猛威を振るい続ける新型コロナの第5波によって、県内の公共施設などは休業を余儀なくされています。そうしたなか、休館中にも拘わらず、じわじわとファンを増やしているのが県立図書館です。思わず、ほんわかしてしまうPR作戦を取材しました。
87万冊を超える本の森ここは県立図書館です。新型コロナの影響で、今年5月の終わりから度々臨時休館を余儀なくされ、先月までの入館者数は、前の年のおよそ4分の1にとどまっています。ところが、SNS上では、連日のように、県立図書館に対する「いいね!」という反応がいっぱい!
「最近の沖縄県立図書館は攻めてるなぁ」「コロナ禍の臨時休館中でも、ただでは休まない!」
人々の心をギュッと掴んでいるのは、思わず笑顔になるようなSNSの投稿でした。その仕掛け人のひとりが、仲尾涼子さん。
図書館の本をより多くの人に活用してもらうために、展示方法や企画を考える仕事を担当しています。
県立図書館 仲尾涼子さん「(こんなに静かな夏休みというのは)前代未聞です。」「読書を楽しんでほしいのに、休館のため、本に触れてもらうことすらできない」
そんなジレンマを抱えるなかで、仲尾さんたちが力を入れることにしたのが、SNSのツイッターを使った情報発信です。その舞台裏を、ちょっとだけ見せてもらいました!
県立図書館スタッフのやりとり。
宮里早織さん「貸出可能(の本を)上に並べちゃいますか」仲尾涼子さん「そうだね」この日は、夏休みの宿題むけの課題図書を紹介します。棚の本を並べたあと、ぬいぐるみたちを連れてきて、迷うことなく、次々に配置しているのは、宮里早織さん。撮影は、スマートフォンでおこないますが、アングルを変えて数枚撮っただけで、終了してしまいました。随分とあっさりしているように見えますが?
宮里さんの頭の中では、ストーリーがしっかり出来上がっているんです。たとえば、ミッフィーは
県立図書館 宮里早織さん「読書感想文の書き方の本を選んでいるところです」県立図書館 仲尾涼子さん「妄想族だよね。私たちね。妄想族」
日頃の読書で培った「妄想力」で、命を吹き込まれたぬいぐるみたちは、「おはなしの森の仲間たち」シリーズとしてツイッター上で展開されています。
ある日は図書館のお仕事を紹介したり、またある日は、休館が延期されたと知ってズッコケたり図書館を舞台に発信される一コマ一コマはその後の展開を見守りたくなるような、魅力にあふれています。
コロナによる休館をきっかけに、スタートさせたサービスもあります。スタッフが、箱につめているのは、貸出し用の本。これは「ひ~じゃ~便」という本の宅配サービスです。利用者が送料を負担する形で、希望の本をひとり10冊まで借りることができます。
子どもの絵本から論文に必要な学術書まで、これまでに900冊あまりが、必要な人の元に届きました。
県立図書館 仲尾涼子さん「休館中であっても図書館がやれることは必ずあるはずなので、毎回どこまでやれるのか、何ができるのか、っていうのを会議でみんなで話して、じゃ、やってみようって。チャレンジできるところからやっています」
今できることを模索しつづける姿勢は、魅力的な企画を生み出す力にもなっています。仲尾さんが館長に提案していたのは、「140字文学大賞」。自分の誕生日から導き出される「小説のタイトル」をもとに、その小説に合うようなあらすじを140字以内でSNSに投稿してもらおうというものです。
たとえば、きょう8月12日生まれなら、「明日から頑張ろうと思っただけの・碧い海」というタイトルになりました。募集の告知をしてからまだ1週間ほどですが、ユニークなタイトルをもとに、ひねり出された140字の文学作品が続々とSNSに公開されています。
県立図書館 宮城威 館長「これを機に県立図書館に足を運んでただけるようになると、うちとしても面白い企画をどんどん出していけたらと考えておりますので」
休館中の図書館が仕掛けた、本に親しんでもらうためのPR作戦。コロナの影響で、やーぐまいが続く中、想像の翼を広げる楽しさを教えてくれます。