感染拡大の波に見舞われるたびに緊急事態宣言が出されることで、緊張した生活を余なくされ、なかなか外に出づらくなってしまう現状があります。南城市ではインターネットを活用した高齢者の健康づくりに取り組んでいました。
会議室で体操をしているのは、南城市で運動指導をしている喜納さんです。そして、喜納さんの目の前にはパソコンが。
喜納さん「はーい、OKです。下ろしましょう」
南城市では、高齢者の健康を維持するためのがんじゅう教室が10年以上続いていて、週3回開かれています。市内に住む高齢者が無料で利用できるもので、介護予防のための筋力や体力をやしなう、運動の機会を作っています。今月最初の教室は、インターネットを使って6人が参加しました。
喜納さん「歳を重ねていくことで、体力が落ちていくのは、仕方がないことなんですが、それをやっぱりどうにか食い止めて、介護に繋がらないようにそれぞれ個人に合わせて、体力に合わせて運動指導を行っています」
市内4つの地区でそれぞれ200人の登録者がいて、以前は公民館などで行っていました。しかし、新型コロナで、同じ場所に集まることが制限されてしまいました。そんな中、南城市社会福祉協議会は対面で、できないからといって諦めるのではなく、リモートでもできる方法を模索しました。
喜納さん「私達が体操を行ってる動画を配信したりオンラインでのがんじゅう教室という形で、初めての取り組みにはなるんですが、利用者のご自宅と私達を繋いで、リモートで体操指導などを行いました」
高齢者がYouTubeやzoomを使いこなしているのには、訳があるんです。
利用者「社協の方が、指導員の方がお家までいらしてくれて、Zoom?というんですか、それを入れてくれました。とても簡単でしたよ」
喜納さん「ご自宅の方にちょっと訪問をさせていただいて、私達があの接続のサポートと、Zoomへの入り方やWi-Fiの接続方法なども、ちょっとお手伝いをしながらサポートさせていただきました」
5月からきょうまでに、運動指導をしている職員3人で16人のサポートをしていて、オンラインでの参加希望者には今もサポートを続けています。かゆい所に手が届く。そんな一歩踏み込んだサービスが、高齢者のおうち時間を、健康的なものにしました。対面ができないことで、最初は戸惑うこともあったと、喜納さんは言います。
喜納さん「 もう本当に最初は、私達運動士で、本当に対面でがんじゅう(教室)がないときって、『何する?!』って感じになるんですよ。なので、そのときにYouTubeを使っての配信を、もっと頻度上げていこうっていう話になって、試しに動画編集やってみようか、っていうことになって」
ネットを活用したがんじゅう教室の評判は上々です。一方で、インターネット環境がない高齢者のことが気にかかっているそうです。
喜納さん「運動できる方は逆にどんどん健康になっていくんですが、できない方はどんどん体力が落ちていって、そこの格差が広がってしまったのではないかっていうのが今すごい心配ごとではあります」
感染状況が落ち着いてくるにつれて、対面でのがんじゅう教室の再開を求める声が上がりはじめました。そこで、先月からは、およそ5カ月ぶりに、これまで通りの形で運動指導をしています。オンラインは週2回、対面は週1回というペースでやっています。
運動指導士からアドバイスをもらいながら、それぞれ自分のペースにあったトレーニングやストレッチをしています。
利用者「軽い体操や、運動ぐらいの指導しか受けてないんで。これがちょうどいいんじゃないかな、と思いますね」
喜納さん「やっぱり利用者さんも安心して利用できるように、今後もしっかり対策をしながら、感染が落ち着いたら、徐々に人数も増えていって、前のがんじゅう教室のように賑やかに体操できたらいいなってことを今すごい祈るばかりでありますね」
この日、大里地区のがんじゅう教室に来たのは3人。以前のような賑わいはまだ戻ってきていませんが、これからも対面とオンラインを両立して、高齢者の健康のサポート、そして閉じこもり防止を目的として、がんじゅう教室は続いていきます。