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新型コロナで観光客が減少し、観光業界を中心に厳しい経営環境が続いていますが、これを一つのチャンスととらえて、新しい販路を切り拓いて、売上を伸ばしている企業があります。そしてその背景には、県内企業の新しい販路の拡大を支援するために、県内の金融機関が導入した、あるサービスがありました。

糸満市西崎にある株式会社JCCこちら、JCCが製造、販売するのは、今年で販売開始から28年のワンダおばさんのチーズケーキ。県内で製造され、その、懐かしく素朴な味わいから、長年、県民に親しまれてきたロングセラー商品です。

ホテルや飲食店など、多角的な事業展開を行うJCC。観光や外食部門が、新型コロナの影響を大きく受ける中、なんと、こちらのケーキは、売上が大幅に増えているといいます。

JCC柳澤氏「コロナ禍になって、生産量が約4倍近く増えました」

そのわけはー

みらいおきなわ職員「こんにちは、沖縄銀行です」

この日、JCCの柳澤さんを訪ねたのは、沖縄銀行の子会社の職員。

みらいおきなわ職員「全然違う業種と全然違う業種がマッチングして、新しいものができあがるというのも、県外の方では実際に新しい商品ができたりとか」

実は今回、ワンダおばさんのチーズケーキの売上アップの裏には、金融機関が提案した、あるサービスがありました。那覇市久茂地。この日、こちらのオフィスに、柳澤さんの姿がありました。

JCC柳澤氏「反応も違いますか?反応も違いますね、あの動きが早いですね」

Qビズ コロナ禍でも新しい販路を開拓

今回、JCCが導入したのは、沖縄銀行が去年11月にサービスを始めた「ビッグアドバンス」。東京のベンチャー企業ココペリと横浜信用金庫が共同開発し、2018年にスタートしたもので、参加した金融機関と、その金融機関と取引がある企業が、クラウドでつながるプラットフォーム。こちらのフォーマットに、条件を入力することにより、簡単に全国の企業とのマッチングができるのです。

みらいおきなわ職員「フリーワードで「食品」と打って、マッチングニーズを「商品を売りたい」で検索すると全国の検索結果1682件となります」

JCCが、ビッグアドバンスを本格運用したのは、6月中旬。7月の初めには、オンラインで商談し、その翌週には、商品の発送まで実現しました。運用開始から商品の発送まで、わずか1カ月の早さ。

JCC柳澤氏「金融機関から紹介していただくと、信頼というのは高いですね」

JCCでは、コロナ禍になり、いわゆる「巣ごもり需要」を狙って、製造販売部門を強化するとともに、ビッグアドバンスで新しい取引先を獲得。コロナ前は月5,000個ほどだった生産体制が、現在は月2万個を越える規模に成長しています。

沖縄銀行は、こうした県内企業の販路開拓の支援を強化するため、今年6月、100%子会社の「みらいおきなわ」を設立。那覇市の本店の一角には、コワーキングスペースを備えたオフィスを新設しました。

Qビズ コロナ禍でも新しい販路を開拓

ビッグアドバンスへの登録費用は企業の規模に関わらず月額3,300円。

みらいおきなわ職員「これは喜ばれるなっていうのは本当に素直に思いました」「沖縄では結構有名な事業者さんだとしても県外に行ったら全然知られていないパターンがよくあるかと思います」「自分の取引先の金融機関から紹介してもらっているという安心感とか、そこでまずはフラットに話を聞くことから始める。相手が誰かなと疑うところからではなくて」

こちらは今年で創業27年の琉球黒糖。多良間島産の黒糖をじっくりと煮詰めて、その後の行程で黒糖に混ぜられるのは、チョコレート。年間100近くの新商品開発を行うという、こちらの企業。県産黒糖とのコラボレーションによる様々な商品を生み出しています。

