医療のひっ迫が日に日に深刻さを増しています。重症や中等症の患者を処置するためのベッドに余裕がなくなってしまうなど、医療を制限せざるを得ない状況です。
第五波い見舞われている県内は、人口比の感染者数で東京を大きく上回り、世界的に見ても、”最悪レベル”と言われるほど、改善の兆しは見えなくなっています。患者の対応にあたる病院では、すでに限界を迎えてました。
看護師「個室が多い小児病棟をつぶして、コロナ病棟ができているんです。(Q小児病棟?)だったんです、もともと予定は。」
豊見城市の友愛医療センター。
小児病棟をコロナ病棟にして、軽症や中等症の患者を診てきましたが、この一週間で状況は一変しました。
友愛医療センターICU 玉城正弘部長「沖縄の人工呼吸器の患者が増えたということで、うちも人工呼吸器、重症患者を診る状況が出てきましたね。」 「病院総力戦で行かないと、ちょっと今対応できない状況になっていますね。重症患者は、エクモまたは人工呼吸器による治療が必要な状態です。」
こちらの病院では、HCU(高度治療室)の病床を4床増やして、重症も対応できるようにしました。そのベッドも、すでに埋まっています。
医師たちは、次々と重症化する患者への対応に追われていました。撮影をはじめたのは、先週金曜日。県内の新規感染者数が、はじめて700人を超えた日の翌日でした。
医師「今日の朝に、県コロナ対策本部からの受診依頼でこちらに来られた方。ちょっと転院調整依頼をお願いできないかなと思ってご連絡したんですけど」
医師が県に依頼していたのは、陽性患者の転院先です。中等症までを受け入れる病床は24床ありますが、このところ満床が続いています。中等症は、酸素投与が必要な状態とされています。
こちらの30代の陽性患者は、自宅療養をしていたところ、息苦しさを訴え受診しに来ました。症状が落ち着いたため、自宅に戻るか、ホテル療養などへの切り替えもお願いせざるを得ません。
友愛医療センター救急科 山内素直 医長「今までは全然入院していた患者さんですけども、より重症な患者さんがもっと多いので、こういう方は入院できなくなっている。」
受け入れ要請は日に日に増しています。
友愛医療センター救急科 山内素直 医長「また今県コロナ対策本部から酸素使っているコロナの人を受け入れてほしいという事で来ます。部屋の調整しないといけなかった、部屋がないんですよ」
こちらは33歳の陽性患者。ホテル療養していた所、症状が悪化し、救急搬送されて来ました。こちらの病院では、30代、40代の若い世代が重症化するケースが相次いでいると言います。
友愛医療センター救急科 山内素直 医長「白い部分が肺炎の部分なんですけど、若くても重症化して、30代でも挿管、重症管理する人が出てきているのが第5波の1年前と違う所かと思います」
こちらは、発症から3日目の40代患者のCT画像です。
友愛医療センター救急科 山内素直 医長「典型的な新型コロナの肺炎のCT像です」
患者には、息苦しさなどの自覚症状がなかったといいます。
友愛医療センター救急科 山内素直 医長「(Q.これで自覚症状がない?)ないですね。やっぱりこれだけ肺が侵されてると、実際に酸素の値も低いですので、もしこれが普通の肺炎であれば本当に息苦しくて恐らくこうなる前に、病院に来てたと思うんですよね」
救急外来には、コロナ患者以外にもひっきりなしに電話が鳴り響きます。
友愛医療センター救急科 山内素直 医長「あともう一台来ます。もう一台が東京からの観光客なんで」
東京からの観光客は、転んでけがをしましたが、受け入れにはコロナを疑っての検査や対応が求められます。
救急隊員「7件中4件がコロナ」
山内医長「今日?えー」
救急隊員「自宅からが多いですね」
山内医長「半分以上がコロナだったって。那覇市の管轄では今までで出動があって、4件はコロナだったらしい。なので割合が高いですね、コロナの。ほぼ間違いなく違うとわかってはいるんですけど、PCRとかとらないと院内にコロナを持ち込ませないためには。慎重にならないといけないので」
陰性が確認された患者は、一般病棟に移されます。
友愛医療センター救急科 山内素直 医長「ちょっとバタバタしているので本物の陽性患者が来るので、診療チームがくるまで。(Q.コロナもコロナじゃない患者さんも入り乱れて?)そうそう完全に入り乱れて、こっちはおそらく違う人たちなんですけどコロナ疑いでやっている」
その後も、緊急手術が必要な人が搬送されてきました。
友愛医療センター救急科 山内素直 医長「脳梗塞?脳出血?こちらのCTを逆に(コロナ患者より)先にしようか。」
こちらの病院は、高度な技術を必要とする脳や心臓の手術も担っています。しかし今、コロナの重症患者を受け入れるため、一般の予定入院の患者数を減らさなければならない状況になっています。命の砦としての役割が、コロナによって脅かされようとしているのです。
友愛医療センター救急科 山内素直 医長「よく救える命が救えなくなるという話もそうですけど、それはコロナに限ったことだけではなくて、コロナが増えて、コロナを見る体制を整えなきゃいけないっていうことの周辺でこういうコロナではない患者さんに影響がどんどん、どんどん広がっていくっていうのが怖いかな。全体として医療が崩壊していくというのが、今、沖縄では本当にちょっと、それに近づいてきているんじゃないかなという印象があります」