新型コロナに感染しても重症化しにくいと考えられていた子どもたちですが、第5波の猛威が続く県内では、乳幼児や基礎疾患のある子どもが感染して、酸素投与や人工呼吸器を必要とするなど症状が重くなるケースが報告されています。
子どもを感染から守るために、今、どう備えてくべきなのか。子どものコロナ患者を受け入れている病院の医師に聞きました。
県立南部医療センター・こども医療センター小児感染症内科・張慶哲医師「子どもに関わる医療者としてとても危機的な状況。これまでの株と今、県内で流行しているデルタ株は、全く違うウイルス。子どもにとっては全く違うウイルスといってもいいぐらいの状況」
県立南部医療センター・こども医療センター。6月までは子ども専用のコロナ病床はありませんでしたが、先月下旬以降、はじめて、症状が重くなるケースが相次いだため、小児集中治療室・PICUの4床を急きょコロナの重症と中等症用にあてています。
張医師「今まで見られなかった酸素投与が必要な中等症の患者さんも3例発生していて。特に要注意なのは、乳幼児と基礎疾患を持っている子どもだと今は思っています」
県内で発生した子どもの重症1例、中等症3例はすべて3歳以下の子どもで、4人中3人に基礎疾患がありました。
今のところ、子どもが重症化することは、まれですが、現場の医師は第4波までとは異なる症状に危機感を抱いています。
張医師「自宅療養している人に電話で症状を聞くことも私はやっているが、今は『熱が5日ぐらい続いているんですけど、大丈夫でしょうか』とか『頭痛がとてもひどくて全身のだるそうな様子がとてもひどいんですけど心配です』というような声をいただくことも多い」
第5波で子どもの感染が増加傾向にあり、家庭内で感染してしまうケースが目立つようになっています。
万全の対策を続けることが難しい赤ちゃんや子どもの感染を防ぐには、まわりの大人が細心の注意を払って予防していくことが欠かせません。
張医師「感染対策をきちんとする。マスクをきちんとつける。手を洗う。不特定多数の人と接触しないということを、親世代がきちんと守っていく。あとは(親が)ワクチン接種をしてください。家庭内での感染というのはかなり高い割合で起きますので、子どもと共に入院しないといけない。あるいは、子どもが学校を休まないといけないリスクがありますし、そういうことをもう少し考えて、慎重な行動をしていただきたいなと思っています」
もし子どもが感染し自宅療養となった場合、異変に気付けるよう、こまめに体調管理を続けるなど、冷静に対応してほしいといいます。
張医師「乳幼児でもなくて、もともとのご病気でもない人が急激に悪くなるような様子はまだ見られません。そこは慌てずに、自分のお子さんの様子をしっかり見ていただいて、呼吸が明らかにいつもより早いとか、ぐったりして水分が取れないようなことがあれば、かかりつけ医、あるいは相談窓口で相談してください」