わいにしようと、去年5月から追い求めてきたといいます。
沖縄セラードコーヒー・末吉業充専務取締役「香りは通常のコーヒーの香りと変わらないと思います。深煎りの焙煎方法で、少しまろやかな苦みのある感じで仕上げております。まろやかさが出てるのかなと思います」
山城社長はこのコーヒーで沖縄に貢献したいという思いも込めていました。それは赤瓦と深い関係にある首里城です。売り上げの一部を再建に役立ててもらおうと寄付します。
山城智二社長「僕らはここに生まれて育って、いまそこで生活しているので、やっぱり沖縄にしっかり貢献した、そういうコーヒーを作りたかったので」
山城智二社長「沖縄の象徴の一つでもあるこの首里城を早く復興してほしいという気持ちもやっぱり、ウチナーンチュはもちろんですし、僕もあるので、どうにかそこに貢献できたらなとは思ってますね」
山城智二社長「沖縄の伝統建築である赤瓦を、全く使われてなかった分野でも使用していくことで、もっともっと赤瓦の良さをみんなに知ってもらえて、使っていこうかとか、親しまれていったらいいなと思ってますね」
新たな商品の誕生に赤瓦の業界も期待を寄せています。赤瓦の新たな利用方法で業界の抱える収入や若手の確保など、様々な課題解決につなげられるといいます。
県赤瓦事業業同組合・八幡昇代表理事「食にこだわらず、色んな方面で原材料が伸ばせていったらいいなと思います。若い人たちが興味を示して、また色んな利用価値、付加価値が高められたらいいなと思います」
山城社長の思い付きから始まった今回のプロジェクト。笑顔溢れる場所でコーヒーを片手にくつろげる日を夢見て「自由に楽しく」をモットーに突き進みます。
山城智二社長「赤瓦焙煎珈琲をウチナーンチュの皆さんに飲んでもらえる場所をいっぱい作って、そこで笑ってもらったり、喜んでもらったりするようなことをやっていきたいなと。場づくりをしていけたらなと思ってますね」