新型コロナの感染が落ち着くまで待ち続けた地域のイベントが念願の再開を果たしました。度重なる延期を余儀なくされた那覇市・松島青年会のエイサーがおととしの夏以来、2年4カ月ぶりに披露され、冬の街を盛り上げました。
先週土曜日、那覇の松島青年会がこれまで自粛していたエイサーを2年4ヵ月ぶりに披露しました。衣装を身にまとった若者たちの力強い演舞と威勢のいいかけ声が地域を魅了する「季節外れのエイサー」となりました。
松島青年会では例年、旧盆にあわせて道ジュネ―を行ってきましたが去年、今年と2年続けて、夏の風物詩・エイサーを踊る機会を奪われてしまいました。
そんな苦境の中でも明るい話題を届けようと、旧盆期間中はトラックから三線を流して練り歩くなど、試行錯誤を重ねました。
松島の住民「音楽が聞こえるだけでも全然うれしい」「お盆と言ったら道ジュネーでしょ」
松島青年会・宮良光樹会長「みんな結構楽しみにしているんだなって感じました。見てもらって皆さんが喜んでいる顔を見るのが一番僕たちには頑張れる要因になっているので、それが見られたらうれしいです」
エイサーを踊るために待ち遠しい感染収束。しかし、現実は、延長につぐ延長が重なった緊急事態宣言で、一年の大半を棒に振った形です。
練習できるようになったのは、少しずつ日常を取り戻し始め、肌寒さが日に日に増す11月のことでした。
松島青年会副会長・有銘兼矢さん「踊ったら熱くなるんですけど、最初は寒いので体は最初動きにくい感じ。なかなかこうやって冬に集まって練習することもないので」
宮良会長「しゃがむところだったり、太鼓の叩くタイミングだったり、揃っているようで揃っていないところがいっぱいあるので、そこをできるだけどこまで上げられるかというところです」
久々に響いた太鼓の音に誘われるように、公園には多くの人が集まって、練習を見守っていました。
近所の人「気持ち良いですね、なんかこの良い感じの天気と太鼓の音」「コロナが明けて、元通りになる前触れなのかなと感じてポジティブに感じました」「(本番を)ぜひ見たいです。子どもに見せるのが初めてなので、こうやって見せるのが」
メンバーは毎週水曜日の仕事終わりに集まり、忘れかけた感覚を取り戻すべく、練習を重ねます。周囲の期待が高まる中、本番まであと1カ月です。
迎えた、本番の日。エイサーを盛り上げるチョンダラーのメイクをして準備を整えています。
チョンダラー「きょうは冬のエイサーです、初めての。(心の)中が燃えているので、寒くないですね」
宮良会長「練習やったら季節とか関係なしにエイサー熱は上がって、いざ頑張ろうってなった。メンバーの確保が一番難しかった。12月って年末なので忙しい時期だけど、練習も本番も時間を作ってもらっていて」
まもなく迎える2年4ヵ月ぶりのエイサー。サージを締めると同時に気を引き締めるメンバーたち。
午後7時。ついにスタートしました。
「ベランダから出たらやっていたから出てきたんですよ。着の身着のままで。うれしいよ、いいですよね。いつでもね」「近くでやっていたものだから慌てて子どもたちと一緒に来ました。久しぶりですね。12月になっているんですけど、熱さもあって、夏の気分というか、エイサーという感じでした」「楽しかったー!!」
この日は3時間かけて松島地区の中を練り歩き、6カ所でエイサーを踊りました。どの場所も多くの人が集まり、演舞に合わせて手をたたき、あたたかい表情を見せていました。
宮良会長「めっちゃきつい、きょう、すごいくらい。手もマメが一日でできて、体力ももたなくて。年末ということもあるので、来年地域のみなさんに健康な一年に過ごしてほしいと思いながら踊るのと、ことし一年みんなお疲れさまという思いを込めながら来年もがんばろうという気持ちで踊ろうかなという思っている。やってよかったと満足な気持ち」
地域に活気をもたらした松島青年会、冬のエイサー。来年こそ、旧盆の時に夏を彩ってくれることが期待されます。