琉球黒糖金城部長「展示会自体が縮小されてたり、中止になってたり」「やはり参加する機会がすごく減っているという部分もあって」

新型コロナの影響の影響で、展示会や商談会は軒並み中止。観光による落ち込みも大きく、生産量はコロナ前の半分近くに減少。そんな中、ビッグアドバンスは、貴重な販路拡大につながっているといいます。

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琉球黒糖金城部長「銀行さんの方で登録されている企業さんというのは基本安心なのかなと、商談がしやすいし、先方さんも商談をしていただきやすいのかなと」

今回、琉球黒糖の商品を購入した企業は、千葉県のバルスタック。全国の特産品を扱う卸売業者です。社長に話を聞きました。

バルスタック氏家社長「一つは、パッケージが可愛いらしかったので」「そういう意味で、ご家族連れ、のお子様なんかには特に向く商品だと思いましたし」

今回バルスタックが取り扱ったのは、琉球黒糖の人気商品、チョコっとう。県産黒糖とチョコレートのコラボ商品で、チョコレートの味がしっかりと楽しめるのが特徴です。

こちらの商品、現在、千葉県内の複数の道の駅で人気だと言います。なぜ、千葉県の道の駅で、沖縄の商品が人気なのでしょうか。

バルスタック氏家社長「車での移動がやっぱり多くなっています。首都圏では。そうした中で、どこか、よるところがないかなというと、道の駅というのは、その土地土地の特産物といったものが購入できるということがあって、かなり多くなっています」

新型コロナの影響で、首都圏の消費者のニーズも、急速に変化していると指摘します。

バルスタック氏家社長「今まで手に入っていたものがなかなか手に入らなくなってたり、行けてたところに行けなくなったり、というところで、ものすごく物も豊富に置くようになってますし、千葉だからといって千葉のものしかうらないというようなスタンスではなくなってきてますね」「ちょっとした旅行気分を楽しんでいただきながら、全国の面白いものがそこで手に入る」

Qビズ コロナ禍でも新しい販路を開拓

現在、ビッグアドバンスに参加している金融機関は全国で74行。県内では、沖縄銀行に続いて、今年、沖縄海邦銀行、コザ信用金庫も参加しています。登録している企業は全国で6万社を超えていて、沖縄県内でもすでにおよそ2,000社が登録しています。企業と企業を結ぶ、新しいネットワークが広がっています。

ここからは、取材にあたった実近さんにお聞きします。県内のお菓子というと、お土産屋さんで売られるというイメージが強かったですが、変わってきているんですね。

實近記者「はい、こちらVTRにもあった、チョコッとうなんですが、実は、この商品には大きな特徴があって、実は夏場、周囲の温度が60度くらい上がっても溶けない商品なんです」

チョコレートは、夏は溶けますよね。

實近記者「黒糖とのブレンドによる特殊な製法で、溶けないという特徴をもっているんですが、実は、こうした商品の特徴が、夏場、高温になる、車の内でも溶けないということで、道の駅に置かれることにもなったそうです」

ビッグアドバンスは、こうした買う側のニーズと、売る側のニーズを、全国の企業の中から、インターネットでマッチングさせますので、従来の電話営業などに比べて、格段に効率的に、販路の拡大が実現しているということです。

今後も広がっていきそうですね。

Qビズ コロナ禍でも新しい販路を開拓

實近記者「ビッグアドバンスのように、デジタル技術を活用して、これまでのビジネスのやり方を効率化していくことを、最近ではDX,デジタルトランスフォーメーションといわれています」

ビッグアドバンスの登録企業は増えています。最近では、ただ物を売るだけでなく、自社独自の技術を公開して、パートナー企業を探すなど、様々なビジネスマッチングの場として活用されています。

オンラインで面談までいけるともいいですね。

實近記者「そうですね、コロナの影響で、オンラインでつながるこのシステムに注目が集まっているのも事実です。また、この動きは、生き残りをかけて、地域の企業への経営支援を強化していきたい地方の金融機関にとっても強力なツールになっています」