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県内企業の新しい取り組みを紹介する経済コーナー、Qビズです。山城アナの地元、石垣島で面白い取り組みが始まりました。島でしか使えない通貨「まーる」というものが導入されたんです。

「まーる」をやり取りすることで、モノではなく「島をもっと好きになる体験」など、人と人との結びつきを深めることが出来るようになっています。ある時は牛の世話から農業をしたり、ある時はご飯を完食したり。ありがとうから始まる新しい通貨のお話しです。

石垣島の「まーる」 独自通貨でお金で買えないモノを買う!?

山城アナ「まーるってなんですか?」

まーる運営・岩倉さん「まーるはお金で買えない体験で地域とつながるコミュニティー通貨と呼ばれるものです。アプリでお店からまーるをもらったり、貯まったまーるをお店に払って何か体験事をしたりすることができます」

8月末に石垣島で導入が始まった独自の通貨「まーる」は、地域をもっと盛り上げたり住民のSDGs活動を促すことなどを目指しています。

カヤックゼロ・住吉代表「例えば、町のゴミ拾いをするとかお店のちょっとしたお手伝いをするとか、そういったことでまーるがもらえる。まーるをもらったりあげたりすることで町や自然が守られる活動につながる」

体験した人「自分も楽しかったし、相手の方も喜んでもらえるとうれしい」

cafe drapeau加藤昭彦さん「値引き以外の形でサービスとしてお届けできたらなというのを前から思っていて、まーるのやり取りをしたいからうちに来たよっていう声も聞きます」

石垣島の「まーる」 独自通貨でお金で買えないモノを買う!?

独自通貨と聞くと堅苦しい印象をもってしまいそうですが、自分の住む地域をもっと素敵に楽しく過ごすための一種のツールなんです。

この新しい通貨、これまで全国12カ所で導入されているんですね。例えば福岡県八女市は「歴史や伝統をつないでいきたい」という思いから通貨の名前を「ロマン」とつけていたり、神奈川県小田原市は、おだわらという名前から「おだちん」とその地域にちなんだ名前がつけられているんです。

「まーる」は、助け合いの心などを表す「ゆいまーる」という意味や、石垣島の言葉で「とっても」というのをまーると言うんですね。本島でいうと「でーじ」とか、そういう言葉から来ているんです。

では、どのように使うかといいますとまずスマートフォンなどで「まちのコインまーる」というアプリをダウンロードして、メールアドレスとパスワードを設定します。登録は無料で、利用する通貨を選択し、プロフィールを入力します。すると登録と同時に640まーるが貰えちゃうんです。

電子マネーと違って、お金の代わりに使うことは出来ず、まーるは付与されてから180日で使えなくなります。独自通貨に加盟する店をスポットと呼び、用意された体験やサービスを通してまーるをやり取りします。

でも、一体どういう風に使うのか?という方もいらっしゃると思うので、百聞は一見に如かず!実際にまーるを使って旅をしてきました。

石垣島の「まーる」 独自通貨でお金で買えないモノを買う!?

【まえしろファーム】

山城アナ「ここではまーるを使ってどんな体験ができるんですか?」

まえしろファーム・真栄城さん「セリに出す小牛を洗ってもらうのを手伝ってほしいんです。それをやると1000まーる差し上げています」

めざせ!1000まーる!きれいにするのは、メスのしまかめちゃん。結構、汚れがついていますね。

真栄城さん「牛って前から行ったら大丈夫なんですけど、後ろから行くと回し蹴りされるので気を付けてください」

水を全体的にかけて、専用のシャンプーをまんべんなくかけていきます。最後に牛専用のブラシで汚れを落としていきます。

真栄城さん「結構牛を洗うのって重労働なんですが、私一人でいつもやっているんで手伝ってほしいなと。(バイト代をお支払するというよりは)まーるでやり取りできた方がお互い楽しくできるかなと。仕事という感じじゃなくてお手伝い」

真栄城さんには毎日の出来事でも、私にとっては非日常の体験。いつ牛の足が飛んでくるか分からないので、常に中腰で全力ブラッシング。真栄城さんは、簡単にやっているように見えますが、これがものすごく力がいるんです。

洗い始めてから1時間10分。

山城アナ「終わりました~!こんなにきれいになるとは思わなかった!」

まずは、1000まーるゲットしました!

真栄城さん「(普段は)牛農家同士でしか関われないんですが、全然そうじゃない人とも知り合いになれて、牛舎に入ってもらえるというのがよかった」

また、普段牛の世話で忙しいとのことなので、代わりに愛犬のお散歩をして200まーる追加でゲットしました!

石垣島の「まーる」 独自通貨でお金で買えないモノを買う!?

【カフェ・ドラポー】

スポットのお困りごと解決だけでなく、今話題のSDGsを身近に感じてもらおうという体験もあります。

cafe drapeau・加藤昭彦さん「メニューを残さず全部食べてフードロス、ひいては私たちお店側の人間や生産者さんたちへの感謝の思いをという意味で、完食したらまーるをプレゼントという体験を作りました」

運ばれてきたのは、シェフ特製パスタ!牛を洗った後はお腹がすきますねー。アツアツのパスタで満たされました。最後まで、きれいに食べきりました!

山城アナ「ごちそうさまでした」

加藤さん「完食してくださってありがとうございます」

山城アナ「50まーるください!」

このサービスを導入してから9割のお客さんが残さず食べきってくれるようになったそうです。

加藤さん「一カ月たったあたりからお客さんもまーるを使う人が増えてきましたね。一日に3~4人、もしくはもっといる時もあります」

まーるの導入から2カ月以上が経ち、現在は60カ所のスポットで体験やサービスを受けられるようになっています。また利用者も増えていて740人を超えました!

石垣島の「まーる」 独自通貨でお金で買えないモノを買う!?

【川平ファーム】

石垣島へ移住して3年の水鳥さんにとっては、島を知るツールとして活躍しています!休みの日には午前と午後でまーるを使って島探検を楽しんでいるそう。

水鳥奈美さん「新しいことや知らないことを知るのに興味があって、今保育士をしているんですけど、子どもたちともなにか楽しめるものがあればいいなと思って」

今回選んだのは、バタフライピーの収穫など、農園の社長のお手伝いをしたら500まーるもらえるというもの。園内を案内してもらいながら、植物についての話が聞けるのも魅力です。

川平ファーム・橋爪雅彦社長「土日まったく休みなしでやってるから毎日来てもらえると助かります。(農業について)少しでも知ってもらえると私たちも嬉しいですしね。

水鳥さん「お仕事としていることをさせていただいていいのかなと思って(体験に)行くんですけど、ありがとうございますと言われると来てよかったなという風に思う」

自然に触れて、まーるももらって、パッションフルーツジュースを飲んで自分のためになる時間を過ごせたようです。

石垣島の「まーる」 独自通貨でお金で買えないモノを買う!?

【平田観光】

さてさて、こうして色々なお手伝いをすることで貯めたまーるを使って、念願のセグウェイ体験!こちらのスポットでは、セグウェイに乗る際の30分ほどの講習を2000まーるで体験できるんです!

ちなみに特別料金を払うと、ガイドさんの植物トークがきける、およそ90分の公園案内コースに参加できます。

まだまだ始まったばかりの、新しい通貨「まーる」。年末までに、ユーザー3000人・スポット150カ所をめざしています。

カヤックゼロ・住吉優代表「お金じゃない円ではない新しいコインなので、それを使う人がどういう使い方をしていくか、どんな体験を作っていくかというところにこれからの可能性が詰まっていると思うので、ぜひ多くの人にまーるを使って面白い体験を増やしていきたい」