※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。
 

寺崎未来アナウンサー「こちらにラート競技で全国2位をとった北島選手がいらっしゃるということで、早速伺ってみましょう」

あいさつ代わりに華麗な演技を見せてくれたのは、琉大体操部の北島栄司さんです。

寺崎アナ「このラートって近くで見ると結構大きいんですね」北島栄司さん「そうですね。人によって使うサイズが違うんですけど、私は2メートル20センチのサイズで練習しております」

ラートは、2つの輪をつなげた器具で演技するドイツ生まれの体操競技です。演技の出来映えや技の難易度を得点にして順位を競います。北島さんは、今年8月にひらかれたラートインカレ・男子跳躍の部に出場し、全国2位に輝きました。

琉大体操部 北島栄司さん「今年が最後の大会だったので、実際に開催されてよかったですし、そこで自分が持っている実力を発揮できたので、普通に満足いく結果になったと思っております」

ラート競技全国2位の大学生 AIコーチと二人三脚

北島さんにとって最後のインカレでしたが、取り巻く環境は、厳しいものがありました。ラートは、競技人口が全国でも500人ほどで、県内には指導者もいません。琉大体操部では、卒業生がコーチ役を務めていますが、みなさん独学に近い状況です。

琉大体操部 部員「大会とかで他の大学の方がやっている演技を見て、新しい技を見つけてきて」琉大体操部 部員「うまい人の動画とか見たりしながら、見よう見まねでやったりします」

今年は、新型コロナの影響で体育館が使えない日々が続きました。練習できるようになったのは、大会のわずか1カ月前でした。過酷な環境のなかでも、北島さんの大躍進を支えたのは人工知能を搭載した「AIコーチ」。なんと!自ら開発したものなんです。

琉大体操部 北島栄司さん「自分の動画を撮って、そのどういった癖になってるかっていうことを可視化するんですよね。でその後に、その分析の結果、こういう癖があるから、もっとこうしたらいいんじゃないかっていう結果が出てくるんですけど」

北島さんは、データサイエンスを専攻し、スポーツのデータ解析を研究しています。「腰は肩より高い」「足は手より低い」などの表示は、AIコーチからのアドバイス。手足の関節の角度などを元に、しっかり演技ができていたか、課題を見つけて教えてくれる仕組みです。

ラート競技全国2位の大学生 AIコーチと二人三脚

琉大体操部 北島栄司さん「普段意識してないようなこと、そのきっかけが得られるっていう点で、こういうふうに練習してみようかっていう流れで取り入れたりしていますね」

開発の際にこだわったのが、「審査員の感覚を可視化」することでした。

体操部OB 上地陽史さん「例えば、ラートから飛び出した直後の体の伸展が不足しているとかあるんですけど、どういうふうに伸ばすのが正解なのか、やっぱり、これだけだとちょっと難しい」

審査員の感覚に委ねられている技の評価基準について、どんな姿勢のときに減点されてしまうのか、採点のサンプルを集め、AIコーチを作り上げたのです。AIを学びはじめて、わずか2年あまり。短期間での成果に、共に研究している専門家たちも驚いています。

琉球大学 工学部 宮田龍太 助教「努力の天才という」「アスリート兼データサイエンティスト、で、かつもう自問自答の極みといいますか、もう自分で課題を設定して、それで今、自分の演技、もうちょっと上手くなるには、どうしたらいいんだろう、教えてAI先生みたいなもので。自分で撮って自分で解析までをするんで、本当にもう自己解決ができてるんですよね」

沖縄国立高専 メディア情報工学科 佐藤尚 准教授「やりたいことと直結しますからね。だから本当に研究としては身が入ると思うんですよね。だからそういう意味ですごくいいなと思いました」

現在のAIコーチは、北島さん専用に開発されたもので、他の人への応用は調整中。さいごに少しだけ、ラートの魅力を寺崎アナも体験させてもらうことに…開脚跳びという基本の技に挑戦です。

寺崎アナ「これが一番、基本的な」上地さん「めちゃくちゃ簡単な、基本的な技です」寺崎アナ「難しそうですね」上地さん「いやいや、できると思います。全力でダンって、こう、地面を、ダンって蹴って、まぁ勢いで、ピョーンといけば大丈夫です」寺崎アナ「ピョーンと!なんともぎこちない感じで、ラート初挑戦は終了」

寺崎未来アナウンサー「これは難しいと思います。高さあるのは、すごい楽しいですけど、難しいです」

北島さんが開発したAIコーチ。体操だけに限らず、マラソンや野球などにも応用できるように研究を進めています。

ラート競技全国2位の大学生 AIコーチと二人三脚

琉大体操部 北島栄司さん「大学で学んでいるAIスキル、ITスキルを活用して何か形にしていきたいっていう思いはありますので、そのマイナーなんですけど、実際にその競技を行っている人たちはしますので、そういった人たちのためになるような、そんなシステムを開発できたらいいなとは考えております」