寺崎アナウンサー「今回私が取材したのは世界に羽ばたく海人中学生です。去年スタンドアップパドルボード=SUPの世界ツアー、史上最年少で出場し3位に輝いた荒木珠里さん。その強さに迫ると、海に生きるアスリートとして大切な取り組みがありました」
冬の海で力強く軽快に進む中学3年生・荒木珠里。
去年、サーフボードの上に立ち、パドルを漕いで水面を進むウォータースポーツ、スタンドアップパドルボードの世界大会に最年少の15歳で出場。15kmの長距離や500mの短距離のタイムを競う競技で総合でトップ選手35人中3位に輝き、世界を驚かせました。
荒木珠里さん「最初にSUPを始めようと思ったのはお父さんの前に座ってサーフィンしたのがきっかけで、それが5歳の時でした。それがきっかけで段々自分で漕ぐようになってきてもう1年生2年生の頃にはもう本格的に練習を始めたりしていた」
父・汰久治さんの影響でSUPを始めた珠里さん。小学5年生でU11の世界選手権を制すると、小学6年生で世界一過酷といわれるモロカイ島~オアフ島間52kmの海峡横断、「モロカイチャレンジ」に成功。そんな珠里の強さは無駄のないフォームと波を読む力にあると父・汰久治さんは話します。
荒木汰久治さん「本当に彼がちっちゃい時からずっと漕いでいるので遊びながらですけどね。人ができない動きを簡単にできる」
モロカイチャレンジに35回成功した父・汰久治さんのフォームを小さい時からよく見ていた珠里さん少ない力で速く進むことができる低いフォームを独自に生み出しました。
また、珠里さんの進化を支えているのが、波の読み方を日々研究し、記した何冊ものノート。このノートをもとに汰久治さんと作戦を立て、練習に臨んでいます。
荒木珠里さん「(汰久治さんは)父でありコーチでありライバルでもあります。本当にお父さんがいなかったらこういう練習ができていないと思うので。充実した練習ができてそのおかげで僕も強くなれて世界でも戦えるようになっていると思う」
海に入らない日はほとんどないというほどの練習量と地道な研究で、父とともに世界と戦う力をつけてきた珠里さん。その強さの裏にはこんな取り組みも…
練習後の家族団らんのひと時に出てきた鍋料理。
おいしそうに食べているこの鍋はなんと…「イノシシ鍋」!
しかもこのイノシシ、荒木親子で自分たちで山へ行き罠をしかけて獲ってきたものなんです。危険と隣り合わせのイノシシ狩りに挑むのにはSUPにもつながる、ある大きな意味がありました。
荒木汰久治さん「(イノシシ狩りは)戻ってこられなくなったら終わり。海も一緒。一歩間違って風が変わったらもう漂流だし自分の命を感じること以上のプレッシャーはない。これはそれこそ珠里が大舞台でメダルの色を争うとかそういうチャンスが来た時にでも役に立つと思う。どんなプレッシャーがきても平常心を保つこと、何が起きても」
今までは一番後ろで狩りを見ているだけだった珠里さんも
荒木珠里さん「今年は2頭獲れて2頭とも自分で担いで山を下りられて楽しかった」
荒木汰久治さん「本当に日に日にたくましくなって体も大きくなって。だから僕が隣にいなくてもおそらくこの先世界回ったり、一人で深くて広い海に漕ぎだしていったときにおそらくいろいろな怖い経験もあるだろうし、不安とか恐怖とかそういうところと向き合うことになると思うんですけど。まあそれでもプラス思考で自分に全部繋げていく吸収していく。多分そうやって生きていくんだろうなと思う」
荒木珠里さん「ことし1年何をしたいか目標を決めたりするので特別ですね。このイノシシを食べる時間は」
オリンピックの正式種目採用にも名が上がり始めている「SUP」で世界と実力者と肩を並べる荒木珠里。イノシシを力に変えながら誓う、今後の目標は。
荒木珠里さん「日本の中だけじゃなくて世界の中で通用する選手になりたいと思っている。やっぱり今まで日本人で世界で1位を取った人はいないのでそのSUPで世界1位を取って、オリンピックでも金メダルを取って頑張っていきたいです」
なお、今回の海の取材は、1月15日の午後3時ごろで津波注意報が出るよりも前に撮影を終えています。皆さんも海に出る際は注意報などを確認し、安全な時にお願いします。