新型コロナのダメージが大きい県内のホテルがどう集客をはかっていくのか、これからの新戦略を探ります。
県内の新型コロナの感染状況が落ち着きをみせ、経済の回復に向けた動きが徐々に加速化するなか、リゾートホテルは様々な改革に乗り出していました。
こだわりのホテルグルメやエンターテインメントなど、ここでしか体験できない唯一無二のサービスを提供しようと奮闘するホテルマンたちの舞台裏を取材しました。
北中城村の丘の上にあるホテル。2か月前に、思い切った改革をしました。
暮らしの発酵・前川幸輝 副総支配人「大きなチャレンジでした。実際、職員からも反対の声があったりとか」
開業から16年あまりかけて定着させてきた「EMウェルネス コスタビスタ沖縄」というホテルの名前を「暮らしの発酵」に変更したのです。
暮らしの発酵・前川幸輝 副総支配人「衣食住を発酵の技術で体感できるということで、暮らしの発酵という。コロナで暮らし方の意識とかも、みなさんだいぶ変わられたと思います。今だからお客さんにそういうのが伝わる時期になったんじゃないかというのもあって、今回、リブランド、名所変更も決めたということです」
このホテルでは、開業当初から、「健康」と「環境」をコンセプトに掲げてきました。名称の変更は、ホテルの原点い立ち返ろうとの思いがあったからです。
暮らしの発酵・前川幸輝 副総支配人「実際コロナ禍になって、お客さんが減った現状になって、もう失うものはないということはひとつありました。で、コロナが始まったことろに休館を早めに決めて、社員研修や食事のメニュー開発とかそういったことに時間をあててきました」
休館中におこなった研修では、従業員の意識統一を図りました。中でも力を注いだのが、メニュー開発です。こちらは、朝食ビュッフェ。
心と体が喜ぶごはんをテーマに、発酵を取り入れた料理や動物性食品を使わないヴィーガン料理の提供も始めました。食材は、自社農園や県産のものが中心。さらに、味噌や醤油など、味付けに使う調味料も、自分たちで手作りしています。
調理 上門綾乃さん「グラニュー糖の代わりに使っているみりんのシロップと、みりんのキャラメル、あとは、ピーナッツバターも作っていて。すごい大変なんですけど、やっぱり、喜んでもらいたいというところと、名前が変わったので、デザートもすごい変わったねって言われるように、何も変わらないね、じゃお客様は来てくれないので、そこを変わったよって思われるように、努力してます」
ホテルのコンセプトに合わせた「発酵食」づくりのワークショップも企画しています。この日は、ぬか床づくり。参加者のおよそ8割が地元で、どの企画もすぐ満席になってしまうほどの人気です。
ワークショップ参加者「ちょっと普通の場所とは違うというか、健康志向というか、ありがたいではありますね」
ワークショップ参加者「ホテル名変えたときは、名前が長くなったというイメージだったんですけど、暮らしに密着したホテルなので、すごく体にいいことをしてくれているという、国内でも率先しているというイメージありますね」
暮らしの発酵・前川幸輝 副総支配人「より健康で環境にいいホテルというのを、唯一無二のホテルにしていきたいと思います」
一方、こちらのホテルは、周年を機に大規模修繕を行った矢先にコロナが。そのなかでも、自分たちの付加価値を高める戦略とは。
恩納村のルネッサンスリゾートオキナワ。沖縄の海・自然をイメージした「自然の図書館」をコンセプトにしています。30周年を機に、大規模な改装工事をした直後、コロナが暗い影を落としました。
ルネッサンスリゾートオキナワ・六車知弘取締役「ちょうどリニューアルが完成して、プレオープンという形で4月からやってたんですけれども、ちょうどそのときに、コロナが、爆発的に来てやっぱり大打撃っていうのがありました」
このホテルでは、全国のコロナの感染状況が落ち着きをみせはじめた今年の秋から、レストランのディナービュッフェで「新戦略」を打ち出しました。
琉球王国をイメージした芸能ステージです。換気のよい屋内テラス席で、琉球舞踊やエイサーなど、およそ30分のショーを開催しています。
訪れた人「はじめて日本のショーを見たけど、とてもすばらしい。もっと鑑賞したい」
ホテルディナーでのショー自体は珍しいものではありませんが、出演者に特色がありました。
王女役「ロビーラウンジで接客をしております」
踊り手「レストランの予約を担当していたり、近隣の観光案内をするナビゲーターという仕事をしています」
ミルク神「経理です」
ここにいる全員が、ホテルの従業員なんです!ルネッサンスリゾートでは、2007年から、従業員たちが芸能部を結成し、エイサーなどの練習をしてきました。
お正月やイベントの時に披露することはありましたが、定期公演を任されるのは、今回が初めてです。忙しい業務の合間をぬって、毎日1時間、芸を磨いてきました。
イベントマネージャー・呉屋進二さん「ぜひやりたいなと。ホテルを盛り上げていきたいなという気持ちで」
大太鼓を担当する入社3年目の福原旭さん。本来のお仕事は、調理!スイーツづくりを任されています。
ルネッサンス芸能部・福原旭さん「レストランにくるゲストやお客さんは、琉球の宴を見に来るっていうゲストもたくさんいるので、その人たちが、食べに来たお客さんたちに楽しんで帰ってもらえるように、自分は思い切り演舞してます」
ベル係として、ゲストのサポートをしている吉田夏穂さん。芸能部の活動が接客にもつながっていると感じています。
吉田夏穂さん「芸能部入ったから仕事のモチベーションもアップして、お客様により喜んでもらいたいというのが強くなって、それがベルの接客にもつながっています」
ゲストを楽しませることに、とことん向き合う芸能部のメンバー。その一生懸命な思いは、果たして、観客の目にどう映るのでしょうか。
観客「すごい迫力もあって、なんか実際にこの通路とかも通ってすごいなと思いました」
観客「びっくりしました。芸能部があるホテルに初めて泊まったので」
ルネッサンスリゾートオキナワ・六車知弘取締役「特に大事にしてるのは、ここでしか味わえないような体験ができること。今まで数を追いかけてた部分もあったんですけれども、そうじゃなくて、高品質で、単価も高単価でかつ高評価を取れるような企画とか商品をどんどんチャレンジしていきたいなというふうに思ってます」
コロナ禍からの回復をめざす県内ホテル。エンターテインメントや食事、コンセプトなど、自分たちの付加価値を打ち出す模索が続きます。